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子どもが起こす「かんしゃく」。相談の目安は4つの観点
子どもがわけもわからず泣き叫んだりすることが続くと困惑しますね。特に外出先などで叫んでわめかれたりすると親は逃げ出したい気持ちになるでしょう。
そんなことを繰り返す場合、保護者が思うのは「うちの子だけ?」「もしかして発達障害?」と心配になることでしょう。
しかし、保護者はどの程度のかんしゃくだったら相談に行った方が良いのかその基準が分かりにくく、なかなか相談機関を利用することができず、もやもやと悩み続ける方が多い印象です。
相談のために専門機関を利用する場合に目安のひとつとして意識してほしいのが、子どものかんしゃくの「頻度と継続期間」「程度」「周囲への影響」、そして親自身の「ストレス度合い」という観点です。
頻度と継続期間~30分以上激しいかんしゃくが頻繁に続く
特に幼いうちは子ども本来の「気質」によるところも多いため、保護者も迷うと思いますが判断材料の一つとしてどれくらいの頻度でおきるのか?どれくらい長く続くのかを観察する必要があります。
頻度: 1日のうちに何回くらいあるのか、週に何度くらい同じような場面が起こるのかを意識してみます。あまりに頻繁(例:毎回のお出かけや、保育園・幼稚園への送迎の前後など)に起こる場合。
継続期間: かんしゃくがどのくらいの時間続くかを確認します。多くの場合、数分から長くても10分程度で落ち着くことが多いですが、30分以上にわたって粘着性や行動が激しいようなケースが日常的にある場合。
子どもの様子や行動が極端かどうかの程度問題~自分や他人を叩く、物を壊す、投げる
自傷や他害行為の有無: かんしゃくのなかで、頭を壁に打ちつける、自分を激しく叩く、他者を叩いてしまう、物を壊す、投げるなど、危険を伴う行為が頻回に見られる場合。
周囲への影響:一つの基準として保育園や幼稚園の先生から「日常的に激しいかんしゃくが見られる」「集団生活に支障が出ている」と言われたり、家庭以外の場でもトラブルが多かったりする場合。
子どもの行動を周りがどう受け止めているかを知ることも、今後の対応方法を考えるうえで重要です。
保護者の心身の負担や、家庭・生活全体への影響~普段の生活に支障が出てしまう
保護者が限界を感じているか: 子どものかんしゃくが続くと、保護者自身の疲労感や精神的なストレスは大きくなります。特に「家事も思うように進まない」「周囲からの視線を感じて外出も怖くなる」など、普段の生活に支障が出てしまう状況が続く場合。
きょうだいや他の家族への悪影響: 兄弟姉妹に辛く当たる、かんしゃくが起こるときょうだいが怖がるなど、家庭全体が落ち着かない空気になってしまっている場合。
これまでの相談の中でも親は発達特性の問題だと気がつかず「きょうだいげんかが激しい」で片づけてしまっているケースが多く見られ、骨折や家財道具の破壊行動などに進んでから診断を取ったこんなケースもありました。
常日頃から喧嘩が激しい中学生の姉と小学校高学年の弟のきょうだい。口がたつ姉にかなわない弟が暴力を振るうようになり、姉を突き飛ばしてテーブルで鼻をぶつけ骨折させてしまったのです。保護者は子どもの発達障害をかねてから疑っており、この一件を機に診断を受け、上の子は自閉スペクトラム症、下の子はADHDの診断がつくことになりました。
親自身のストレス度合い~相談するのは前向きな行動です
子どものかんしゃくについてだけではありませんが、子どもの発達について相談する場合、「子どもの問題」だけという認識だと、「障害かどうか」に振り回されがちになります。
以前、「子どもの障害を疑うことになる」と仰った保護者がいました。しかし、「障害かどうか」の問題ではなく、専門機関に相談をすることは、保護者自身が子どもの行動に対しての「受け止め方」や「発達の過程」の情報を積極的に得るのは、子どもとうまく向き合うようにするための大切な選択の一つです。
相談が必要かどうか迷いがあったら、それは相談をする時期です
つまり、「相談が必要かどうか迷った時点」で、相談機関を利用することが必要だということです。特に自傷や他害、物損がある場合には専門機関で診てもらいましょう。この場合、小児科や専門医は予約待ちになるケースが多いので、気になるなと思ったらまずは予約を入れてください。早めに対応することで親も子も楽になります。
3歳未満ならば保健師さんに、3歳以上であればカウンセラーや医療機関に相談を
3歳未満であれば検診の際に保健師さんに、 3歳以上ならば、まず気軽に相談できるカウンセラーから始めるのも良いかもしれません。はっきりとした診断を望むのであれば医療機関に予約を取るのがおすすめです。
一番良くないのは身近なママ友への相談です。障害の知識がないママ友に無責任なことを言われて傷つき、関係性が悪くなった例をたくさん知っています。
・療育センターや保健師
療育センターは、児童相談所などが兼任している自治体もあります。発達面での専門的なサポートが必要かもしれないと感じたら、こういった施設で相談してみるのも一つの方法です。子どもの発達状況をみながら、児童発達支援事業所など必要に応じた療育プログラムを提供しているところを教えてもらうことができます。
・小児科・専門医への相談
他害、自傷行動を伴う激しいかんしゃくなど発達行動面に詳しい小児科や児童精神科など、専門医のもとで相談すれば、お子さんの状態を多面的に評価してもらうことができます。
・心理カウンセラー
発達障害の子どもの対応を実際にしてきた心理師やカウンセラーなどは多くの子どもを見てきているので子育ての相談などに対して適切なアドバイスを受けることができます。
診断を受けるのが不安な場合、ハードルが一つ下がり前段階のステップとしてはおすすめです。
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記事監修

健康運動指導士、介護福祉士、保育士、公認心理師。株式会社スプレンドーレ代表。
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