「プリントは減っていない」今どき家庭のリアル
学校のお便りがデジタル化してきたとはいえ、プリントそのものが大きく減ったという実感は、あまりないご家庭も多い――。
そう話すのは、整理収納サービス「おうちデトックス」代表の大橋わかさん。

学校の連絡アプリやメール配信が増えた一方で、地域のお知らせや習い事、行事関係などは今も紙で配付されるケースも多く、家庭には紙とデジタル、両方の情報が届きます。
紙が減ったというより、紙とデジタルが混在している状態。管理はむしろ複雑になっていると感じる方も。さらに、「これは保存する?提出が必要?いつまで取っておく?」といった判断が情報のたびに必要になるため、“量”というより“判断の多さ”に負担を感じている方も少なくありません。
紙とデジタルが混在している今、プリント整理は、これまでとは少し違う考え方が求められる時期に入っています。
今どきプリント整理の考え方
プリント整理の方法に正解はなく、「おうちデトックス」スタッフの間でも、アナログ管理、デジタル管理、ミックス型とさまざま。大切なのは、きれいに整理することよりも、自分が把握しやすい方法で続けられることです。

ポイント① 使い慣れている方法を選ぶ
普段からスケジュール管理をスマホでしている方は、プリントもデジタルで管理したほうがラクですし、紙の方が確認しやすい方は無理にデジタルに寄せなくても大丈夫です。“自分が慣れている方法”に合わせることが、続けやすさにつながります。
ポイント② 用途によって管理方法を変えるのも手
紙とデジタルのどちらかに統一する必要はなく、役割分担を決めておくことも今の時代に合った整理のコツです。すぐ行動が必要なものや手元で見たいものは紙、記録や確認が中心のものはデジタル、といったように使い分けてもいいでしょう。
アナログ管理方法
自分のタイプに合った仕組みなら続けやすい
プリントのアナログ管理は、片付けが得意かどうかや、重視するポイントによって、続けやすい方法が変わります。ここでは、おうちデトックススタッフの実例を交えながら、タイプ別の整理方法をご紹介します。
タイプ①「すぐに見つからないのが一番ストレス」派
学校や習い事のプリントは、必要なときにすぐ取り出せることが重要。探す時間を減らしたい人は、「見つけやすさ」を最優先にした整理がおすすめです。
◆スタッフ三橋さんの管理方法◆
「とても面倒くさがりな性格なので、いかにアクション数を減らして、どこにあるかすぐ探せる状態にしておくかという視点で考えています」そう話すスタッフ・三橋さんは、用途別にざっくりまとめ、ダブルクリップで束ねて管理。

クリップにラベルを貼っておけば、ファイルボックスに入れたときもすぐに分かり、必要なときは冷蔵庫などにそのまま貼れるのも便利だそうです。

【大橋さんからのアドバイス】
“どこにあるか分かる”状態を作ることが最優先。パッと見て分かる仕組みを意識すると、いいと思います。
私自身も、書類は用件ごとにクリアファイルに入れ、日付や内容を書いたラベルシールを貼るようにしています。

ラベルを貼るのが面倒な場合は、ポケットファイルのように前面フィルムが覆われていないタイプなら、上部にペンで用途を書き込めるので便利。クリップ・ファイル・ラベル・付箋などを上手に活用するのもおすすめです。

【POINT】必要なときにパッと確認できる仕組みをつくりましょう。
タイプ②「片付けは苦手!“とりあえず置いておこう”が口癖」派
分類やファイリングが増えるほど、管理は難しくなりがち。「とにかく簡単に続けたい」という人は、最初から細かく分けないことがポイントです。
◆スタッフ鈴木さんの管理方法◆
鈴木さんは、プリントを、すぐ対応するもの・しばらく保管するもの・記録として残すものの「短期・中期・長期」の3つに分けて管理。
内容ごとに分けるより“いつまで必要か”で分けた方が、自分には分かりやすいといいます。


学校や習い事のプリントをまとめて保管

親が残しておきたいプリントを整理して保管
◆スタッフ叶内さんの管理方法◆
基本はボックスに投げ入れ方式。まずは入れる場所を決めておくこと。細かく分けようとすると続かないので、ざっくり管理にしているそうです。



【大橋さんからのアドバイス】
細かく分類しようとすると、どのカテゴリに入れるか迷って止まってしまう、いわゆる「コウモリ問題」が発生します。
コウモリ問題とは、コウモリが鳥でもあり獣でもあるように、ひとつのものが複数の属性を持つため、どのカテゴリに分類していいか迷ってしまう状態のこと。
学校と習い事の間のようなプリントなど、どこに入れるか判断できないと「とりあえずここに置いておこう」となり、提出漏れや行方不明につながることもあります。“ここに入れればOK”という場所を作るだけでも、管理はぐっとラクになります。
【POINT】細かく分けない、迷わない仕組みをつくりましょう。
タイプ③ 見た目もすっきり整えたい! インテリアとの調和性重視派
リビングなど家族が過ごす空間に置く場合や、家具や収納ケースの形や色をそろえている場合は、使用アイテムのチョイスが重要になります。

【大橋さんからのアドバイス】
まずは、プリント整理用の収納場所をどこにするかを決めます。
例えば上下に仕切りのある棚に入れる場合、前面が大きく開いているタイプの方が取り出しやすい。同じ白いボックスでも、置く場所によって使いやすい形状があります。


次にアイテム選びですが、今後買い足す可能性があるかどうかを考えておくことも大切です。100円ショップは種類が豊富ですが、同じ商品がずっとあるとは限りません。買い足す可能性がある場合は、無印良品やニトリなど、同シリーズのアイテムが豊富にあるところで選ぶと安心です。
ボックス内の分け方は、タイプ1・2を参考に、自分に合った形で調整していくとよいでしょう。
【POINT】生活空間になじむ収納を選びましょう。
【全タイプ共通】大切なのは「受け取り→判断→保管」の流れ
どのタイプにも共通して大切なのが、プリントを受け取ってから保管するまでの流れを決めておくこと。
子どもが持ち帰る→置き場所に入れる→確認・判断→保管または提出
この動線が整うだけでも、プリントはスムーズに整理されます。
デジタル管理方法
プリント整理というと、専用アプリをダウンロードして管理する方法を思い浮かべる方も多いかもしれません。ただ、料金体系や使い方を調べる手間、操作に慣れるまでの負担を考えると、なかなか続かないことも。そこで今回は、特別なアプリを使わず、普段使っているスマートフォンの機能だけでできるデジタル管理をご紹介します。
まずは、届いた情報をデータ化することから。
メールで届いたお知らせやPDFはそのまま保存、もしくはスクリーンショット。紙のプリントはスマートフォンのカメラで撮影、またはスキャンアプリで読み込みます。


スキャンアプリを使うと、影の写り込みや手ブレによる文字の不鮮明さが出にくく、文字の小さい資料や細かい情報が多いプリントの保存にも便利です。
【POINT】特別なアプリを使わなくてもOK。普段使いのツールで十分です。
方法① iPhone「メモ」アプリで管理
もっとも手軽なのが、スマートフォンの「メモ」アプリを使った方法。プリントの画像等を貼り付け、期日や要点を書き込んでおくだけでOKです。
そのほか、必要なスクリーンショットやURLも一緒に貼っておけば、あとから見返すときも分かりやすくなります。メモは家族と共有することもできるため、夫婦で予定や提出物を確認したい場合にも便利。普段の延長で続けやすい方法です。
方法② LINEで管理
LINEを“記録用ツール”として活用する方法もあります。
自分専用グループや家族グループ、イベントごとのグループなどを作り、届いた情報をそのまま投稿していく形です。
例えば、修学旅行や大きな行事などは専用グループを作っておくと、関連情報をまとめて管理でき、終了後は削除することも可能。ママ友とのやりとりで得た情報なども、そのままグループに残しておけば、あとから確認しやすくなります。
さらに、
・アルバム機能で写真整理
・ノート機能で長期保管
・本文にキーワードを入れて検索性アップ
といった使い方を組み合わせると、長期保存と検索のしやすさを両立できます。

【大橋さんからのアドバイス】
普段の確認用だけでなく、修学旅行のしおりなど「行事終了後は不要だけれど、下の兄弟のときに参考にしたい」といった資料の保管にも、デジタル管理は便利。
念のため残しておきたいものや長期保存したいものは、写真やデータで残しておくと、見返しやすくなります。
アナログもデジタルも「期限」で手放す仕組みに
整理整頓というと、「続かない」「溜まっていくと捨てられない」というお悩みをよく聞きます。
洋服などは、思い出がある、もらったものだから、高かったから…と、さまざまな理由が重なり、なかなか手放せないこともあるでしょう。
その点、プリントは食料品と似ています。多くは期限があるものなので、期限が過ぎれば役目を終えるものです。
「提出期限が過ぎたら処分する」「学期が終わったら見直す」など、アナログ管理であってもデジタル管理であっても、手放すタイミングをあらかじめ決めておくことで、溜まりにくくなります。
仕組みさえ作っておけば、リバウンドも起きにくいはず。今年度の整理とともに一度見直し、すっきり整えた状態で新年度を迎えてみてはいかがでしょうか。
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お話を伺ったのは
「収納のチカラで叶えるインテリア」をコンセプトに、個人宅の片付けやインテリアコーディネートを行うプロフェッショナル集団「おうちデトックス」を主宰。整理収納のプロとして17年の実績を持ち、年間1500件以上の整理収納サービスを実施。スタッフ全員が整理収納アドバイザー1級資格を持ち、暮らしに寄り添う提案力に定評がある。
講師・企業監修・テレビや雑誌などメディア出演など幅広く活躍。近著に『吐いちゃいそうなくらい片付けが嫌いな私でもできた“おうちルール”』(尾形あい×大橋わか/大和出版)。
HP:https://ouchi-detox.com
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取材・文/篠原亜由美 撮影/田中麻以