独身女性も既婚者も田中みな実に共感度100％！主演映画『ずっと独身でいるつもり？』がおすすめなワケ

おかざき真里のコミック『ずっと独身でいるつもり？』が田中みな実主演で映画化！

おかざき真里の同名コミックを、フリーアナウンサーで女優の田中みな実主演で映画化した『ずっと独身でいるつもり？』が11月18日より公開されました。タイトルだけを聞くと、ママたちの触手がそこまで伸びなさそうに思うかもしれませんが、実は独身女性だけではなく、既婚者を含めた全女性が共感できるおすすめの1作になっています。

田中さん演じる主人公の本田まみは、20代の頃に出した本で一世を風靡し、今もライターとして順風満帆なキャリアを積んできた36歳の独身女性です。まみは自宅マンションを購入し、人が羨むような毎日を過ごしているし、年下のイケメン彼氏（稲葉友）もいます。

本作は、まみをはじめ、彼女と同じマンションの隣人、佐藤由紀乃（市川実和子）や、若さという最強の武器を持つパパ活女子の鈴木美穂（松村沙友理）、由紀乃と同級生で、インスタのフォロワー数30万人を誇る子育て中の主婦、高橋彩佳（徳永えり）と、ライフスタイルの異なる4人の女性が織りなす群像劇です。

4人は一見“リア充”に見えますが、実は毎日、様々なストレスを抱えていることが、少しずつわかっていきます。

日常で浴びる些細なトゲの痛みを実感する女性たちに感情移入

本作に散りばめられているのは、心に刺さる小さなトゲの数々です。それは、普段なら自分で簡単に抜けそうなものなのに、気が付けば根が深かったというタイプのやっかいなトゲです。

悩める現代女性に現実の厳しさを突きつけていくという配信番組「ずっと独身でいるつもり？」に出演しているまみ。20代の頃にまみが執筆した著書は、男に媚びることのない颯爽とした生き方について書いたもので、大いに反響を呼びました。でもいまや36歳となったまみは、「結婚はしないの？」といった、心ないマリッジハラスメントなどに、心をチクリと刺されることも多いよう。

自分よりも若い担当編集者の男性が、結婚について「思ってたよりすごくいいです。絶対的な味方ができたというか」とのろけられた時も、まみは複雑な想いにかられます。そんななか、イケてる商社マンの恋人（稲葉友）からプロポーズをされOKをするも、結婚が決まってから、彼の“粗”がチラホラ見えていきます。

一方、まみの著書を読んでファンになった由紀乃は、配信番組でまみが口にした言葉にがっかりして、SNSで誹謗中傷などの毒を吐きまくります。それを見たまみは、少なからずショックを受けていきますが、これはSNSにおける現代のあるある。

また、パパ活に励む美穂は、いかにも若さがまぶしい女の子ですが、そうすべてが上手く転がっていくはずはなく。年上のおじさま方を手玉に取っていたけど、次第に体を求められるようになり、自分を安売りすることに対してようやく疑問を抱いていくことに。

乳飲み子を抱える彩佳は、子どもの機嫌が良い時限定で子どもと遊ぶ夫が、おむつすら換えてくれないことに、モヤモヤ感を募らせます。彩佳が、同級生の由紀乃に「知ってる？孤独死のほとんどは既婚者なんだよ」と言うつぶやきには思わずドキリとさせられたり。

こんなふうに全編にわたり、トゲがチクリチクリと女性たちのハートを傷つけていきますが、いずれもリアルな分、「わかるわかる」と何度もうなずいてしまうこと請け合いです。

いろんな問題に対して声を出すことで人生は切り開ける！

本作のメガホンをとったのは、撮影当初29歳だったという新鋭のふくだももこ監督で、第40回すばる文学賞佳作を受賞した小説家でもあります。

ふくだ監督は、『おいしい家族』や『君が世界のはじまり』などをはじめ、生々しい人間のつながりを綴ってきましたが、今回は主演の田中さんの意見を多くくみ取り、かなりコミュニケーションを取って、本作を手掛けていったとか。だからこそ30代のリアルに説得力があります。

結婚していてもしてなくても、人生の分岐点においてはいろんな決断を迫られ、大なり小なりいろんな悩みや葛藤を抱えて、もがいていく女性たち。4人が赤裸々に語る本音を聞いて、きっと観る側も心を揺さぶられていくこと間違いなし。

でも、文句だけを並べてみても、自分の状況は決して改善されません。辛い状況にあえぐだけではなく、なんらかの活路を開こうと1歩ずつでも踏み出すことで、きっと希望を見い出せるはず。本作を観れば、自分がどうしたいか、少しでも声を挙げることが、いかに大切なのかと、改めて気付かされます。そういう意味で、ぜひ多くのママたちに観ていただきたいです。

文／山崎伸子

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