【夏休みの作文&読書感想文】作文指導のプロが教えます!スラスラ書く決め手は「型」と「段落の数」

夏休みの宿題の大きなヤマとなる課題が「作文」や「読書感想文」。夏休みの最終日、徹夜で取り組んだという思い出をもつママやパパもいらっしゃるのではないでしょうか?長年、作文指導に携わり、日本最大級の作文コンクールの審査員を務める岩下修先生に、スラスラと良い作文が書けるワザを教えていただきました。今年はもう「作文どうしよう!」で悩まない!

「よい作文」とはどんな作文だと思いますか?

それは、読んだ時に、説得性があり、思考が伝わってくる作文です。

長年、小学生の作文指導に関わってきて、「よい作文になる」私なりの書き方の法則を見つけました。そのベースとなるのが、作文の型と、何を書くかを示すことです。

よい作文を書くための「3つの型」とは

1  時間の順番で書く

一つのことについて、時間の流れに沿って書き進めていく方法。低学年のお子さんにも書きやすい方法です。出来事やしたことの中から、何を切り取って書くかを決め、したことの順番に二つ書くことをおすすめします。

2 観点を決めて書く

物事を見たり、考えたりする観点を決めて書く方法。観察文、報告文、説明文など、全てのテーマで活用できます。考えをまとめる方法に合う型です。

うれしかったこと、楽しかったこと、びっくりしたこと、心に残ったこと。夏休みの体験が活かせる観点を、お子さんと考えてみてください。

3 物語風作文

物語のように「起承転結」の型を使って書きます。

「起」は、話の始まり。「承」は、話の続き。「転」は、話の変化を書きます。「結」は終わり。周りの様子を書いたり、自分の思いを会話体で書いたりします。

どの型にも共通する「段落は4つ」の理由

紹介した型の作文は、どれも以下の4段落で書きます。

・はじめ

・なか1

・なか2

・まとめ

なぜ、4段落がいいのでしょう?

4つのまとまりに分けて書くことで、言いたいことが読む人に伝わるのです。これができていると、ダラダラとしたり、話があちこちに飛んだりする作文にはなりません。

これだと、4部構成でしか書けなくなるのでは?と考える方もいらっしゃるかもしれませんが、心配ご無用です。例えば、「わたしの家族」がテーマなら、人数分の「なか」を書けばいいということです。「なか」が3つ以上必要なものは、「まとめ」で、「なかの共通項や気づき」を書けばいいのです。

「型」を使えば「読書感想文」も書ける!

「2 観点型」を使って、読書感想文を書きましょう。構成は4段落です。

心に残る登場人物の行動を書き、自分の行動と比べます。人物の行動から学び、これからの自分の行動に活かせるように書いていきます。

1 はじめ〜本を読んだきっかけと本の要約

例)この本は、○○で見つけました。

例)この本のあらすじは、○○が〜になった話です。

*その人物がどんなきっかけで、どのように変わったか。

2  なか1〜心に残った登場人物の行動

例)わたしの心に残ったのは〜です。〜は〜。

*登場人物の中で、特に好きなところを書いていく。

3 なか2〜登場人物の行動から思い出した自分の行動

例)○○の行動を読んで思い出したことがあります。それは〜。

*自分の体験を書いていきます。

4 まとめ〜登場人物と自分の行動の違い、登場人物の行動からの学び

例)○○は、〜だけど、わたしは、〜だ。これからは、○○のように〜。

2年生の読書感想文・実例紹介

このメソッドで書いた作文例をご紹介しましょう。

「いつまでも友だちでいたいな」~「お手紙」を読んで

国語のじゅぎょうで、「お手紙」をしました。お手紙をもらったことがないがまくんにかえるくんが手紙を書き、二人ともしあわせになるというお話です。(はじめ)

一番心にのこったのは、かえるくんです。かえるくんがしたことで、「すごいな。」と思ったのは、お手紙を書いたことを言ってしまったことです。わたしも、はじめは、「なんで言ってしまったのだろう。」と思っていたけれど、よく考えると、「いいな。」と思いました。もうあきあきしているがまくんに、よろこんでもらえるように言ってしまったと思ったのです。(なか1)

わたしにも友だちがたくさんいます。その中でも、ゆいなさんとなおさんといっしょにあそびます。なおさんは、一年の時、「いっしょにあそぼう。」と言ってから、今でもなかよしの友だちです。ゆいなさんは、一年生の時は、同じクラスだったけれど、あまりあそんだことがありませんでした。けれど、今は、一番の友だちです。三人はなかよしの友だちです。手紙のやりとりはしています。(なか2)

これからは、わたしもかえるくんのように、友だちをしあわせにすることを決意しました。けんかなく、楽しくすごしたいです。「いつまでも友だちでいたいな。」(おわり)

作文は、小学生のうちが勝負!『苦手が消える作文スタイル』で作文を得意に

作文は、言葉で映像を作り出し、人に伝える作業です。どんな作文を書くときもこのことは当てはまります。夏休みの作文は、お子さんの作文力を高める、絶好のチャンスです。

この度、長年の指導の経験を活かしてまとめた『苦手が消える 作文スタイル』(小学館)を刊行しました。「作文の基本15」「作文をよくする10の技」など、作文が得意になる技とコツも収録しています。

子ども達の作文例も豊富に収録

そして、わたしが実際に指導した、立命館小学校、名進研小学校の子どもたちの作文例も豊富に収めています。ご紹介した3つの「型」の実際の作文例を読む事で、作文の書き方の理解が深まります。

作文は小学生のうちが勝負!小学生卒業までに身についた作文力は、一生ものとして使い続けることができるのです。夏休みの作文に取り組んだことを機会に、ぜひ、ご活用ください。

 

著・岩下 修|小学館

どの学年にもあてはまる、小学生のうちに書いておきたい作文テーマがたくさんのっています。書き方ガイドに沿って書けば、どんな題材や読書感想文の課題が出てももう迷いません。
また、実際に小学生が書いた作文の実例も豊富に収録。巻末には、岩下先生オリジナルの特製作文用紙がついています。コピーしてお使いください。

教えてくれたのは

岩下 修|名進研小学校国語科顧問教諭
愛知県名古屋市の公立小学校、京都の立命館小学校の教諭を経て現職。作文、音読、読解の指導法を教師たちに発信している。著書に『スラスラ書ける作文マジック』『スラスラ書ける作文マジック入門編』(共に、小学館)など多数。日本言語技術教育学会理事。

構成/HugKum編集部

夏休み☆自由研究ハック

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