国語の先生に「3ステップだけで読書感想文が書けるコツ」をこっそり聞いた! ポイントは読む前と後の「自分の成長」

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子どものころ、夏休みの宿題で読書感想文に苦労したという方も多いのではないでしょうか? 夏休みも中盤に入り、お子さんの宿題の進み具合が気になってくるころかもしれません。
そこで、筑波大学附属小学校の国語科の先生で、作文に関する著書ももつ桂聖先生に、読書感想文の本選びから書き方のポイントまでを教えていただきました。お子さんが困っていたら、このインタビューを参考にして適切な助言をしてくださいね。

※この記事は<小学館世界J文学館 全125冊ぜんぶ紹介中!【公式PR】>からの転載です。

読書感想文とは「自分の成長」への決意を書くもの

――読書感想文に苦手意識をもっている子って多いですよね。じつは、私も夏休みの宿題で読書感想文がいちばん嫌いでした。いつまでも手をつけず、始業式前日に慌ててやるようなことが多かったんです。

桂先生(以下敬称略) 私も好きではありませんでしたよ(笑)。子どものころはそれほど読書をしていなかったんです。大人になるにつれて、読書する習慣がついていきました。

――桂先生がそんな子どもだったなんて意外でした。さて、読書感想文を書くには、最初のハードルとして「本選び」があると思います。本選びのコツは教えてください。

 私は、読書感想文とは、この本を通してどんな成長があったのかとか、この本を読み終わってこれからどんなことをしたいのかとか、「自分の成長」への決意を書くものだと思っているんです。ですから、読書感想文を書くために本を探すのではなく、子どもが興味をもった本を選ぶということが何よりも大切です。

例えば、図書館でたまたま目についた本の表紙に引かれたとか、主人公に自分と共通しているところがあったとか、意味はわからないけれどタイトルが気になったとか、本を選ぶきっかけは何でもいいんです。

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参考/桂先生が提唱する「三文作文」方式 読書感想文

――読書感想文向きの本とそうではない本があるのでしょうか?

 自分との関係が深い本のほうが、読書感想文を書きやすいでしょう。自分の興味のあることが書かれているとか、主人公が自分と似た境遇にあるとか、同年代だとか…、そういうところがあると、自分事として考えやすいですよね。

できれば数冊読んで、その中から「いちばん心が動いた本」で読書感想文を書くといいと思います。

大きく三つに分けて構成しよう!

――本は決まりました。では、本を読むときに注意すべきことはありますか?

 楽しみながら読むことはもちろん大切ですが、読書感想文を書くのであれば、「なぜ、主人公はこういう気持ちになったんだろう?」とか、「この出来事にはどういう意味があるんだろう?」とか、意味を考えながら読むことです。

そして、感動したところを軽くメモしておきましょう。読んだ本の中から読書感想文を書く1冊を選ぶ際や、感想文を書くときにもそのメモが役に立ちますよ。

本の中のおもしろかったことを抽象化して、自分のどんなところに活用できるかを考えられると、素晴らしい読書感想文になると思います。また、その子にとってその本の価値も大きく変わるのではないでしょうか。

――おおまかなあらすじと感想を入れるということはわかるのですが、読書感想文を書くときのポイントについて教えてください。

 ①読む前の自分、②本の内容、③読んだ後の自分、と大きく三つに分けて書くとよいでしょう。

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①読む前の自分では、この本を読もうと思ったきっかけを書きます。
②本の内容では、本のあらすじと「自分の心が動いたこと」を書きます。
③読んだ後の自分では、この本を読んで、自分の考えが変わったこと、これからもっとがんばりたいこと、これからもっと挑戦したいことなどの気持ちを書きます。

よく見られるあらすじの後に、自分の考えを書くという構成の読書感想文でも悪くはありませんが、この本との出会いが自分のどのような成長につながったのかということまで書けると、さらにいいですね。

――保護者が子どもに手助けできることはありますか?

 もし、お子さんがどんな本を読めばいいのかわからずに悩んでいるようでしたら、一緒に図書館や書店に行ったり、(世界の名作125冊の電子書籍を読むことができる)『小学館世界J文学館』で一緒に探したりするのもいいでしょう。

決して押し付けるのではなく、子どもが自分で興味のある本と出会えるような機会をつくってあげてほしいと思います。

書き方が分からずに困っているなら、型を教えてあげることです。先述したとおり、①読む前の自分、②本の内容、③読んだ後の自分、と三つに分けて書くことを教えてあげてください。

――『小学館世界J文学館』に収録されている中で、桂先生のおすすめの3作品を教えてください。

 一つ目は、「人間じゃないものの冒険」(作/リュドミラ・ペトゥルシェフスカヤ)。不思議で楽しい短い童話がたくさん入っているので、読書が苦手な子にもおすすめです。

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二つ目は、「かしこいきつねの物語」(作/ヨゼフ・ラダ)。人間のことばを覚えたきつねが活躍する物語です。いろいろなことに挑戦したい子におすすめです。

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三つめは、「ドリトル先生航海記」(作/ヒュー・ロフティング)です。動物と話ができるお医者さんが航海に出ます。ドキドキの冒険好きな子におすすめです。

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「かしこいきつねの物語」と「ドリトル先生航海記」は、私のクラスの子どもたち(3年生)からも人気が高かったですよ。

教員としては、読書感想文を通じて、一人でも多くの子どもが本を好きになったり、自分の生き方を見つめたりするきっかけになってくれたら、こんなにうれしいことはありません。

お話を伺ったのは…

桂 聖(かつら・さとし)|筑波大学附属小学校国語科教諭
山口県出身。山口県公立小学校、山口大学教育学部附属山口小学校などを経て、現職。光村図書国語教科書編集委員、一般社団法人 日本授業UD学会理事長、『小学館 例解学習国語辞典』編集委員。『小学1年生から論理的に書ける「三文作文」練習帳』『なぞらずにうまくなる子どものひらがな練習帳』(共に実務教育出版)など著書多数。Twitter@satoshi1173ka Instagram katsurasatoshi1173

小学館  世界J文学館とは

1冊で125冊の電子書籍を読める新時代の児童文学全集です。上で桂先生が挙げたおすすめ作品はもちろん、世界名作、現代児童文学、日本やアジアの古典、SF、詩までを網羅。ほとんどを新訳で収載し、日本ではじめて読める作品も収められています。

文/長 昌之

現在、小学館世界J文学館の公式Twitterにて、オリジナル図書カード1000円分が当たるプレゼントキャンペーンを実施中です。ご興味のある方はチェックしてくださいね。

 

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