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使える環境が拡大中。日本の1050自治体の子どもたちへ
――年々認知度を高めているCanvaですが、現在の教育現場でのCanvaの普及状況を教えていただけますか?
坂本さん:公開情報としてお伝えすると、日本には現在1,788件の教育委員会があり、そのうち1,050件で導入されています。かなりのリーチができている状況だと認識しています。
※2026年7月現在。

――すごい数字ですね。学校ではどんな使い方が主流なんでしょうか?
坂本さん:レポート作成やプレゼンテーションが代表的です。子どもたちが学習したことを発表する場面での活用ですね。それから、成果物だけでなく、ホワイトボード機能を使ってグループで意見を出し合う場面にも使われています。
これまでは先生が問いかけて、手を挙げた子だけ活躍するようなシーンが多くありましたが、Canvaを使うと全員が授業に参加しやすくなります。共同編集機能も強化されているので、みんなで一緒にプレゼンテーションを作ったり、質問を作ったりすることもできるようになっています。
8割9割が「まだ手書き」という現実
――HugKumでは毎年「自由研究コンクール」を開催しているのですが、提出作品の8割・9割が手書きです。「デジタルでの制作はつきっきりで横にいて指導しないとうまくいかない」など、結果的に手書きのほうが楽、という声もあります。Canvaはその点、子どもでも使える操作性の高さが魅力でしょうか。
坂本さん:そうですね。もともとCanvaが生まれた背景には、非常に難しくて高額なツールしかない、という現状がありました。それに対して、誰もが簡単に使えて低額で提供できるツールとして登場したのがCanvaです。その「簡単に」というところが最大の強みだと思っています。
使い方を解説する「取説ドラマ」というものも配信していますので、ぜひチェックしてみてください。

――私自身まだ使いこなしているとは言えなくて。テンプレートがたくさんありすぎて、どれを使えばいいんだろうと固まってしまうことが多いんですが……。
坂本さん:テンプレートが多すぎる場合は、「限定されたテンプレートを活用する」というのがひとつの方法です。たとえば、コナミさんとのコラボにより、「桃太郎電鉄 教育版」の中でCanvaのテンプレートを提供しています。
子どもたちがゲームで学んだことを遊んで終わりにならないよう、「こういうふうにまとめよう」という形で使えるようにしています。表紙があって、内容を書き込んで、写真を埋め込んで表現する、という流れです。
――たとえば、「自由研究」というテンプレートそのものもあるんですか?
坂本さん:実は検索してみると、あるんですよ。プレゼンテーション形式のもので、たとえばミツバチを研究した場合のテンプレートがあって、それをセミやカブトムシに置き換えて使えます。

また「新聞」テンプレートもあって、子どもたちが授業などでアナログでやってきたものを、そのままデジタルに置き換えることもできます。何もかも1からだと難しいですが、テンプレートに当てはめていく形なら、子どもたちでもできそうですよね。
「字や絵がうまい子だけが活躍する世界」を変える
――調べたり観察したりするのは楽しくやれても、いざ紙にまとめようとなると、途端につまずく…という子も多いですよね。
坂本さん:そうなんですよ。私自身がそういう子だったんですけど(笑)。小学校って、絵のうまい子と字のうまい子が活躍する世界があるんですよね、どうしても。たとえば、めちゃくちゃ歴史が好きで詳しいのに、壊滅的に字や絵がダメで、だからまとめ作業は嫌だ、のようなことが多いじゃないですか。
そのあたりに関して、Canvaとして描いているミッションがあります。「誰もがデザインできる世界」、つまり「誰もが表現できるツール」となることを目指しています。大人だけではなく子どもにもぜひ使っていただきたいです。
ーーゆくゆくは親のほうが子どもに教えてもらう立ち位置になっていきそうですね。
坂本さん:直感性の高いツールになっているので、大いにありうると思います。今の子どもは直感的にデジタルデバイスを扱うことに長けていますからね。
低学年でも使える。スイミーの授業で見えた可能性
――ちなみに、Canvaは何年生ぐらいから使えるものなんですか?
坂本さん:使える・使えないで言ったら、低学年から使えます。実際に私が、東京都町田市の小学2年生の子どもたちと一緒に授業をやってきた事例があります。
国語の教科書に出てくる「スイミー」を使った授業なんですが、スイミーには「すいちゅうブルドーザーのようないせえび」「にじいろのゼリーのようなクラゲ」といった比喩表現が出てきますよね。子どもたちは先生の授業で比喩表現を学んで、「じゃあ自分でも使ってみよう」となるわけですが、以前はどうしても字や絵がうまい子しか上手にアウトプットできませんでした。
そこでCanvaのAI画像生成を使って、子どもたちが考えた比喩表現を形にしたんです。「流れ星のようなイカの群れ」とか「座布団の上に乗ったタコ」のような表現を、実際に動く画像として生成できる。これこそデザインの民主化だなと思いました。

紙と鉛筆ではなかなか乗り込んでこなかったやんちゃな子どもが、Canvaだと夢中で取り組んでいる姿を見たとき、やはり意味があるなと感じましたね。
インプットはアナログで、アウトプットにデジタルを
――先生方の中には「手書きには手書きの良さがある」という方もいらっしゃいますか?
坂本さん:もちろんいらっしゃいます。私たち自身、基本的に、知識・技能として身につけるべきところは手書きで、と思っています。
たとえば「墾田永年私財法」という単語を知っている方は多いと思います。書ける方も一定数いますよね。なぜかというと、学生時代に何度もめんどくさいと思いながら書いたり、聞いたり、読んだりしたからだと思うんです。だから記憶として定着した。基礎的なところは手書きで覚えるべきだと思っています。
デジタルでアウトプットするのは、自分がインプットした内容を表現するときが最適です。「知識として、自分はもう獲得した。それを表現するステージでデジタルを使う」という形ですね。
ーーあくまでインプットはアナログが大事だけれど、アウトプットの一環としてCanvaをうまく使っていただければ、ということですね。
坂本さん:非常に有効だと思います。手書きでなくてはダメ、Canvaのようなデジタルでなくてはダメというわけではなく、うまく両軸を使っていただけるとうれしいですね。
AI機能の利用にはルールも。家庭での活用はどうする?
――家庭でCanvaのAI機能を使う場合、何か気をつけることはありますか?
坂本さん:少し細かい話になりますが、AIの利用ポリシーがあります。教育版を使っている場合は、先生が意図した学習活動の中で使う限りはOKとなっています。ただ、そういった文脈なしに子どもたちが適当に作ることは、基本的にNGになっています。
無料版にもCanvaのAI機能はあるのですが、使用制限が厳しかったり、子どもは使えなかったりします。家庭内でCanvaを使う場合は、基本的に親のアカウントで登録したCanvaを使うか、学校で配付されているアカウントで家庭の端末や持ち帰ったタブレットでやることが基本となりますね。

「願いさえあれば、実現できる」時代へ
――今後、子どもたちの表現はどう変わっていくと思いますか?
坂本さん:絵の才能がない子でも、発想力が優れていれば人と違った創作ができる可能性が十分にあります。「こういうものを作りたい」という願いさえあれば、テクノロジーで実現できるようになってきていますから。
これまでこういった活動は、クリエイターにしかできなかったんです。アイデアはあるけれどできない人たちがたくさんいた。それがAIによって、みんな一緒になってきた。子どもたちの表現の幅はこれからどんどん広がっていきます。
――授業の形式そのものも変わっていきそうですね。
坂本さん:そうです。これまで実現できなかったような活動がどんどんできてきますから。夏休みの自由研究も、ぜひCanvaを通じて、新しい表現の入り口として使っていただけたらと思います。
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お話しを伺ったのは
▷Canva Japan | Canva教育版統括マネージャー
▷Canva|District Engagement Adovocate
,JPN
▷ EDUBASE CREW
▷文部科学省学校DX戦略アドバイザー
▷著書『Canvaの教科書 』『全部やろうはバカやろう』等多数
文・構成/HugKum編集部