なぜアメリカがイランを攻撃するの? 3つの理由を小学生にも分かるように解説【親子で語る国際問題】

今知っておくべき国際問題を国際政治先生が分かりやすく解説してくれる「親子で語る国際問題」。今回は、アメリカとイスラエルによるイランへの攻撃について、小学生が分かるように解説します。

アメリカとイスラエルがイランを攻撃

3月になって、中東地域で軍事的な緊張が高まっています。トランプ大統領率いる米国とイスラエルが、イランへの空爆を行い、イランの最高指導者ハメネイ氏が亡くなりました。

今後も緊張した中東情勢が続きます。日本にいると遠い国のことのように見えますが、実は私たちの生活にも関わってくる、とても大きくて複雑な問題です。なぜ、この国々はここまで激しく対立しているのでしょうか。その理由を、歴史、宗教、そして武器という3つの視点から学んでいきましょう。

殺害されたアリー・ハメネイ氏  CC BY 4.0, via Wikimedia Commons

1979年、アメリカを敵視する人々がイラン革命を起こした

まず、歴史的な背景として約40年前の出来事が挙げられます。当時、イランという国では大きな転換点となる「イラン革命(1979年)」が起きました。それまでのイランは、アメリカと非常に仲が良く、昔のリーダーはアメリカのやり方を積極的に真似しようとしていました。しかし、これに反発した人々が、新しいリーダーを立てて革命を起こしたのです。

その新しいリーダーとなったホメイニ氏(その後、最近亡くなったハメネイ氏がイランを支配してきた)は、「アメリカは自分たちの国を支配しようとする悪い国だ。イスラエルは敵だ」と激しく主張しました。それ以来、イランはアメリカやイスラエルに対して強い敵対心を持つようになりました。

宗教的なグループ「シーア派」と「スンニ派」の争い

次に、宗教的なグループの違いも大きな原因です。この地域の歴史には宗教が深く関わっています。イスラム教には大きく分けて2つの大きなグループがあります。

まず、イランは「シーア派」というグループにおいて、リーダーのような立場にある国です。イランは、中東の他の国々や、その国の中にある武装グループのうち、自分たちと同じシーア派の仲間をサポートしています。

一方、アメリカやイスラエルは、別のグループである「スンニ派」の国々と仲良くしています。イスラム教のうち、多数派を占めるのがスンニ派で、いわゆるアラブ諸国の多くはスンニ派です。

このように、宗教的なグループの違いが、お互いの不信感を強め、ケンカの輪を広げる原因になっているのです。

イランが核兵器を持つことを阻止したいイスラエル

そして、現代の対立の最も大きな理由は、核兵器という恐ろしい武器の存在です。核兵器は、一発で街をひとつ吹き飛ばしてしまうほど恐ろしい力を持っています。

イランは「私たちは平和的な目的で、原子力エネルギーを使って電気を作りたいだけだ。核兵器は作らない」と言っています。しかし、アメリカとイスラエルは「絶対嘘だ。原子力で電気を作るふりをして、本当は核兵器を作って世界を脅かそうとしているはずだ」と強く疑っています。

アメリカとイスラエルは、イランが核兵器を持ってしまうと世界がとても危険になると考え、イランが武器を作ったり技術を磨いたりできないように、厳しいルールを作って監視しています。今回の空爆も、その監視の延長線上で起きたものと言えます。

互いの国を守りたいため、対立が深まっている

さらに、それぞれの国が自分たちの安全を守ろうとすることも対立を深めています。イスラエルはイランの近くにある小さな国ですが、イランはその存在を認めておらず、「イスラエルはパレスチナ人の土地を奪ってできた国だ」として敵視しています。

一方イスラエルは「イランがイスラエルを攻撃するためのミサイルを持っている」と主張しており、これがイスラエルにとって大きな脅威になっています。イスラエルは「いつイランから攻撃されるか分からない」という恐怖から、アメリカと協力して、イランの軍事的な力を弱めようとしているのです

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記事執筆/国際政治先生
国際政治学者として米中対立やグローバルサウスの研究に取り組む。大学で教壇に立つ一方、民間シンクタンクの外部有識者、学術雑誌の査読委員、中央省庁向けの助言や講演などを行う。

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