「あの子の教材をみんなの教材に」をテーマに2023年に始まった「インクルーシブ教育教材コンテスト」
特別支援教育の現場では「手立て」をとても大事にしています。「手立て」は、「~することができる」ために配慮されるもので、言葉かけや身体的な援助とともに、さまざまな教材が制作・活用されています。しかし、どのような教材が使われているのかが、一般に公開される機会はそれほど多くありません。
「全国日本学校教材教具協同組合」では、この現状を変えたいという思いから、「発信・評価・学び合い」をキーワードに「あの子の教材をみんなの教材に」というテーマを掲げ、2023年から「インクルーシブ教育教材コンテスト」を開催。第1回目の昨年は、251点の応募がありました。入賞作品を2つご紹介します。
「就学前・小学生(発達障害)の部」最優秀賞「フットカーリング」
考案者は、清水里佳さん(神奈川県小田原市・酒匂小学校)。紙皿を組み合わせ、中に重しとなる紙の芯を入れてカーリングのストーンを作りました。ストーンを「投げる」から「蹴る」に変えて遊びます。手ではなく、足でプレイする教材が欲しくて考案。足での力加減の付け方やコントロールの練習ができ、力加減が苦手な子が弱く蹴ることができるようになったそうです。
<審査員のコメント>
・転がしてプレイするので、ゲームの内容やレベルも子供たちに合わせて変化できますし、足でなく、手やスティックを使うなどの工夫でより多くの子どもたちが楽しめる、活用幅の広さに可能性を感じました。
・手ではなく足で力加減をコントロールする教材というところに面白みを感じました。より多くの児童が参加できる、また友達と一緒に取り組むことができる、とても素敵な教材です。
「中学生の部」 優秀賞 「雑巾縦絞り練習器 シボリーくん」
考案者は、鳥飼週作さん(福岡県大野城市・大利中学校特別支援学級」)。指先や手を使うことが苦手な生徒が多く、楽しみながら雑巾の縦絞りができるものを、と製作。木材の円柱ポールに引きバネを取り付け、ポールをねじったときバネによる荷重がかかり、雑巾絞りの疑似的な体験ができるようになっています。右・左どちらの利き手でも、ねじる動作の練習ができます。
<審査員のコメント>
・「このような教材があれば、自分ももっと生徒に分かりやすく伝えることができた」と真っ先に思いました。見て分かる、自分で動かしながら確認する…そのような体験ができる教材です。
・通常級の子どもたちも苦手な雑巾絞りを、この教具でぜひ練習させてみたいなと思いました。
第2回「インクルーシブ教育教材コンテスト」が作品募集中!締め切りは11月30日
今年、第2回目を開催することとなり、現在、作品を募集中です。
第2回インクルーシブ教育コンテスト応募サイト:https://inclu-kyouzai.com/
募集期間 2024年8月1日(木)12:00~11月30日(土)23:59
応募資格
A.保育園・幼稚園・小・中・高等学校、大学、特別支援学校に勤務している方(非常勤支援員の方も含む)
B.子供の支援にかかわる方(放課後等デイサービス、社会福祉施設関係者など)
C.その他(保護者や学生など、上記A、B以外の方)
募集テーマ
日々の教育実践やお子様の成長過程で作成された教材。教育に使うものであればアナログ・デジタルを問いません
応募部門
分野 ①知的障害 ②発達障害
対象クラス ①就学前 ②小学生 ③中学生 ④高校生
応募者種別 ①教員(1.応募資格のA) ②一般(1.応募資格のB・C)
賞・賞金・特典について
最優秀賞:1作品。10万円分の教材+副賞(※全部門の中から選ばれた1作品)
優秀賞 :各部門1作品。3万円分の教材+副賞(※優秀賞のうち1作品が最優秀賞に選ばれます)
特別賞 :若干数。1万円分の教材+副賞
応募作品から商品化の検討も!
また、応募者全員に、「参加者特典」として応募作品限定公開サイト閲覧、参加賞(ステッカー)贈呈のほか、商品化の検討もあるそうです。
先生や福祉現場の方は、日々の教育実践の中で、子どものために考案して使っているもの、保護者の方は、お子さんの成長過程で「我が子の困った」を解決するために作成されたものがあれば、是非この機会に応募されてはいかがでしょうか。「あの子の教材がみんなの教材に」「うちの子のためのアイディアがみんなの教材に」なるかもしれません!
第2回インクルーシブ教育コンテスト応募サイト:https://inclu-kyouzai.com/
公式Instagram:https://www.instagram.com/inclu.kyouzai/
構成/Hugkum編集部