発達障害の子の就学準備は1年前から。わが子に合った「放デイ」の選び方とは?【療育アドバイザーが解説】

発達障害の特性があって療育を受けている就学前のお子さんは、小学生になると「放課後等デイサービス」(以下、放デイ/事業所)を利用することが多いでしょう。放デイは、2025年から「健康・生活/認知・行動/人間関係・社会性/言語・コミュニケーション/運動・感覚」の5領域全てに沿った支援の提供とプログラムの公表が運営基準で義務付けられました。療育アドバイザーの藤原美保さんに、わが子に合った放デイの見極め方を教えていただきました。

「放デイ」を利用する目的は長時間の預かり?それとも療育

家庭が考える条件として子どもにどれだけ時間とエネルギーを割けるかで選択肢は変わってきます。放課後等デイサービスに療育を求める場合、「できるだけ長時間預かってくれる所」という条件では選びにくくなります。

理由は、長時間になるほど支援の質が下がりやすい傾向があるからです。もちろん、長時間でも丁寧な支援をしている事業所はあるかもしれません。しかし、現場には、どうしても避けにくい構造的な問題があるのです。

職員の勤務時間や人数、加算の上限も決められているため、人材不足も深刻化しており、パート従業員が現場を回す、人材が頻繁に変わるなど、子どもの状況を職員全員が情報共有し支援内容を照らし合わせるための時間がなかなか取れないところが多いのです。さらに、職員の学びの時間は人員配置に反映されないため、事業所は職員の知識の向上のための時間を物理的に取りづらい現実があります。

発達障害の支援は「準備が9割」

一方で、障害のある子どもは一人ひとり特性が違い、「同じ対応」ではうまくいきません。個別に合わせた支援をするには、当日の対応以前に、準備と子どもについての情報共有は欠かせません。

たとえば療育を行う事業所では、最低でも以下のような準備が必要になります。

・子ども一人ひとり、前回の支援を振り返り、効果があった点・改善点を話し合う

・その日来所する子ども一人ひとりの対応方針を決め、職員全体で共有する

・個別支援計画とつながる支援内容を考え、記録を残す。

・自立課題や休憩の取り方、刺激の調整などを子どもに合わせて準備する

・現場の人員配置を全体で共有し、指導員同士が連携して動けるようにする

・送迎計画、提供するカリキュラムのスケジュール管理、部屋の環境設定の準備

特に「急な変更が苦手」「見通しがないと不安が強い」子が落ち着いて過ごすためには、これらの条件が整うことが必要です。

しかし、これを全員に対して個別に丁寧に積み上げるのは簡単ではありません。手が回らなくなると、支援がその子のためではなく“現場を回すため”のものになりやすくなるからです。

子どものテンションを上げる関わりが中心の事業所は要注意

手持ちの支援の引き出しが少ない大人(支援者)が困ったとき、場を成立させるために取りやすい方法があります。それは子どもを無意味に「おだてる」「盛り上げる」「とにかく楽しませてテンションを上げる」といった関わりです。

楽しませること自体が全て悪いと言っているのではありません。問題は、目的が「子どもの成長」ではなく「時間を何とかやり過ごすこと」になってしまう場合です。テンションを上げて過ごさせ、そのまま高い興奮状態で帰宅――この流れが常態化している事業所は、私はおすすめしません。

長時間の預かりを希望する場合は、事業所でクールダウンしてから帰宅させてくれる事業所を

発達障害のある子は切り替えが苦手な子も多く、気持ちを落ち着かせるのにエネルギーが必要です。気持ちが興奮した状態で家に戻ると、保護者は落ち着きのない子どもに、帰宅後さらに振り回されやすくなります。

保護者の多くは、仕事で疲れて帰ってきて、落ち着いて夕飯を食べて、お風呂に入って、穏やかに過ごしたいと思っているはずです。ところが、子どもがテンションの高い状態で帰ってくると、

・「静かにしなさい!」と叱る

・夕飯まで「ちょっと待っていて」とゲームをやらせたり、動画をみせたりする

という流れになりやすいのが現実です。

なので、長時間の預かりを希望する場合ほど、事業所でクールダウンしてから家庭に帰してくれる所がおすすめです。

事業所に子どもの相談をしない保護者が多い、そのワケは?

私が放課後デイサービスを運営していた時、保護者の相談でいつも不思議に思っていたことがあります。それは、週5日通っている事業所があるのに、そこで子どもの相談をしない保護者がとても多いことです。

週5日も預かってもらっているなら、子どもの様子をよく見ているはずで、記録もあるはずです。それでも相談は週1回通所している私の事業所でするのです。理由を聞くと、「子どものことをよく分かっていない」「障害特性を理解していない」と言われます。実際、担当者制の事業所になると他の担当者にわが子の事を聞いても答えられないという事業所も存在します。
当時、相談のためだけに市外から車や電車で1時間もかけて「月に1回利用したい」と来所する保護者が何十人もいました。つまり、保護者にとって「子どもを預ける事業所」と「子どもの相談をする事業所」が別々になっているということです。同じ通所事業所であるはずなのに非常に不思議でした。

相談ができ、相談内容が支援に反映され、家庭への助言までつながっていく――この流れがない事業所は、結果的に親子の負担は減ることはないでしょう。

「相談しても話が通らない」「記録はあるのに支援に活かされていない」と感じる事業所は、おすすめできません。

個別支援計画はチェックポイントを押さえて確認を

個別支援計画がどのように作られているかも確認できるとよいと思います。名前や障害名、利用時間などの個人情報は伏せたもので十分です。

チェックしたいポイントは次の2つです。

・長期目標が、短期目標の積み重ね(延長線上)になっているか

・目標が具体的で、「達成/未達成」が判断できる形になっているか

たとえば「お友達と仲良く過ごす」などが目標にかかれている場合は、支援計画としては不適切です。「お友達」とは誰が決めているのか?「仲良く」の基準は何かが分かりにくく、支援も評価も分かりづらいからです。

現在は、「健康・生活/認知・行動/人間関係・社会性/言語・コミュニケーション/運動・感覚」の5領域について目標を立てるよう、国のガイドラインが示されています。これらの領域に沿って、具体的な目標が整理されているか、活動はその内容に則したものかを確認できると、その事業所が何を大切にして支援しているのかを判断する材料になります。

「放デイ」の見学は事前にスケジュールを聞いて

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記事監修

藤原美保|株式会社スプレンドーレ代表

保育士、公認心理師。発達障害の女の子の性教育や身だしなみ教育を行う放課後等デイサービスLuce(ルーチェ)を2022年まで運営。現在は障害のあるお子さんと保護者が一緒に通うことができる脱毛サロンLuceを運営(施術中に療育相談に対応可)、子育てや療育相談、事業所での性教育のやり方、職員研修やコンサル、講演等を行う。著書に『発達障害の女の子のお母さんが、早めに知っておきたい「47のルール」』、『発達障害の男の子のお母さんが早めに知っておいてよかったこと70』(エッセンシャル出版社)、『発達障害の女の子の「自立」のために親としてできること』(PHP研究所)がある。

YouTubeで「子どもの対応おたすけチャンネルMamma mia」を配信中

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