文字が追えても実は“読めていない”子どもが増えている! 「フレームリーディング」を使って読解力を家庭でも身につけよう

読解力は国語のみならずすべての教科の基礎となるため、低学年の頃からしっかりと身に着けておきたいところです。ですが最近は、字は追えていても内容まで把握できていない子どもが多いという話をよく聞きます。そこで、『探究の思考プロセスが育つ フレームリーディングの国語授業』の著者であり、全国の小学校の先生に向けて国語の授業に「フレームリーディング」という読みの手法を提唱している青木伸生先生に、家庭時間の読書で読解力を身に付ける方法をお聞きしました。

親は子どもの「目のつけどころ」を楽しんで、そこから話の世界に入ってみる

ーーまず、「フレームリーディング」とはどのような意味でしょうか。

文を読むときの「目のつけどころ」を「フレーム」と呼びます。文章をただ順に追うのではなく「目のつけどころ」、つまり読むときに注目する枠組みを意識して段階的に読みを深める手法をフレームリーディングと言います。

フレームリーディングとは、文章を“細部からではなく全体からつかむ”ことで、内容理解を深め、最後に自分の考えまで到達するための読み方です。

私は説明文の文章であっても、物語であっても、読むことは「謎解き」だと思っています。謎が解けるという感覚は、大人でも子どもでも「楽しい」と感じる瞬間です。謎を解くという感覚は、推理小説などを読み進めるときに感じるものです。それは、「結論(答え)」とその「証拠(手がかり)」がつながって、一つの筋が通るときに実感ができます。つまり、「謎解き」とは、ものごととものごとが、「つながる」ことだと言えます。「読むこと」における「理解」とは、言葉と言葉がつながって、それまで気づかなかったことに気づけた状態のことをいいます。

謎解きの手がかりを「伏線」と言いますが、「伏線」がつながると、それまで見えていなかったものが見えたり、無関係だと思っていたものの関係に気づけたりします。そして、そこに「筋が通る」ことになります。これが読むことにおける「理解」の状態です。

たとえば、説明文を読むときには、「問い」を見つけ、その「答え」がどこに書かれているかを探していきます。「問い」と「答え」はつながっていることを前提としているからです。フレームリーディングは、そのことをより強く意識しながら読んでいきます。

ーーでは「フレームリーディング」とはどのような読み方をするのでしょうか。

フレームリーディングは、「どことどこが」あるいは「どの言葉とどの言葉が」つながっているのかを考えながら読むことが前提です。

たとえば
①説明文では筆者の主張がどこに書かれているか(最初か最後か、あるいは両方か)を捉える
②物語では主人公や場面転換、問題と解決といった要素ごとに情報を整理する

といった具合に、文章の構造を見える化して読みます。大小さまざまなフレームを使い分けますが、読むたびにバージョンアップしていける点が特徴で、子ども自身が自力で文章の構造を把握できるよう導くことを目指しています。

目のつけどころを年齢によって変えれば、低学年からでも始められる! 家庭でできるフレームリーディングとは?

ーーほとんどの場合、子どもは家庭で読書をします。では家で子どもと読書をする場合、フレームリーディングを意識して、どのような本を用いたらいいですか。物語と説明文での違いはありますか。

説明文でも物語でも有効です。説明文には「尾括型」「双括型」など構造のパターンがあり、そのパターンを押さえることが理解を早めます。

物語では、現実的な物語、ファンタジー、昔話(神話)などタイプごとに注目すべき点が異なります。たとえばファンタジーなら非現実性のルールを読み取る、昔話なら因果や繰り返しの構造を意識する、といった読み方です。長い本でも章や場面ごとのフレームを設定すれば、十分に実践可能です。

ーー具体的にはどのようなフレームを使うのですか。

説明文なら「主張はどこにあるか」「主張を支える根拠は何か」「例やデータはどこか」というフレームを当てます。

物語では「主人公は誰か」「場面はどこで変わるか」「問題と解決は何か」「登場人物の心情はどう変化するか」といった枠組みを使います。これらのフレームを段階的に示し、子どもに自分で当てはめさせる練習をすると、構造把握力が育ちます。

ーー難しそうに感じますが、いつ頃から始めるのがよいですか。

低学年から始められます。最初は短い絵本や数行の説明文でもいいのです。「最初と最後で何が変わった?」といった単純な問いかけからやってみましょう。中学年以降は段落や短い章を単位にして要点整理をさせ、高学年では章ごとの要約や筆者の視点、比喩の読み取りなど高度なフレームを導入していきます。

ーー家庭ですぐに取り入れられるように具体的な方法を教えてください。

いくつかのステップで取り組むとよいですね。

①読む前にフレームを示す
タイトルや表紙を見て、「これが説明文か物語か」「どんなことが起きそうか」を予想させます。予想は読む動機づけになり、注意すべきポイントを明確にします。

②目のつけどころを具体化する
説明文なら「主張はどこ?」「根拠は?」、物語なら「主人公は誰?」「どこで場面が変わった?」といった具体的な問いを示します。問いをシンプルにすることが重要です。たとえば「ここは何が一番大事?」と一言で聞くようにします。

③区切りごとに要点確認を入れる
1段落や1ページごとに「ここは一言でいうと?」と要約させます。短い時間で済むので子どもの負担が少なく、達成感を得やすいです。

④読み終わりに振り返る
読み始めの予想と比べてどう変わったかを確認し、最も大事な一文を言わせることでフレームが定着します。

ーー親からの声がけはどのようにしたらいいですか。

「この題名から何が起きそうか予想してみようか」「ここで一番大事なことは何かな?」「最初に思ったこととどう違った? 一文で教えて」といった短く具体的な言葉が効果的です。肯定的な反応(「よく見つけたね」「いい着眼点だね」)を忘れずに。

ーー読書習慣がない家庭はまず何から始めればよいですか。

1回10分程度、短時間から始めるのが現実的です。家族で同じ時間に本を読む「読書タイム」を作ると継続しやすくなります。親の読み聞かせや一緒に教科書の短い文章を読むことも有効です。教科書は長さや難度が家庭での読書に適している場合が多く、学校の学びと結びつけやすい点もメリットです。ただし学校のやり方をそのまま押し付けるのではなく、問いかけをゲームにしたり登場人物を演じさせたりするなど、親子ならではの楽しさを取り入れてください。

ーー学年別におすすめの本と取り組み方を教えてください。

学年別の目安は次のとおりです。

【低学年】(1〜2年):数ページ〜10分程度で読める絵本や短編。繰り返し表現やリズムのある作品が語感を育てます。音読・読み聞かせ中心で、最初と最後の変化を確認します。

【中学年】(3〜4年):やや長めの短編や連作、教科書に近い文章。段落ごとの要点把握や登場人物・出来事の数を数える練習を導入します。1回の読みを10〜20分に区切ると負担が少ないです。

【高学年】(5〜6年):章立ての物語や長めの説明文、ノンフィクションに挑戦。比喩や筆者の視点を問う問いを増やし、章ごとの要点整理や簡単な要約を書かせると効果的です。

読解力が育つことで得られる長期的なメリット

ーーフレームリーディングで文章を読み続けることで、子どもにはどんな利点がありますか。

読解力が高まることで得られるメリットは多岐にわたります。まず学力全般の底上げです。国語で培った文章理解力は理科や社会などの教科でも必要となるため、他教科の問題理解や答案作成がしやすくなります。

次に思考力・表現力の向上です。文章の論理構造を把握する経験は、自分の考えを筋道立ててまとめる力に直結します。さらにメタ認知能力が育ちます。読む過程で「自分はこれを理解しているか」を意識する習慣がつくと、自律的な学習が可能になります。物語を深く読むことは共感力や社会性の発達にも寄与し、情報社会で必要な取捨選択能力や生涯学習の基盤を築くことにもつながります。

ーー最後に、子どもにたくさん読書をしてほしいと思っているパパママに向けて一言お願いします。

まずは短時間の読書を習慣化することから始めて、子どもが具体的な「目のつけどころ」を示すことを心がけてください。教科書や短い絵本を使い、段落や章ごとに「読み切れるまとまり」を設定して要点を整理する練習を重ねることで、徐々に長い文章に対応できる力がつくのです。

お話を伺ったのは

筑波大学附属小学校校長 青木伸生先生

東京都公立小学校教諭、筑波大学附属小学校教諭を経て、現職。全国国語授業研究会会長、日本国語教育学会常任理事、教育出版小学校国語教科書編集委員なども務める。著書に『フレームリーディングで作る国語の授業』(2015年・東洋館出版社)、『小学校国語 説明文/物語文の授業技術大全』(2019年・明治図書)『10分で読める物語』(2020年・学研プラス)、『個別最適な学びに生きる フレームリーディングの国語授業』(2021年・東洋館出版社)他、多数。

青木伸生 東洋館出版社 定価2398円(税込)

青木伸生先生の提唱する「フレームリーディング」という読みの手法が、子どもを起点とした個別最適な学びをつくるために有効であることは、これまでも具体的な授業実践とともに提案してきました。今回は、思考のフレームを駆使した「探究的な学び」を実現するフレームリーディングについて改めて整理し、令和6年度版教科書教材16本で実践しています。「読むこと」の授業がもっと面白くなる、最新のフレームリーディングの国語授業を提案します。最新キャラクター情報はもちろん、楽しく学べる知育記事も充実!『幼稚園』2・3月号をぜひご覧ください!

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