「節分いわし」頭を飾るのはなぜ? 作り方や飾り方&おいしい食べ方レシピも紹介

節分の時期に、玄関先にいわしの頭の飾りを見かけることがあります。これは「節分いわし」と呼ばれるもの。節分いわしはなぜ飾るのでしょうか。この記事では、節分いわしの由来、作り方や飾り方を解説していきます。また、節分にいわしを食べる風習もあります。そこで、いわしのおいしいレシピ&食べ方、いわし以外の節分の料理や食べ物も合わせてご紹介していきましょう。

節分にいわしを飾る・食べるのはなぜ?

節分には、節分いわしを玄関先に飾ったり、いわしを使った料理を食べたりします。なぜ、このような風習があるのか知っていますか。これから、節分といわしの関係を説明していきます。

節分の由来

まずは節分の由来を知りましょう。そもそも節分とは、「季節を分ける」という意味があります。1年のなかには「立春」「立夏」「立秋」「立冬」のそれぞれの季節のはじまりの日がありますが、その前日が「節分」です。とくに春の季節の分け目である立春が重視されたことから、冬と春を分ける日である2月3日ごろを「節分」と呼ぶようになったそうです。

2024年の節分は2月3日。節分の由来や意味、風習・行事・食べ物などについては、以下の記事で説明しています。チェックしてみてくださいね。

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節分いわしの由来

節分には「節分いわし」を飾る地域があります。この「節分いわし」とはどんなもので、なぜ飾るのか、説明していきましょう。

節分いわしとは

「節分いわし」とは、柊の葉がついた枝に、焼いたいわしの頭を刺したものです。これを節分の時期に玄関先に飾ります。地域によっては「柊鰯(ひいらぎいわし)」や「焼嗅(やいかがし)」「柊刺し(ひいらぎさし)」ともいいます。この風習は平安時代から行われていたのだそうです。

いわしの頭を飾る意味

なぜいわしの頭を飾るのかというと、鬼はいわしが持つ独特のニオイが嫌いだからです。また、節分いわしに使う柊の葉っぱはトゲトゲしているので、鬼の目を刺して嫌がらせる、という意味があるといわれています。そのことから、玄関先に節分いわしを飾ることで、鬼が家の中に侵入するのを防ぐ、鬼を寄せ付けないという「魔除け」の意味があるのです。

ちなみに「鰯の頭も信心から」ということわざは、節分いわしが由来。その意味は、「鰯の頭のような些細なものでも、それを素晴らしいものであると信じ込むことで、つまらないものも尊く思えてしまうこと」という意味があります。

地域によって違う?

節分いわしは全国で行われている風習ではありません。主に関西地方を中心とした西日本で行われています。そのほか、東北や関東、東海地方の一部でも見られるようです。

地域によっては、節分いわしの柊と鰯の頭に豆柄(種を取り除いた大豆の枝)を加えたり、独特のニオイを持つ植物「トベラ」を使うこともあるのだそうです。

節分いわしの作り方・飾り方

節分いわしの由来や意味がわかったところで、節分いわしの作り方と飾り方をご紹介しましょう。親子で作ってみてください。

作り方

用意するもの

・柊の枝 1本
・焼いたイワシの頭 1つ

柊の枝は、節分の時期になると生花店やスーパーマーケットで販売されています。また、節分豆とセットで売られていることもあるのでそれを使ってもよいでしょう。

いわしは焼き魚で食べたものを取っておいて使うのもいいですし、頭をはずして焼いて使ってもOK。その場合、胴の部分はおいしく食べましょう。

手順

作り方は、柊の枝に焼いた鰯の頭を刺すだけです。このとき、イワシのエラの部分から目に向かって枝を刺すとぐらぐらせずにすみます。

飾り方

飾る場所

節分いわしは、玄関先や門口に飾ります。

飾る期間

飾る期間は、節分の日から2月末まで飾るのが一般的です。地域によっては、小正月(1月15日)から立春(2月4日)まで飾るところや、翌年の節分まで飾るところもあるようです。

飾り終わったら…

なお、飾り終えたら節分いわしを処分しますが、その際は神社でお焚き上げしてもらうのが正しい処分方法です。お焚き上げができないようなら、酒と塩で清めてから半紙に包んで捨てるとよいでしょう。

節分いわしを折り紙で作ろう!

折り紙で節分いわしを作るのもいいですね。YouTubeで折り紙の折り方を紹介なさっている折り紙作家・カミキィさんに教えてもらいました。動画見ながら折ってみましょう。

節分いわしの折り方

用意するもの

・青色の折り紙(15×15cm) 1枚
・緑色の折り紙(7.5×7.5cm)
・竹串 1本
・ペン
・両面テープ

鰯の頭の折り方

1 鰯の頭を折る。折り紙の裏側(白い面)を表にして縦に置き、縦半分に折って広げ、折り筋をつける。
2 上部の両端を真ん中の折り筋に合わせて折る。
3 裏返して、上の角を下の角に合わせて折る。
4 裏返して、右側の袋になっている部分を開き、真ん中の折り筋に合わせてつぶしながら折る。左側の袋になっている部分も同様に折る。
5 2枚に重なっている部分を1枚上方向に広げる。
6 上の角を中央部分から1/3のところで折り曲げる。上部の辺と中央の折り目を合わせて折る。下の角も同様に折る。
7 上部の手前を下へ折り曲げる。
8 割れている部分の右側を、中央から上へ1cmくらいのところで少しななめに折る。左側も同様に折る。
9 8で折った部分を戻す。右側の袋になっている部分を開き、8でつけた折り筋に沿ってひっくり返して折る。左側も同様に折る。
10 9で折った部分の先端を手前に折り曲げる。
11 左右の両端を内側に折る。このとき、10で折った先端から1cmくらいから、右端の角と中央部分に斜めに入っているところを合わせて折る。左端も同様に折る。
12 ひっくり返す。ペンで目、えらぶた、ひれを描く。

柊の葉の折り方

1 柊の葉を折る。折り紙の裏側(白い面)を表にして縦に置き、縦半分に折って広げ、折り筋をつける。
2 上部の両端を真ん中の折り筋に合わせて折る。
3 裏返して下の角を上に折り上げて広げ、折り筋をつける。
4 上の角を15で折った折り筋に合わせて折る。
5 裏返して、上の両角を中心の線に合わせて折る。
6 裏返して、上部の袋になっている部分を開き、つぶしながら折る。
7 裏返して、下部の左右の辺を中心の線に合わせて折る。
8 下の先端を白色の部分の下の中心に合わせて上へ折り上げる。
9 8で折った部分の先端を、下のV字になったところに合わせて下へ折り曲げる。
10 9で折った部分の上部の左右の角をななめに折る。
11 ひっくり返し、縦に折り、折り筋をつけると完成。同じものを4つ作る。

組み立て

1 竹串の先端に両面テープをつけ、鰯の頭に刺す。
2 柊の葉っぱの細く尖った部分の裏側に両面テープをつけ、竹串に貼る。

教えてくれたのは…

折り紙作家 カミキィさん

カミキィ折り紙

札幌在住。オリジナル作品を中心に「かんたん、かわいい、手軽に作れる」折り紙作品の折り方はもちろん、折り紙を組み合わせたリース飾りなど、飾りのサンプルも紹介している。

もともと手芸好き、その後子育てを通して折り紙と出会い、1枚の紙から様々な形に変化する折り紙の不思議さと面白さに目覚める。のちに、インターネットでオリジナル作品の折り方を公開すると、国内外から「かわいい!」と反響があり、折り方だけでなく、折った作品を組み合わせた飾りのサンプル画像が「参考になる」とSNSで注目される。「作ってみたい!」「簡単でかわいい!」と子育て中のママや施設スタッフなどから好評を得ている。

ホームページ「創作折り紙 カミキィkamikey origami
YouTube「創作折り紙 カミキィkamikey origami

節分いわしのおいしいレシピ&食べ方

節分には、いわしを飾るだけでなく、食べて邪気を払う風習もあります。ここでは子どもも喜んで食べてくれるおいしいいわし料理をご紹介します。

いわし料理のおいしいレシピ

いわしハンバーグ

子どもに人気のメニュー「ハンバーグ」をいわしで作りましょう。包丁で細かくたたけば骨も気になりませんし、魚が苦手なお子さんでもパクパク食べてくれるはず。

◆材料

(大人2人分+子ども2人分)
いわし(開いたもの) 小8尾分(約350g)
【A】
塩 小さじ1/2
長いも(すりおろす) 100g
れんこん(すりおろし、水けをしぼる) 100g
長ねぎ(みじん切り) 1/3本(60g)

植物油 大さじ2
えのきたけ 1/2袋(50g)
しめじ 1/2袋(50g)
【B】
だし 1/2カップ
しょうゆ、みりん 各小さじ2

かたくり粉、水 各小さじ1

◆作り方

【1】いわしは尾を切り落として皮をはぐ。包丁で一口大に切り、細かくたたく。ボウルに入れ、【A】を加えて混ぜ、6等分して俵形に整える。
【2】フライパンに油を熱し、【1】を並べて両面をこんがりと焼く。器に盛る。
【3】えのきたけとしめじは石づきを除いて食べやすく切る。
【4】フライパンに【B】を入れて沸騰させ、【3】を加えてきのこがしんなりするまで煮る。かたくり粉と水を混ぜて加え、とろみをつける。
【5】【2】のハンバーグに【4】をかける。お好みで大根おろしを添える。

教えてくれたのは…

栗原友さん

料理家。3歳の女の子のママ。築地市場の鮮魚店での勤務経験などを活かし、魚料理を気軽に楽しめるようにレシピを提案。近著『寝ている間においしくなる』(祥伝社)には、忙しいママを救う〝仕込みテク〟が満載。

『ベビーブック』2018年10月号

いわしカレー

カレーにいわしを使って。いわしにはうま味成分であるイノシン酸がたっぷり!トマトケチャップや粉チーズをプラスして、お子さんにも食べやすく、とってもおいしいカレーに仕上げています。しかも電子レンジで作るから簡単です。

◆材料

(3~4人分)
いわし缶(水煮) 1~2缶(お好みで調整)
もやし 1/2袋(100g)
えのき茸 1/2袋(100g)
市販のカレールー 2かけ
トマトケチャップ 大さじ2
粉チーズ 大さじ3
塩 小さじ1/2

◆作り方

【1】もやしとえのき茸はざく切りに、カレールーは粗みじん切りにする。
【2】大きめの耐熱ボウル(どんぶりでOK)にすべての材料を入れる。ラップをふんわりかけて電子レンジで7分(600Wの場合)加熱する。
【3】スプーンでよくかき混ぜて、ごはん(分量外、適量)と一緒に器に盛る。

教えてくれたのは…

りんひろこさん

料理家・フードコーディネーター・食育アドバイザー・薬膳アドバイザー。料理教室「みなとキッチン」主宰。京都で学んだ懐石料理と、アーユルヴェーダや薬膳など東洋の食養生の考えをもとにした、おいしく簡単な料理を提案。4歳と2歳、『めばえ』世代の子育てママでもある。

『めばえ』2018年10月号

いわし以外の節分の料理や食べ物

節分には、いわし以外にも食べるものがあります。どのようなものがあるのか、また食べるようになった由来や意味などを解説します。

節分の食べ物にはどんなものがあるの?

恵方巻き

恵方巻きは、7種類の具を包んだ巻き寿司です。7種類の具を包むことで七福神を表し、福を巻き込んで無病息災、商売繁盛を願うという意味が込められています。また、太くて長い形を、鬼が落とした金棒に見立てているという説もあります。

恵方巻きをお家で作りたい!という方は、下記の恵方巻きのレシピを参考にしてみてくださいね。

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けんちん汁

実は、けんちん汁も節分に食べる行事食となっています。ただし、この風習は関東地方のみなのだそうです。

けんちん汁はもともと、冬の寒い時期の行事で食べられていた行事食でした。その行事には、節分、えびす講、初午などがありました。しかし現代では、えびす講はあまり聞かない行事ですよね。初午も、そこまでメジャーなものではないでしょう。ですので、けんちん汁を食べる多くの行事の中で、節分だけが残ったと考えられます。

このけんちん汁には、厄除けや縁起物の意味はなく、寒い時期に体を温めるために食べられていたようです。なお、地域によっては、けんちん汁に大豆を入れることもあるようですよ。

節分の豆まきにかかせないのが大豆です。節分には、豆をまき、年の数だけ豆を食べる風習があります。この豆まきは、かつて季節の変わり目にやってくる鬼を、霊力が宿るとされた大豆をまくことで追い払っていたことがはじまりです。大豆をまくことが一般的ですが、落花生をまく地域もあります。

節分で食べる豆は、大豆を火で炒ることで邪気を払った豆です。これを「福豆」といいます。この福を年の数だけ体に入れることで「一年の健康を願う」意味が込められているのだそうです。

こんにゃく

こんにゃくも、節分に食べる食べ物です。こんにゃくには、食物繊維が豊富に含まれていることから、体を掃除してくれますよね。昔の人は大晦日や節分などの節目にこんにゃくを食べて、体の中をきれいにしていたといわれています。

そば

そばといえば、大晦日に食べる行事食として知られていますが、節分の食べ物でもあります。その理由は、かつては立春が1年のはじまりと考えられていたことから、節分は大晦日にあたる日だったためです。ですので、年越しそばを節分に食べていました。

節分にそばを食べる理由には、年越しそば同様、細く長く人生を過ごすことを願う、旧年の役を断ち切る、そばの実に魔除けの意味があるため、などがあります。

節分いわしで邪気払いをしよう!

「節分いわし」は古くから続く伝統的な風習です。その風習を大切にし、節分にいわしを食べたり、飾ったりして邪気を払い、寒い冬を元気に乗り越えましょう。

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文・構成/HugKum編集部

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