近視矯正治療「オルソケラトロジー」の効果は?気になる費用は?小学生のオルソ体験をレポート【眼科医監修】

近視の進行を抑えるオルソケラトロジー

子どもの近視の進行を抑える取り組みが、日本でも本格化しています。そのひとつの選択肢として、寝ている間だけ専用のコンタクトレンズをつけて起きている間の視力を回復させる「オルソケラトロジー」という視力矯正の治療法があるのをご存知ですか。

成長期の子どもの近視の進行を防げることや、メガネをかけずに日中を過ごせるなど、メリットも多いオルソケラトロジー。一方で、子どもがコンタクトレンズを扱うことに不安を感じる人も多いのではないでしょうか。

今回は、オルソケラトロジーの治療を長年続けているアイリスター麻布クリニックの西之原美樹先生に子どものオルソケラトロジーについて詳しく教えてもらいました。

子どものオルソケラトロジーQ&A

オルソケラトロジーは、どのような治療ですか

オルソケラトロジーはギリシャ語が語源で、「オルソ」は矯正、「ケラト」は角膜、「ロジー」は学問という意味です。

患者さん一人ひとりの目の状態に合わせて作る特殊なコンタクトレンズを装着していただいて、角膜の形状を平らにしてピントを合わせることで視力を矯正させるという方法です。

 

具体的には、就寝前にレンズをつけてそのまま寝て、朝起きたら外していただきます。レンズを外しても角膜は矯正されたままですから、日中は裸眼で過ごしていただいて大丈夫です。このような形でレンズの装着を毎日繰り返し、視力の回復をめざしていくという方法になります。

子どもがオルソケラトロジーを行うメリットは?

メガネより大きさや形を正確にとらえられる

メガネをかけると文字の大きさが変わって見えますが、オルソケラトロジーはレンズで角膜を矯正して直接ものを見ることが出来るので、大きさや形を正確にとらえられることができます。

ソフトコンタクトレンズのリスクを避けられる

ソフトコンタクトレンズの場合は、レンズを装用している時に涙を吸い取ってしまいます。涙に含まれている酸素や栄養分が角膜の細胞に届かなくなり、再生されない内皮細胞という重要な角膜の細胞がダメージを受けて最終的には死んで数が減ってしまいます。細胞の数が少なくなると、コンタクトレンズの使用は禁止となります。また見え方の質、明るさや透明度などが低下して、視力が低下することもあります。

オルソケラトロジーができない場合もありますか

オルソケラトロジーができないのは以下のような人になります。

●強い乱視がある人。角膜の表面の形状がガタガタしていてレンズがずれてしまう人。

●強いアレルギー性結膜炎の人。

●睡眠時間が極端に短い人。

子どもがコンタクトレンズを使用する時の注意点を教えてください

レンズを清潔に保つ

レンズのトラブルの90%以上が、レンズのケアが不十分なことが原因です。レンズの汚れは矯正の低下や結膜炎を引き起こします。

レンズの使用が1年ほど経つと、表面に小さな傷ができ、汚れが毎日のケア用品では落ちにくくなることがあります。たまにレンズに小さなヒビや欠けが見つかることもあります。レンズの状態を知るためにも6か月ごとに定期検査は必ず必要です。

またレンズを洗面所で流してしまわないように、水を入れた洗面器を使ったり、専用の排水口に敷くマットの使用をおすすめします。レンズをよく落とす場合には、周囲にバスタオルを敷いておくとよいでしょう。

オルソをするとメガネは作らなくてもいいですか

基本的なメガネは1本作って持っておいた方が良いと思います。オルソを毎日していればメガネは必要ないですが、レンズを紛失したり割れたりした時、レンズはオーダーメイドで作成に1~1か月半かかりますので、その間メガネをかけて過ごす人もいます。

さらに結膜炎などでレンズを中止する場合もあります。中止すると視力が徐々に戻るのでメガネはあった方が良いです。メガネはもうかけたくないという希望があれば、使い捨てのワンデーのソフトコンタクトレンズで対応する場合もあります。

費用はどのくらいかかりますか

クリニックによって費用は違いがありますが、アイリスター麻布クリニックでは、近視や乱視の強さによって金額が設定されます。

例をあげるとコンピューターでの計測で、

近視が-1.50以下で乱視も-0.5以下の場合両眼で18万円(消費税別) 片眼で15万円(消費税別)

近視が-3.50以下で乱視も-1.00以下の場合両眼で25万円(消費税別) 片眼で20万円(消費税別)

治療費には4か月の保証期間があり、その間の検査・診察・治療用レンズ・レンズのケース、洗浄液、洗面所で流れないようにするパット・目薬代が含まれています。他、レンズを破損した場合は破片を持参していただき本人のレンズと確認出来れば左右1枚づつ無料で作成の保証もあります。万が一、視力が安定して出なかった場合の一部返金もあります。

※費用はクリニックによって違いがあります。

オルソケラトロジー体験レポート

今回は10歳の岡本悠人くんと8歳の健斗くん兄弟が、実際にアイリスター麻布クリニックでオルソケラトロジーの治療を体験した様子をレポートします。

 

悠人くん(兄)10歳 一年生3学期から視力の低下を指摘され、メガネの着用を始めた兄の悠人くん。四年生3学期の裸眼の視力は、0.1に満たず、年齢とともに近視はどんどん進行している状態でした。

 

 

 

健斗くん(弟)8歳 二年生の1学期に学校の視力検査で、視力低下の指摘を受け、眼科での定期検診を続けていました。オルソを始める直前は、メガネを作ろうか迷っていたタイミングでもありました。

 

成長とともに近視が進み、遺伝だからと諦めていた

「両親ともに近視が強いこともあり、半ば子どもの近視を仕方ないと思っていました。サッカーをしているのでメガネは不便でしたが、近視用のコンタクトレンズを着けるにはまだ年齢的に早すぎるし、兄は小2からメガネを着用。弟もそろそろメガネを作ろうと思っていました」(母・麻美さん)

サッカーのチームメイトからオルソの話を聞いて

兄弟がオルソケラトロジーを知ったのは、サッカーチームのお友達からだったそうです。

「同じサッカーチームの子が、夏〜秋頃にオルソをしてメガネが必要なくなったと教えてくれました。オルソって何だろう、と思い詳しく聞いたのが最初のきっかけです。兄の悠人は、かなり近視が進行していたので、実際にオルソができるのか不安でした。迷っているうちに冬になり、1月にアイリスター麻布クリニックへ。近視の進行を防げるという点では、もっと早くクリニックへ行けばよかったと思います」(母・麻美さん)

クリニックでまずは視力検査・装着検査

クリニックを訪れてまずは検査を行います。

・視力や眼圧、眼底の検査

・オルソケラトロジーのレンズ装着検査

視力や目の状態の検査の後、各自の目に合ったサンプルレンズを装着し、クリニックで1時間ほど就寝します。その後、再び目の状態の検査や視力検査を行い、短時間でどのくらいの視力の回復が見られるか確認します。

検査等の結果を踏まえて先生の診断をもとに、オルソケラトロジーの治療が行えるか決定します。今回は二人とも無事に行えることがわかりました。視力や目の形に合わせて、先生がレンズの情報を作りオーダー。到着は1ヶ月半〜2ヶ月ほどということです。

※レンズの仕上がり日数は個人差があります。

レンズ到着でオルソ生活スタート

1ヶ月半ほどでレンズ到着の連絡をもらい、さっそくその日の晩から就寝時にレンズを装着。

 

★レンズ取り扱いのポイント

・洗面所の水栓には万が一レンズを落としてしまったときに、流れてしまわないようなセイフティーキャッチのマットを設置する

・目の違和感を和らげる目薬をさして、レンズを装着する

「当の子どもたちはレンズにまだ異物感を感じるようで、いやだなあ〜と文句を言いながらも、起きた時によく見えるかなあと期待と不安が入り混じった様子。21時につけて朝の6時まで、9時間の装着です。こんなふうに、オルソ生活がスタートしました」(母・麻美さん)

1週間後の検査では視力は1.2まで回復

翌日も目の状態と視力のチェックのためクリニックへ。こまめな通院は大変ですが、スタートしたばかりなので安全に安心して治療を続けていくために必要な通院です。

「弟の視力は翌日に1.2まででていて、兄も大幅に視力がアップ。もともとの近視がかなり進んでいた兄は、視力が日々変動するためメガネが合わなくなるだろうと、先生から数日間のみ使用する日中のソフトコンタクトレンズを処方してもらっていました」(母・麻美さん)

そして1週間後の検査では、兄も弟も裸眼で1.2~1.5という視力に。

「レンズを装着して順調に視力が出ていることに安心しました。何よりよく見えると子ども自身がうれしそうでした」(母・麻美さん)

【失敗談】こすり洗いでうっかりレンズを割ってしまった

「朝、レンズを外す作業は子どもたちが行い、洗浄&装着は私が担当していました。レンズの汚れがトラブルにつながると聞いていたので、念入りにこすり洗いをしていたときです。強く力をかけてしまい、レンズがパリンと割れてしまいました…。くれぐれも力を入れてのこすり洗いは禁物です」(母・麻美さん)

アイリスター麻布クリニックでは、レンズの保証期間であれば左右各1枚まで再オーダー可能。クリニックによって保証内容は違いがあるため、詳細は各クリニックでご確認ください。

その後も悠人くん・健斗くん兄弟は、オルソケラトロジーを使い始めて半年たった今も、視力は安定し、定期検診での診断も問題なく順調だそう。

「初期投資は高めですが、メガネが不便だと感じている方や、近視の進行を防ぎたいと思っている人にはおすすめだと思います」(母・麻美さん)

 

★子どもたちの感想

「メガネのときはプールでよく見えなかったけど、よく見えるからうれしい。汗をかくサッカーのときもメガネをしなくていいからやってよかった」(兄の悠人くん)

「黒板が前よりもよく見えて後ろの席でも大丈夫!寝る前にコンタクトをするのは面倒だけど、そのぶん昼によく見えるからまあいいかな」(弟の健斗くん)

 

オルソケラトロジーの治療が受けられるクリニックは全国的に増えているそうです。気になる方はぜひチェックしてみてください。

 

記事監修

アイリスター麻布クリニック院長
西之原 美樹

東京大学附属病院で研修後、東京逓信病院に勤務。テキサス大学に短期留学ののちアイリスター麻布クリニックを開業。1万人以上の高校野球球児や野球選手、サッカー選手などアスリートの視力機能の向上に携わっている。一般診療も行い、土日祝祭日も診療中。目から身体全体の健康に関するアドバイスも行なっている。

取材協力/アイリスター麻布クリニック

文・構成/HugKum編集部

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