女の子の下着は成長と共に変化します。幼い頃からの着用習慣が大切
女の子は成長するにつれて、体つきが変わり下着が必要になります。しかし、親が「そろそろ下着をつけた方がいいかな」と思っても、もし子どもの中で下着は「着ないもの」として定着していた場合、大人の都合で突然着用することは難しいのです。なぜなら、自閉スペクトラム症の子どもには「切り替えが苦手」な子が多いからなのです。さらに、肌に触れる感覚や衣類の擦れが気になる子が多くいます。そのため、急に下着を着るように言われても、抵抗感を持つことが少なくありません。
そこで、私がおすすめするのは、幼い頃から下着を着る習慣をつけることです。幼児から、衣服の下には通気性、吸水性の良いキャミソールなどのインナーの着用を幼い頃から下着を身に着けることを習慣づけておく事がおすすめです。
胸が膨らんでくる小学校中学年くらいからは、バストをふんわりカバーする胸の部分が2重になっているタンクトップキャミソールなど下着の変化に対応する事を練習し、身体が成長した際のブラ着用などの下着の変化に慣れていきましょう。これは幼い頃から下着を身に着けることを日常のルーティンとして定着させ、下着が成長と共に変化をするという経験値を高めることを目的にしています。小学生になったら下着を選ぶ際に一緒に買いに行く事をおすすめしています。
参考:ワコール
https://www.wacoal.jp/junior/about_step/index.html
パジャマの下にも下着をつける習慣を
そして、睡眠時にパジャマの下にもキャミソールなどの下着を着けることを習慣づけましょう。パジャマの下に下着を着けることについて、「窮屈では?」と思う方もいるかもしれませんが、高学年になると学校で宿泊活動があります。
家の中で下着を付けずに肌に直接パジャマを着用して、乳首がパジャマから透けていても親は気にならないかもしれませんが、宿泊合宿ではその状態で部屋の外に出て他の友達のお部屋の移動などを平気でしてしまいます。教師も注意しづらい事があるようです。
典型的な発達のお子さんならその時に説明すれば理解して着用することができると思います。しかし、自閉スペクトラム症の子の場合、その時にだけ「下着を着なさい」と言っても、普段から習慣的に着用していない子どもは忘れてしまったり、なぜその時だけ着る必要があるのかが理解できなかったりします。
教えないと理解できない「下着は見られてはいけない」ということ
自閉スペクトラム症の子の中には、「下着を着用している姿を他人に見られる=恥ずかしい」ことを、単にパターンとして認識しているだけという場合があり、「販売されている下着」と「下着を着用した姿」の違いを認識できていない場合があるのです。更には、他人からどう見えるのかをイメージしづらいという特性があり、そのため「下着が見えるような姿勢」、「格好」をしていても本人が気づけない事があります。
わたしが運営していた女の子を対象にした「放課後デイサービスLuce」では、「下着」についての理解を促すために以下のような実践をしていました。
・下着を着用している写真と下着売り場の写真等を見せて、身に付けた時の下着は、商品としての下着とは違うことを認識させる
・パンツ、ブラジャー、インナーなど下着の名称の確認
・下着になっても良い場面の違いを確認(トイレや脱衣場はOK)
・実際に下着が見えてしまうような姿勢のポーズをさせて、してはいけないポーズを学ぶ
など具体的に導き、子どもたちに他人からどう見えているか?何が違うのかを言葉にしてもらい、どのような状況だと「恥ずかしい」のかを考える事をレッスンの中で行っていました。
下着を着けていないと他人からどう見えるのか、本人にはイメージしづらいため、その時に注意されても理由が理解できず、嫌な記憶だけが残ることがあります。発達障害の中でも自閉スペクトラムの子どもは特に「注意」を嫌がることが多いので、下着を着けることに対して抵抗感が生じる場合があります。
下着を身に着ける習慣は安心感をもたらします
小学校に上がると体操服に着替える機会があります。最近では、小学校でもプライベートゾーンについて教えるところも増えており、子どもたちの意識も高まってきています。学校での着替え時に、下着を着けていることで「プライベートゾーンを見せない意識」を強化するのに役立ちます。
幼いうちの方が習慣を身につけさせやすいため自閉スペクトラムのお子さんの場合、日常のルーティンを作り、安心感を与えることが大切です。下着の着用もその一環として、幼い頃から習慣化しておくことをおすすめします。
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記事監修
健康運動指導士、介護福祉士、保育士、公認心理師。株式会社スプレンドーレ代表。
YouTubeで「子どもの対応おたすけチャンネルMamma mia」を配信中
イラスト/まる