【3歳から始める性教育のすすめ】思春期では遅い!幼児期から少しずつ親と話せる環境を作ることが大事

「生殖」については、本人が興味を持った時が、伝えるのに最適な時期

生殖については、小学生や中学生になってからでも遅すぎることはありません。本人が疑問を持った時に始めれば良いと思います。その際も、まずは身体のしくみ、構造から話はじめることが大切です。

性の話を親子ですることをためらう方は多いかもしれませんが、変に隠したり、答えをごまかしたりすると、子どもは「これは親には相談してはいけないことだった」と思ってしまいます。それでは、もし子どもが困ったときに、親に相談することができなくなってしまいます。性的虐待を防ぐ意味でも重要です。

子どもに意識づけたい「性について話すことは健全なこと」

大切なのは、質問やサポートを求めて来た時に、子どもが恥ずかしさや判断を恐れず親に話せる環境を作ることです。セクシャリティについて小さな会話を積み重ねることは、健全な印象を与え、日常生活の一部であるということが伝わります。日常生活では、セクシュアリティと人間関係について話す機会がたくさんあります。

 例えば、下記のようなタイミングは話すチャンスです。

  • あなた、他の家族、友人、隣人が妊娠していることを知った時。
  • LGBTQ(レズビアン・ゲイ・バイセクシュアル・トランスジェンダ・クエスチョニング)の問題、愛、またはセックスがテレビ番組、映画などで登場した時。
  • ネット広告やゲームなどで、性的な描写を目にした時。
  • 生理用ナプキンやタンポンの広告をみた時。
  • 避妊、またはコンドーム、セックスについて話すニュース記事を見た時。

 小学校高学年や中学校の年代では、解剖学や思春期について学んだこと、疑問に思ったことなどを尋ね、子どもが抱いている疑問について一緒に調べるなどすることも大切です。そして、性のことを話す場面や場所のことも教えましょう。例えば地下鉄に乗っているときに性の話をするのは適切ではありませんよね。「性の話はプライベートな場所で話しましょう」などと、場面や場所を選ぶことも大切です。

大人でもすべての性について子どもの質問に答えられるわけではありません。知らないことは一緒に学ぼうという姿勢は子どもに良い影響を与えます。

 家庭の価値観で子どもの健康や安全を守ることは親の役目

パートナーとの交際が始まったら確認しておきたいこと

子どもが成長し、思春期を迎えてパートナーと交際する年齢に差しかかった時、つまりセックスをする準備ができたときに、自分とパートナーの権利や、セックスをするにあたりどんな責任(意図しない妊娠や性感染症の予防など)が生じるのか? 自分の権利や相手の権利を侵害しないためにはどんな知識が必要なのかを子どもに聞いてみましょう。

例えば

「どうしたら妊娠するか?何か知ってる?」

「(コンドームを見た時)これはどう使うか知ってる?」

「(アダルトの広告を見た時)この広告についてどう思う?」

「合意とは?」

そして彼らの答えを聞き、知識のギャップや誤解を修正したり調べたりしましょう。

もし恥ずかしがることがあれば、恥ずかしいと思うことは当然だと言うことを受け止め、お母さん(あるいはお父さん、養育者の方)は子どもの健康や安全を願っていることを伝えましょう。

 子どもが親に相談できる関係ができていれば、トラブルを未然に防げます

そして重要なのは、セックスやパートナーシップついて子どもが質問してきた場合は、まず、親に質問してきた彼らを誇りに思っていることを伝えて下さい。彼らがセクシャリティについての質問をすることに抵抗を感じないなら、親を信頼し、困った問題が起こった時助けてくれる存在だと思っているということだからです。相談してくれることで未然に防げるトラブルもあります。そのためにも、子どもが親に性に関して話せる関係性と相談できる環境を幼い頃から積み上げてください。

 少し気まずい思いをしたり、あなたやあなたの子どもが恥ずかしくなったりしたら、「こういうこと人に話すのちょっと恥ずかしいよね?」と言葉にしてもよいと思います。「恥ずかしい」と思うことは異常ではありません。パートナーとセックスする場合は「これは良いけど、これは嫌だ」と自分の限界をパートナーに伝える必要があります。「恥ずかしいからこれは辞めて欲しい」と伝えるには自分が恥ずかしいと思う感情に気がつくことは大切です。

 子どもは自分の体が自分自身のものであり、望まないタッチに対して「ノー」と言う権利があることを理解する必要があります。そのためには子どもの性的発達を理解し、幼い頃からの積み重ねが必要です。

 

お話を伺ったのは

藤原美保|健康運動指導士、介護福祉士、保育士 株式会社スプレンドーレ代表

発達障害のお子さんの運動指導の担当をきっかけに、彼らの身体使いの不器用さを目の当たりにし、何か手助けができないかと、感覚統合やコーディネーショントレーニングを学ぶ。その後、親の会から姿勢矯正指導を依頼され、定期的にクラスを開催。周囲の助けを受け、放課後等デイサービス施設「ルーチェ」を愛知県名古屋市に立ち上げ現在に至る。著書に『発達障害の女の子のお母さんが、早めにしっておきたい47のルール』(健康ジャーナル社)『発達障害の女の子の「自立」のために親としてできること』(PHP研究所)がある。

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