軽度の知的障害をもつ中1の娘。入浴までに2時間かかることも…ぐずぐずに付き合うのは善?悪?

発達障害のお子さんをもつ親御さんのなかには、我慢が難しい、約束やルールが守れない等お子さんの行動に頭を悩ませている方は多いと思います。療育を目的とした「放課後デイサービスLuce」の運営を経て、新たに、今年、発達障害児を抱える母親のためのサロン「Luce」を開設した藤原美保さんに、具体的な支援について伺いました。

ぐずぐずしていてお風呂に入らない娘。入ると言ってから2時間かかる毎日で…

中1の娘がなかなかお風呂に入ってくれません。入りなさいと言ってから2時間かかる日もあります。少し時間をおいて「もうそろそろ入りなさいよ」と声をかけますが「え~ちょっとまって~」というのですが、ぐずぐずしてなかなか動きません。私もイライラして、つい「早く入って!」と責めるような口調になってしまいます。毎日のことなので、本当に疲れます。

自己管理ができていないのです。子どもの言葉に振り回されず、ルールを決めて行動させましょう

軽度の知的障害のお子さんです。多弁さが見られ、頭の中で考えている事が口に出るタイプです。

お母さんに聞いてみると、お風呂だけでなくすべての行動に対してスムーズに行かないそうです。下にお子さんがいるので祖父母に送迎をお願いしながらスケジュール調整に翻弄されている様子です。

切り替えは確かに悪いお子さんなのですが、お母さんは彼女の切り替えの悪い時に眼を向けてかまってしまい、言葉に振り回されて、彼女の悪い特性を引き出してしまっているのです。どうやらお母さんが「本人の意思を汲み取る事」と、「振り回される事」を切り分けて考えられないというのが問題のようです。

Luceでは来所してから自分で準備をしてスタジオに入ります。自分でスケジュールを見て行動ができています。確かに彼女の対応についてはコツが必要ですが、うちのどのスタッフが対応しても、準備はひと通り自分ですることができます。

それは、Luceのすべてのスタッフが彼女の行動に対して「注目する場面」と「無視する場面」を一致させているからです。つまり、彼女の行動に対して注目する場面と無視する場面がスタッフ事に違わないという事です。

例えば、彼女が鞄をロッカーにしまわなくてはいけない場面でふざけたら、スタッフによって対応が違うということはありません。

家庭では、段取りを決めて行動させる。サポートが必要な場合は、自分でやらせることを絞って

すべてを彼女のペースに合わせていては家庭が回らなくなるのは当然です。保護者は家庭の中で子どもに振り回されるのでなく、ある程度の基準を設け、健康的な生活を維持するために基本的な生活習慣を守らせる必要があります。

お風呂のスケジュールは事前に決めておきましょう。

例えば「7時半になったらお風呂に入ります」と決めるとします。本人が「でも~7時半から見たいテレビがあるの~」と言ったら、「わかった。じゃその番組が終わる8時に入ります。そのあとに妹が入らなければならないからそれ以上は待ちません」ときっぱり宣言し、8時になったら立ち上がらせお風呂場に連れていきましょう。

本人の意向を全てを無視する訳では無く、交渉できる内容を先に聞き、そのあとでこちらの都合がある事を伝えましょう。準備にサポ―トが必要な場合は自分でやらせる部分を1つか2つに絞り、段取りを保護者が決めてサッサと手伝ってしまいましょう。

ぐずぐずに付き合うことは、子どもに誤学習させてしまうことになる

お子さんのぐずぐず言う言葉に付き合う時間は無駄な時間と言ってもいいでしょう。それに付き合う事でお母さんは私の思い通りになると誤学習し、煩わせつづけるようになってしまいます。

更に悪い事は、本人の「やる気」の問題だと保護者がお子さんを責める事です。お母さんはお子さんの言葉に振り回されてしまっていますが、「やる気」の問題ではなく本人はまだ自己管理ができないのです。

つまり、このお子さんのぐずぐずに付き合う事はデメリットしかありません。子どもにとってメリハリはとても大切です健康を守るための基本的な生活習慣は保護者がしっかり管理しましょう。

 

記事監修

藤原美保さん|(株)スプレンドーレ代表

健康運動指導士、介護福祉士、保育士、公認心理師。株式会社スプレンドーレ代表。

発達障害の女の子の性教育や身だしなみ教育に力を入れてきた、放課後等デイサービスLuceを2022年3月まで運営。2022年5月に障害のあるお子さんと保護者が通う事が出来、施術中に療育相談を受けられる美容・脱毛サロンLuceをOPEN。発達障害のお子さんの療育アドバイザーとして相談や療育コンサル、発達障害のお子さんへのオンラインでの性教育を行う。著書に『発達障害の女の子のお母さんが、早めにしっておきたい47のルール』(エッセンシャル出版)、『発達障害の女の子の「自立」のために親としてできること』(PHP研究所)がある。

YouTubeで「子どもの対応おたすけチャンネルMamma mia」を配信中

イラスト/本田 亮

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