目次
本業の仕事の都合で11年前に来日。2人の娘さんがいる4人家族
――BJさんはイギリス出身ですが、来日のきっかけを教えてください。現在日本に来て何年目ですか?
BJ Foxさん 2015年に来日したので、現在11年目です。
今も本業はゲーム関連の会社で働いています。最初はゲーム会社に勤めてロンドン、そのあとはシンガポールで5年間働いて、日本にオフィスを立ちあげる担当になり日本に来ました。
担当になった理由は、23年前にワーキングホリデーで日本に来たことがあって、日本語を少し話せたからです。
――では、スタンドアップコメディとダブルワークなんですね。
BJ Foxさん そうです。でも、スタンダップコメディは仕事って言っちゃいけない、暴走している趣味です(笑)。
――そうなんですね(笑)。BJさんの家族構成を教えてください。
BJ Foxさん 僕と妻と、5歳、3歳の娘が2人の、4人家族です。

自分の視野を広げ、選択肢が増えるように娘たちには多言語を話せるようになってほしい
――今、BJさんと私は日本語で会話をしています。YouTube動画で拝見しましたが、BJさんは家庭では英語で話していて、お子さんはパパが英語しか話せないと思っているそうですね!
BJ Foxさん 僕はイギリス出身、妻は両親が日本人とドイツ人ですがイギリス出身のため、会話は基本的に英語です。娘は妻とは日本語で、僕とは英語で会話をします。妻は日本語もドイツ語も話せるので、ゆくゆく娘たちにもドイツ語を話せるようになってほしいけれど、どのように話せるようにするかは課題です。
――今、娘さんはドイツ語を話していないんですか?
BJ Foxさん 少しだけですね。上の子がドイツ人学校に通っていましたが、今はスケジュール的に難しくなって通っていません。
――お子さんには日本語だけ、英語だけでなく両方話せるようになってほしいですか? その理由も教えてください。
BJ Foxさん 個人的には僕は英語の方が得意で、そのほうが頭を使わず
にフランクにコミュニケーションがとれるので、自分の娘とは英語で話したいという想いがあります。
それから僕は英語と日本語、妻は英語と日本語、そしてドイツ語が話せます。だから今僕たち夫婦は多言語を使う仕事についていて、それは物事を考えるときの視野を広げることにつながっていると思っています。
将来は日本に住み続けるか、ドイツやヨーロッパなどの海外で暮らすかはまだ何も決まっていないので、そのときまでに、娘たちの選択肢をできるだけ広げてあげられるようにと思っています。
英語力を伸ばすために子どもが視聴する動画の言語は英語に!
――幼少期に日本語と英語が混在していると子どもが言語で苦労すると聞くことがあります。なにか苦労したことはありますか?
BJ Foxさん そういう話は聞くんですけど、正直ないですね。特に上の子は普段からたくさん話す子で、日本語を上手に話しています。
でも、ときどき英語に日本語がミックスされたような変な英語を話すときがあります。最近は、ご飯を全部食べたときに保育園で使う「ぴっかりーん!」という言葉が英語のなかに混ざってました。「I pikkarined ……」のような感じで(笑)。
僕も妻もそれは今だけのことなので、かわいいなと思って直すより楽しんでいます。気になったのはそれくらいで、幼い子は成長がすごく早くて、特に困っていることもないですね。
――“ぴっかりん! ”かわいいですね。保育園に通っていると日本語で話すことが多くなりますが、お子さんたちは英語と日本語のどちらが得意ですか?
BJ Foxさん 上の子は英語が得意で、下の子はまだ3歳で英語はあまりしゃべれません。
なぜ英語かというと普段見ている動画の言語を英語にしているからだと思います。『パウ・パトロール』や『アナと雪の女王』も英語で見ています。
――英語で見るのはお子さんが英語で見たいというのですか? それとも意図的にそうしているのでしょうか。
BJ Foxさん 意図的です。一度だけ、他の人の端末で『ペッパピッグ』が日本語版で流れたことがありました。それで娘に日本語があることを知られてしまい、ちょっと残念でした。
普段はNetflixの言語を切り替えられることもまだわかっていないので、そういうものだと思って見ていたんです。ドイツ語で見ている子ども番組もあります。
――言語が違うことを子どもは嫌がらないんですか?
BJ Foxさん そういうものだと思っているようで、嫌がらないです。
――そうなんですね。では日本語のメディアは見ないですか?
BJ Foxさん 『アンパンマン』は日本語で見ています。これは保育園でも触れているから、娘たちも日本語のものだと思っているようです。
――保育園はインターナショナルスクールではなく日本の保育園なんですね。
BJ Foxさん そうです。近所の保育園なので送り迎えも楽ですし、家が近い人たちと知り合いになれました。この週末も2回も公園で遊んだり、寒かったから家に招いてもらったり。すごくいいですね。

日本の行事を学べて、文化を子どもたちに教えてくれる日本の保育園は素晴らしい!
――先ほど奥さまのお話が出てきましたが、子育ての考え方は夫婦で一緒ですか? それとも違うこともありますか。
BJ Foxさん 一緒だと思います。ふたりともそこまでこだわりが強くなくて、フリーに好きなことをさせたいと思っています。
――では、意見がぶつかることはないですか?
BJ Foxさん それはあります。どうしてかというと、うちは妻のほうが自由にさせていて、僕のほうが「時間通りに動きましょう」とか少し厳しいところがあるから。
――それはイギリスのスタイルですか? それともBJさんのご家庭がそうだったのでしょうか?
BJ Foxさん 僕の家族がそうだったんだと思います。僕のイメージでは日本のほうがもっと厳しいイメージでしたが、僕の家庭ではちょっと違いますね。
――日本で子どもを育てる中で子育ての仕方や保育園のことなどでいいなと感じたことはありますか。
BJ Foxさん 日本の保育園は、今のところが3か所目ですがどこも素晴らしかった。
保育士の優しさや真面目さが素晴らしく、遊びだけじゃなくて、いろいろなことを教えてくれますよね。
非常にありがたいなと思うのは、日本の行事を学べること。日本の文化を子どもたちに教えてくれることです。イギリスでは、今はこうではないと思います。
――あまり行事がないんですか?
BJ Foxさん そうですね。イギリスの文化からすると、そういった行事は教会と結びついていることが多いです。僕が若いときに参加していたサッカー少年団も、どちらかというと教会の少年団でした。教育と宗教を切り離して考えるようになってきているので、最近の若者はあまり教会に行けていませんし、行事もなくなっているようです。
日本の保育園は行事が何度もあって、「運動会だからまた仕事を休まなきゃいけない……」とか、大変なこともあるんだけど(笑)、でもありがたい!
節分で豆をまくとか、子どもが保育園で教わったことで、僕らも学ぶことが多いです。豆まきなど、教わったことを子どもに教わりながら家でやることもあります。
――そうなんですね。イギリスと日本の保育園には他にもなにか違いがありますか?
BJ Foxさん 僕自身が保育園に行っていたのははるか昔で、イギリスで子どもを育てた経験はないのですが、イギリスで子育てをしている僕の弟から話を聞くことがあります。保育園をナーサリーと言いますが、日本みたいに区や市がやっているところは少なくて、私立が大半。
東京都は認可保育園が無償化されていますが、イギリスの場合は保育料が半端なく高いようで、弟が言っているのは、奥さんが働いた分が全部保育料になっていると。でも将来のために仕事を続けていると言っていました。その先の小学校は無償になります。

将来を見据えて趣味が大切! いろいろなことを体験して失敗して、やりたいことを見つけてほしい
――子どもを育てる中で大切にしてること、大事にしてることはどんなことですか。
BJ Foxさん 趣味が大事ですね。僕は人生で自分がやりたいことを何回も発見して、非常にラッキーだと思っています。ビデオゲームが大好きだったから、本業はずっとゲーム関連の会社で仕事をしていて、コメディが大好きでコメディも仕事にしていて、やりたいことを形にしてきました。
最近趣味がないと言っている人も多いですが、自分の娘たちにはいろいろなことを体験して、自分がやりたいことを見つけてほしいです。
子どもたちは習い事をやりたくないかもしれない。うちの妻の場合ですが、イギリスにいるときに日本語学校に行きなさいと言われて、当時はすごく嫌だったみたいです。でも日本語が話せるようになった今は感謝しているそうです。
僕も同じくサッカーをやらされたり、16歳になったらアルバイトをしなさいと言われて無理やり体験もさせられたりしたけど、自分がやりたいことを見つけるにはいろいろなことにトライして、ときには失敗をすることが大切だと思います。
――お子さんは何の習い事をしていますか?
BJ Foxさん 上の子にはサッカーをさせましたが、最終的にやりたいことじゃなかったらしいです。ダンスや水泳、クラフトやピアノもさせたけど、彼女は勉強が好きなんじゃないかと感じています。
――最後に、これから日本の子育てで何か楽しみにしてること、大切にしたいことははありますか。
BJ Foxさん 一番楽しみなのは漫画や本の楽しみを発見してほしいですね。どちらかというと僕は漫画じゃなくて読書が好きで、本を読むことが大事だと思っています。
今は周りで本を読んでいる人をあまり見かけなくなったので、娘の前では本を読んでいることがわかるように、僕はkindleではなくあえて紙の本を読む姿を見せるようにしています。本の楽しさを理解してほしいですね。
あとは、「こうしなければ」「こうじゃなければ」のような社会的な縛りというのは感じなくていいと思う。そういうのは気にせずに、「こうなりたい」とか「こうしたい」と思ったら自由にチャレンジしてほしいとも伝えていきたいです。

普段の会話、言語設定を厳守しているからこそのお子さんの英語力
お話を聞いていて印象的だったのは、お子さんの英語力の向上を考えて、家庭では英語で話すことを徹底していること。Netflixなどの動画を見せる際は、言語を英語またはドイツ語に設定していることでした。子どもが嫌がるのではないかと思いきや、そういうものだと思っているから大丈夫だというのも興味深く、このルールを厳守しているからこそ、日本で生活をしながらもお子さんたちの英語力が培われているのだと感じました。
現在BJさんは、自身が3年前にオープンした東京・渋谷の『Tokyo Comedy Bar』にて毎週木曜日に英語と日本語それぞれの言語でステージに立つほか、日本各地のステージも回っています。興味がある方はぜひ会場に足を運んでくださいね。

こちらの記事もおすすめ
お話を聞いたのは
東京を拠点とするイギリス人コメディアンで、東京初にして唯一のスタンダップコメディクラブ「Tokyo Comedy Bar」の創設者。バイリンガルのコメディアン、俳優、脚本家として、日本にスタンダップコメディを紹介し、広める役割を担う。
NHK World初のオリジナルシットコム「Home Sweet Tokyo」では、脚本と主演を務め、2017年の放送開始以来、国内外で高い評価を受け、複数のシーズンが制作された。また、コメディアンの石井てる美と共に、人気英語学習ポッドキャスト「裏技英語」の共同ホストを務めている。
取材・文/長南真理恵 写真/五十嵐美弥
