子ども・親同士のトラブル、保育園ではどう対応しているの?【教えて!保育士さんvol.6】

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子ども同士のトラブル② 「いじめ」と感じた時は?

筆者:保育園で、一人の子をいじめるような場面はあるのでしょうか。

年齢が上がってくると、相手が困る様子を面白がることも

島田先生:就学前の時期になると、子ども達もナイーブになってきて、準備が遅い子などをターゲットにすることがあります。

以前、特定のお子さんのモノを隠して、その子が困る様子を面白がることがありました。

加害者の子は「いじめ」とは思っておらず、優越感を感じたかったのかもしれませんが、保育者にとってもショックな出来事でした。

 

「ふわふわ言葉」と「ちくちく言葉」で解決へ

筆者:その時はどうやって解決しましたか?

島田先生:子ども達に「ふわふわ言葉」「ちくちく言葉」を教えました。

「ふわふわ言葉」は、「ありがとう」など言われて嬉しかった言葉。「ちくちく言葉」は、心が傷ついた言葉です。私も書籍を買って勉強しました。

先生方は、互いの話を聞いてメモする場面も

 

島田先生:この「ふわふわ言葉」と「ちくちく言葉」の2つの言葉を毎日“帰りの会”で発表してもらいました。

ちくちく言葉はなかなか出てきませんが、周りの子どもが発表したり、保育者が聞いていた場合は誘導したりして引き出します。

言った本人に悪気はなくても、こんなことを言ったらお友だちは傷つく、ということを知るきっかけになったようです。 

子ども同士のトラブルは未然に防げるの?

筆者:喧嘩やトラブルを経験するのも大切だとは思いますが、未然に防ぐ方法があれば教えてほしいです!

同じ子の場合は、寄り添いや言葉がけで

 島田先生:先生の気を引くために、ひんぱんに悪さをする子もいます。その場合は、意識的にその子をお膝に乗せてあげるなど、愛情を注いであげます。

また、噛みつきが急にひどくなった子は、お母さんが下の子を妊娠している時も。面談の時にさりげなく聞いて、一緒に対応策を考えます。

同級生同士の場合は、ルール確認で防止

脇山先生:5歳児クラスでは、ゲームなどのルールの食い違いで子ども同士トラブルになりがちです。

そのため、ゲーム等を始める前は最初に必ずルール確認の時間を設けるようにしています。氷鬼なら、「氷になったら動けないよね、タッチしてもらったら逃げるんだよね」と確認することで、トラブルが起きません。

筆者:家庭でも真似できそうですね!

年齢差がある場合は、ペアをつくると◎

田中先生:ゲームの時、月齢や年齢差で理解にバラつきがある時は、分かる子と分からない子をペアにして、お世話をしてもらいます。お世話してもらう方も嬉しくて、仲良く遊べますよ。

親同士のトラブルに発展してしまったら?

 筆者:子どものことで、親同士のトラブルに発展するのも嫌ですよね。

普段から保護者同士の関係性を良くする努力も

島田先生:保護者同士の関係性が出来ていると、大きなトラブルに発展しない場合が多いんです。そのため、保護者会等でコミュニケーションを取れるような工夫などをしています。

保育士さんに相談するベストなタイミングは?

筆者:保育士さんはいつも忙しそうなので、相談事をするタイミングに迷うことがあります。どうするのがベターなのでしょうか?

事前に声かけをすれば調整しやすい

田中先生:「今日のお迎えの時間に、お話できますか?」と朝のうちにお伝えいただければ、お迎えの際、保護者さまとお話しする時間を取ることができます。その際、お子さんには聞かれたくない話題もあると思いますので、子どもは別の部屋で待っててもらいます。

筆者:なるほど。お互いに準備が出来て良いですね! 今日はためになるお話をありがとうございました!

喧嘩やトラブルは、成長に必要な経験

保育士さんからは「喧嘩をするのは成長の証」というお話もありました。親としては心配になる喧嘩やトラブル。でも、きちんと自分の主張ができ、感情を表に出せるのは、大事な成長過程なのですね。また、座談会に同席した編集者Hさんは「我が子は一人っ子なので、家では両親に可愛がられるばかり。保育園でいっぱい喧嘩して、いっぱい悔しい思いをしてきてくれたことは嬉しかった」と話していました。友達といろいろな経験をしながら、たくましく優しい心が育つよう、見守っていけるといいですね。

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HugKum編集部では、子育て中のみなさんへ現役保育士さんの声をどんどん届けていきたいと、連載で【教えて!保育士さん】シリーズとして『保育士...

 文・構成/寒河江尚子

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