中学受験【中央大学附属中学校】126文字のルールだけで実現する「責任ある自由」な校風とは?プレゼン力と探究心が伸びるわけを中学受験専門家・ユウシンさんがインタビュー

中学受験で人気の大学付属校のひとつである中央大学附属中学校。その教育の魅力に迫るべく、中学受験の専門家であるユウシンさんが、同校の牧野副校長先生にお話を伺いました。校則のない自由な校風で知られる同校が掲げる「自主・自治・自立」の理念、そしてそれを支える独自のカリキュラムや日本一とも言われる図書館の活用法など、多岐にわたるテーマで語っていただきました。

責任ある自由の中で育む「自主・自治・自律」の精神

ーー学校として大事にしていること、学校の特色について教えてください。

牧野先生: はい。本校は「自主、自治、自律」をモットーにしております。責任ある自由であるとか、あるいは自ら考え、判断し、行動する力を養うとか、そういったことを学ぶ楽しさを味わってほしいという教育環境を提供している学校です。

本校の高校には、細かく定めた校則がありません。あるのは126文字のルールだけで、要するに、「他者の自由を尊重してくれれば、あなたの自由も保障されます」ということが書かれています。

中央大学附属高校での学びを導く126文字のルール。

中学校を設立した際も、細かい校則は置かないことにしました。高校の基幹となる生徒を養成するためにも、自由の精神を尊重した教育が望ましいと思ったのです。

もちろん、発達段階を考えて、中学独自のルールは設けています。ただ、「こうしなさい」という言い方ではなく、なるべく自分たちで考えさせるようにしています。自分の行いがどういったことにつながるか、その行動には必ず責任が伴うということを普段から伝えています。

また、中央大学には「行動する知性」という標語があります。これは、知識を社会に役立て、現実的な課題に積極的に取り組む姿勢を重視する教育理念です。本校では、中学3年間で、さまざまな体験を通して自主的に学ぶ力や他者を尊重することの大切さを、真の自由が保障された環境の中で育んでほしいと考えています。

ーー 「自主・自治・自律」を育むための具体的な取り組みにはどのようなものがありますか。

牧野先生: 全ての活動でそうあるべきだと考えていますが、本領が発揮されるのは、やはり9月の文化祭ですね。

生徒は、中学1年生のうちから委員会や企画を細かく決めて、それぞれにリーダーを置いて話し合いを進めます。自分たちらしさが発揮できるよう、なるべく大人が口を出さないように運営しています。

それから、年度末に行われる芸術祭(合唱コンクール)もそうですね。クラス内で温度差がある中で、自分たちで解決しながらクラス一丸となっていく仕掛けを作っているつもりです。

探究学習のパイオニア「教養総合」で、プレゼン力や探究心が育まれる

ーーカリキュラムについてもお伺いします。グローバル教育や探究学習、ICTの活用など、積極的に時代に合わせた学びに取り組んでいらっしゃいますが、とりわけ特色のある学びや手応えを感じていることはありますか。

牧野先生: やはり探究学習には絶対の自信があります。本校では「教養総合」という授業になりますが、いわゆる「探究」という言葉が世の中で流行するずっと前から、こうした授業を実践してきました。

「教養総合」は、テーマや仮説の設定、情報収集、分析、そして説得力のあるプレゼンテーションの方法を、中3から高3まで段階的に学んでいく独自設置科目です。

この4年間を通じて、見つける力、探究する力、発信する力を養い、高3になったら1万字以上の卒業論文を書き上げます。

高2の「教養総合」では、興味がある講座をひとつ選択し、国内外で実地踏査を行います。私自身もカンボジアの講座を担当しており、ほかにも、ベトナム、オーストラリア、アメリカのNASAに行く講座などがあります(年度によって開講講座は変わります)。自らの探究テーマを決め、実地踏査を経て、1年間かけて探究成果をまとめ上げます。

こうした取り組みの成果は大きく、物理学や生物学の学会で賞をいただく生徒もたくさんいます。本校の生徒が人前で発表する力や、自分で問いを立てて探究する力は、圧倒的に強いと思います。中3の段階から、その力を本格的に身につけていけます。

ーー大学に入ってからも生きる力ですね。

牧野先生: まさにそうです。本校は大学附属校なので、大学に入るための勉強ではなく、大学に入ってから、社会に飛び立ってからも活かせる学びに主眼を置いています。卒業生たちも、本校の探究学習で得たことは大きかったと言ってくれて、手応えは大きいですね。

蔵書数20万冊超。日本一の図書館が探究学習を支える

日本一の蔵書数を誇る図書館。

ーー貴校といえば、施設の中でも図書館が特徴的だと思っています。蔵書数が日本一だと伺っていますが、その利用方法やメリットについて教えていただけますか

牧野先生: 蔵書数は今20万冊を超えており、日本の中高では日本一の規模です。2階建ての図書館は、本校の誇りです。

図書館には中央閲覧室があり、そこで授業を展開できます。1人1台PCが使える環境で、ネットやデータベースを検索しながら、関連する書籍にすぐにアプローチできる。これは非常に大きなメリットです。

先ほどお話しした「教養総合」の授業や、高3生が全員取り組む1万字以上の卒業論文や卒業研究も、この図書館がなければ成立しません。本校の探究学習を支える大黒柱は、間違いなく図書館です。もちろん、中学生も自由に利用できます。

ーー学術的な専門書も多いのでしょうか?

牧野先生: はい。入口付近には新刊書や新書、雑誌コーナーがあり、その奥には学問ごとの専門書や大型事典、美術書などが並んでいます。2階にもずらっと蔵書が並び、生徒はその全てに自由にアクセスできます。探究学習で使う本の大半は見つかりますが、もしなければ大学から取り寄せることも簡単です。

充実した施設と、法曹界で活躍する卒業生たち

ーーもう一つ、進学データに司法試験の合格実績を載せているのが非常に興味深いと感じました。これはどういった理由からなのでしょうか。

牧野先生: 中央大学は1885年に創設された英吉利(イギリス)法律学校に始まります。本校でも、進学先として法学部を志望する生徒は多いです。卒業した先輩たちがどれだけ司法試験に合格しているか、法曹界で活躍しているかを積極的にアピールすることで、「私にもできるんだ」と生徒たちに自信を持ってほしいと考えています。

ーー学校の敷地もとても広く、ここまでの広さの学校はなかなかありません。

牧野先生: 学校の敷地全体は、ちょうど東京ドーム1個分ほどの広さです。サッカー場が1面とれる広さの人工芝グラウンド、野球場、テニスコート6面があります。体育館も3か所あって、これだけの体育施設を備えた学校はなかなかありません。

また、本校は文科省のスーパーサイエンスハイスクール(SSH)に指定されていますが、その取り組みを支えるのが、中高合わせて8室ある理科室です。理科の授業ではそれぞれの部屋で専門的な実験を行い、探究の授業では生徒が一人ずつ個別の実験をします。白衣を着た中学生たちが真剣に実験する姿は、まさに「小さな科学者」のようです。

やりたいことに挑戦し、個性を伸ばしたい子にとって「天国」のような場所

ーー中学受験で入学されるご家庭は、どのような点に魅力を感じていることが多いと思われますか

牧野先生: やはり教育環境、あるいは教育理念だと思います。たとえば、学生時代に著しく抑圧された経験がある保護者様の場合は、「子どもには自由な環境でのびのび過ごしてほしい」と願って本校を選ばれることがあります。

ーー校風にひかれて、ということですね。

牧野先生: はい。自由な校風のもと、勉強や探究、部活もとにかく一生懸命。それを学校全体で応援している点が、多くのご家庭のニーズとかみ合っているのだと思います。

ーー最後に、中央大学附属中学校はどんなお子さんにおすすめだと思われますか。

牧野先生: チャレンジしたいことがある子はもちろん、チャレンジしたいことを見つけたい子も大歓迎です。自分の個性をぞんぶんに伸ばしたい、自分らしく生きたいと願う子も、両手を広げて待っています。本校は絶対に個性をつぶしません。

もちろん、「自由」の意味をはき違えず、自分を律する力も必要です。やりたいことをとことん探究する意欲と、自分を律する力を育てようとする生徒にとって、本校は「天国」だと言えるでしょう。

ーーなるほど、学校の雰囲気も明るいのでしょうね。本日は貴重なお話をありがとうございました

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お話を伺ったのは
中央大学附属中学校・高等学校 牧野良介教頭
中央大学附属中学校・高等学校 中学教頭/数学科教諭。授業・学年運営に携わるとともに、学校運営、探究的な学びの推進、大学連携など教育活動の企画・運営に取り組む。生徒が安心して挑戦できる環境づくりを重視し、自ら考え、判断し、行動する力を育むことを大切にしている。

聞き手は

中学受験専門家・Growy代表 ユウシンさん

YouTubeチャンネル「ホンネで中学受験」、個別指導塾Growy代表。自身も中学受験を体験し、大学進学後、大手集団塾講師や家庭教師として中学受験業界に入る。チャンネルでは学習法、学校紹介、塾紹介などの発信をし、登録者数4万人。著書に『SAPIX、日能研、四谷大塚、早稲田アカデミー 中学受験4大塾でがんばるわが子の合格サポート戦略』(実務教育出版)がある。

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文・構成/HugKum編集部

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