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「発達凸凹さんフェスタ~みんな持ってる凸凹ピース~」って?
「発達凸凹さんヘアカット」では発達障がい者(児)が通える理美容室の検索だけではなく、保護者が日頃抱える悩みや不安を解消するオンラインサロン、理美容師に向けた障がいの特性を理解するためのセミナーなども行っています。
「発達凸凹さんヘアカット」サイトは>こちら
コンセプトは「“最初の一歩”が、ヘアサロン~発達障がい児が社会に出るために~」。イベントは発達障がい児に寄り添う理美容師が中心となり、絵画コンテストや音読劇、ヘアアレンジショー、専門家によるトークセッションなどが行われました。
「発達障がいは才能だ!」茂呂史生さんによる講義
イベントでは「世界を変える子どもたち」著者、茂呂史生さんによる講義&トークセッションが行われました。
就労支援施設を16ヵ所経営している茂呂さんは、「発達障がいは才能だ!」ということを講演会などで発信するなど、多くの人に発達障がいの理解を深めてもらう活動をしています。
障がいの概念が大きく変わる!?新時代を切り拓く才能とは
茂呂さん:新時代を切り拓く才能ということを考えると、子どもたちがこれから世の中に出ていく10年後20年後がどのような世界になっているのかが重要です。
特にその中でAIの発達など、僕はテクノロジーの進歩にすごく着目しています。なぜかというと、そもそも障がいという概念ができたのが農業から産業革命がおきたときなんですね。農業をしていた人たちが産業革命で大量生産の時代になり、工場で働けない人がでてきたわけです。そこで初めて守っていかないといけないよねということではじまりました。そしていま、産業革命からIT革命に移ってきているの中で障がいの概念が大きく変わるタイミングにあります。
テクノロジーの変化により人々の生活、暮らしが変わっていく
茂呂さん:これから未来の暮らしがどのように変化するのかというと、ディスプレイを内蔵したスマートコンタクトレンズの技術により目の前にでるモニターが情報を教えてくれる。パソコンは脳はで操作できるようになり、言語を使わないでコミュケーションをとる方たちが脳波を使ってコミュニケーション取れるようになる時代も来るかもしれない。
そうして、今までの困りごとがテクノロジーで解消することが出来たらどのように変わっていくのか。テクノロジーを上手く使えない人たちの方が障がい者になる時代がやってくるかもしれません。
発達障がいの特性による「人とは違う才能」を活かす
茂呂さん:AI時代になりると、今まで必要とされていた大量生産、大量消費、大量記憶、大量計算のしくみが変わってきます。そうすると求められる才能はどのように変化するのでしょうか?それが人とは違う才能、人とは違う発想だったりするわけです。
発達障がいの子がどのような才能を持っているのかと言うと…
【過剰集中】
こだわりが強い、切り替えが苦手。
→集中力が高い。
【マインドワンダリング】
今やっていることと違うことを考えてしまうこと。集中力がないように見えたり、違うことをはじめたりしてしまう。
→発想力がある。音楽家やデザイナーに多いと言われている。
【ハイ センセーション シンキング】
刺激的なこと、危険なことをしたがる。
→恐れない子。会社経営や社長に向いている。
【衝動性】
やりたいと思ったことをやってしまう。
→行動力がある。
このように、ネガティブに思われてしまうようなことに対して考え方や捉え方を変えると、ものすごい才能になります。
みんな持ってる凸凹を理解してもっとハッピーに
イベントの後半に行われたトークセッションには、茂呂さん、NPO法人セルフ代表の安永康子さん、発達凸凹さんヘアカット掲載店の美容師 渡辺そらさん声紋分析心理学士 富田くみ子さんが参加しました。
みんな持っている凸凹
発達障がいという言葉が世の中に浸透して、もしかしたら自分もそうだったのかもしれない…、と思うことがある人もいるのではないでしょうか。忘れ物が多い、人の名前が覚えられない、コミュニケーションがうまくできないなど、トークセッションのメンバーも自他共に認めるADHDの傾向があるという人も。「衝動性があったからこそ、新しいことが生み出され、イベントを成功させることができました。」と安永さん。
日本の教育と発達障がい
富田さん:日本の教育は、我慢しなさい、動いちゃいけない…、など抑え込むようなところがありますよね。
茂呂さん:宿題も全員が同じものをやるんですよね。毎日のように横並びの宿題を出されると、できる子は簡単すぎるし、できない子は難しすぎる。宿題が好きな子が少ないのは、やらされている感があるからなんですよね。宿題をやって褒められても、やらなきゃいけないものだから好きにはならない。それがもし、自分が得意なこと好きなことをやって褒めてもらえたら「嬉しい!楽しい!」という気持ちになり自己肯定感にもつながりますよね。なので、今のままではどうしても勉強が好きになりにくい。
富田さん:うちの息子には、みんなで同じことをやりましょう!というのが合いませんでした。それで、小学3年生から積極的に学校にいかない「ポジティブ不登校」という選択をしました。
「息子は、3年生から明るく元気に楽しくポジティブ不登校です!」と宣言したんです。本人が辛そうで無理して学校に行って笑顔が消えてしまうなら行かなくていいと。
今は中学生になって、親がのんきにポジティブ不登校ですなんて言ってたら息子が「そろそろ学校に行こうかな」って自分で朝の準備をして行くようになりました。
学校の教育が合う子もいます。でも合わない子もいる。それも当たり前という世の中になってほしいですね。
茂呂さん:義務教育のとらえ方が違っている人が多くて、本来は勉強をしたい子に教育を受けさせてあげないといけないよという親の義務なんですよね。それを小学校に行かなきゃいけないよととらえている人が多いですよね。学校に行けばいろいろな学びがあるけれど行かなきゃいけない義務は、実は子どもにはないんです。
発達障がいに対する理解を広げていくことが大切
安永さん:私の息子も障がいを持っているのですが、今の彼が生活できるのはみなさんのおかげ。でもそれは外に出ないと出会えなかった人たちなんですよね。毎日駅に行くからお店の人が覚えてくれて挨拶ができるようになる。他人様に可愛がられるような子に育てたいと思っていましたね。
茂呂さん:お子さんのことに関していうと一番は繋げていくことだと僕は思っています。地域住民も積極的に関わっていけるように理解を繋げることが大事だと思います。これからも活動を続けながら理解を広げていきたいですね。
HugKumではイベントで開催されたヘアショー、特別ゲストの栗原類さんのインタビューも紹介しています。ぜひ、合わせてチェックしてみてください。
■イベントレポート【後編】栗原類さんインタビューページはこちら>>
撮影/早坂華乃 取材・文/やまさきけいこ