【中学受験】「4大塾が馬に水を飲ませるとしたら…?」中学受験の「あるある」が面白すぎると話題! 元SAPIX生徒ママ漫画家りえ太郎さんにインタビュー

漫画家のりえ太郎さんは、息子さんの中学受験に伴走したリアルな日々をコミックエッセイ『ギャグ漫画家の母が初めて中受伴走をしてみたら』に描いています。笑いと親の本音がつまったエピソードは、共感できるものばかり。今回は、りえ太郎さんに、お子さんが中学受験を決めた理由や、りえ太郎さんが漫画を描くようになったきっかけ、受験のサポートで気をつけていたことなど、じっくりお話をうかがいました。

中学受験の「あるある」が詰まった漫画が面白すぎると話題に!

――「4大塾が馬に水を飲ませるとしたら…?」の漫画が、中学受験界隈の保護者の間で話題になっていますね。とても面白かったです!

りえ太郎さん:息子が6年生の頃のSAPIXの保護者会で、校舎長が「この時期は知識が溢れちゃうので、溢れちゃって構いません。でも何パーセントかは飲み込めています」とおっしゃったんですね。その言葉が印象的で…以前から「馬を水辺に連れて行くことはできても、水を飲ませることはできない」ということわざで何か漫画ができないかなと考えていたのですが、その校舎長の言葉で、口から水が溢れ出ている馬が頭に浮かびました(笑)

もちろん私の個人的なイメージの創作ですが、四谷大塚といえば「予習シリーズ」ですし、日能研に通っている子はママも含めてみんな仲がいいイメージがあります。そして日能研に通わせているママたちはなぜか、この漫画をすごくほめてくれます(笑)。

早稲アカは、いろいろな意味で「巧み」というイメージです。この漫画はいいねもたくさんいただきましたが、特にこれだけがずば抜けているというわけではなく、お子さんの受験の時期と私の漫画を重ね合わせて共感していただくことが多いように感じています。

――息子さんの勉強を見る中で、親の方が暗記してしまったというのも「あるある」で、共感しました。

りえ太郎さん:そうですよね。私の場合、一番鍛えられたのは、理科の植物分野です(笑)。

もともと息子は算数が得意で、社会も鉄道がきっかけで興味を持てたのですが、生き物や植物にはほとんど関心がありませんでした。花びらの数や「エンドウ豆はマメ科」「トウモロコシはイネ科」などの分類はちっとも覚えないので(笑)、間違えたものを壁一面に貼りだしたり、食事のときに「これは何科の植物かな?」とクイズにしたりして、一緒に覚えていきました。

私自身は田舎育ちなこともあり、何となく知っていることもありましたが、「こんなに植物に詳しくなる日が来るとは…」という感じでしたね。「しんにょうLuup」や「北里”紫”三郎」など漢字ネタの漫画も描いていますが、子どもがつまずきやすいポイントにもだいぶ詳しくなったと思います。

「鉄道研究部」のある学校を目指すことから始まった中学受験の伴走

――りえ太郎さんが、お子さんの中学受験を決めた時期やきっかけについて教えてください。

りえ太郎さん:うちの子は、小さい頃からずっと鉄道が大好きだったんです。ただ、身近に同じ熱量で語り合える友達がなかなか周りにいなくて、学校では自分から鉄道の話題を控えてしまうようなところがあったんですね。そんなとき、とある中高一貫校の文化祭で鉄道研究部の活動を見て、「ここなら思いきり好きなことに没頭できるね」と、憧れを持つようになりました。そこから中学受験という選択肢を意識し始め、1年生からSAPIXに入塾しました。

――実際に中学受験のサポートをし始めて、大変だったことは何でしたか?

りえ太郎さん:いちばん最初にびっくりしたのは、塾のテキスト量とレベルの幅広さです。SAPIXのテキストは、トップ層から平均的な子まで、かなり幅広い層をカバーしています。そのため、どのレベルまでやればいいのかが最初は全くわからず、「とにかく全部やらせなきゃ」と力が入りすぎていました。

――りえ太郎さんが、中学受験に関する漫画を投稿するようになったきっかけを教えてください。

りえ太郎さん:息子が小6になった頃から漫画を描き始めました。中学受験といえば、小説などで描かれるのは「親子のドロドロ」や「教育虐待」といわれるようなネガティブなイメージのものが多いと感じていました。もちろん、しんどい場面もたくさんあるのですが、伴走の日々の中には笑えることもたくさんあって、そういう受験生活を漫画という表現で発信して知ってもらいたいという気持ちがありました。

それに、受験期の親は本当に孤独になりがちです。友達にも受験のことは気軽に話しにくいですよね。ですから孤独で戦っている親御さんたちの気持ちに寄り添えたり、共感したりできたらいいなと思いました。私も漫画に「いいね!」をいただくことで支えられました。

息子も応援してくれて、ネタがないときは息子に相談したり、学校や塾で面白かったことを教えてくれたりすることもありましたね。会話が受験や勉強のことばかりになりがちな時期も、そんな話をしているとお互いに気持ちがほぐれました。

「親子げんかは翌日に持ち越さない」「愚痴を言うなら第三者に」受験期間に意識していたこと

――お子さんへのサポートで意識されていたことはありますか?

りえ太郎さん:親子げんかは、その日のうちに消化するということは決めていました。受験期なので当然ぶつかることもあるのですが、しこりを翌日に持ち越さないようにしました。夜、寝る前の時間に耳つぼやヘッドマッサージをしながら、「さっきは強く言いすぎちゃったね」「今日はここが頑張れてたね」と、その日のうちにお互いの気持ちを少し整えるようにしていました。

――成績の波や模試の結果に一喜一憂してしまう方も多いと思いますが、りえ太郎さんはどのようにメンタルを守っていましたか?

りえ太郎さん:特に低学年の頃は、親としても、「クラス」「順位」「偏差値」という指標を目の前にすると、一喜一憂してしまっていましたね。成績が上がると一緒に舞い上がり、下がると親の方が落ち込んでしまう……それは「ない人の方が少ない」と思います。

成績以外でも、たとえばSNSで教育パパさんを見ると、「あのパパさんはあんなにやってくれるのに!」と思うこともありました。でも夫婦で話し合って自分たちのスタンスを決めるようにしてからは、あまりそういった情報に左右されなくなりましたね。

また、夫に愚痴を言うと角が立ったり、言い合いになったりしてしまうので、家族以外の第三者(マッサージの施術者など)に聞いてもらうことが多かったです。これは結構よかったです。

――今振り返ってみて、りえ太郎さんにとって、お子さんの中学受験はどんな経験でしたか?

りえ太郎さん:よく「中学受験は親子の競技」と言われますが、本当にその通りで、二人三脚だなと感じました。大変なことも多かったのですが、息子だけでなく、自分自身もすごく鍛えられた時間でした。

――お子さんは今、どんな中学校生活を送っていますか?

りえ太郎さん:学校生活をすごく楽しんでいます。休みの日は1人で、「撮り鉄」や「乗り鉄」をしていますね。少し前に大雨で電車が止まったときには、鉄道の知識を生かして、クラスの子一人ひとりに別の帰宅ルートを提案して喜ばれることもあったみたいです。

――今まさに中学受験に向かっている、特に小5・小6の親御さんへメッセージをお願いします。

りえ太郎さん:まずは、「本当にお疲れさまです」とお伝えしたいです。中学受験の伴走は、外から見ると「サポート」ですが、実際は生活ごと抱えて走る親子の競技です。「ちゃんと導けているかな」「これでよかったのかな」と、常に心配だと思います。ですが、漫画家風に言うなら、皆さんの物語はそれだけで十分に“名作”になっています。あとはどんな展開になっても、うまく最後のページが書けなくても、必ず次の章に進めます。応援しています!

――ありがとうございました! 中学受験の伴走をされている親御さんも、そうでない方も、りえ太郎さんの著書『ギャグ漫画家の母が初めて中受伴走をしてみたら』は、子育てあるあるが満載で、共感できるポイントがたくさんあるはず。ぜひ読んでみてくださいね!

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お話しを伺ったのは

りえ太郎さん

1970年群馬県生まれ。1996年アフタヌーン四季賞秋のコンテストで「ファミレス隊」受賞。同時に掲載デビュー。2012年にさいを出産。鉄道少年のさいはクイズ番組やバラエティ番組などに出演。本人が鉄道研究部の盛んな学校に進学したいということから母として全力で中学受験のサポートをはじめた。

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取材・文/平丸真梨子

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