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自学ノートに身近な興味や疑問をまとめ続けた6年間
――自学ノートに取り組み始めたきっかけを教えてください。
あまねさん:1年生のときに毎週末の宿題として自学が出たのがきっかけです。
――自然のことや、食、社会、手芸まで取り上げているテーマは幅広いですね。
あまねさん:そのときに興味のあることや疑問に思ったことを書きました。2年生のときはコロナで家にいることが多かったので、ナップサック作りに挑戦しました。クロスステッチはアイロンビーズみたいにできて楽しかったです。

5年生のときの「ラハイナへ届け」では、ラハイナ(ハワイ)の山火事について調べました。私はお母さんと一緒にフラダンスを習っているのですが、フラの先生からラハイナの歴史や、現地の人たちの思いをまとめてみたら、とアドバイスをもらいました。
――身近なことがらを掘り下げていっているのですね。6年生のときの循環型林業についても、実際に森に行かれたのですか?
あまねさん:夏休みに循環型林業をやっている森へ行き、お話を聞きました。間伐したスギやヒノキから精油を取って、輸出して、その収益でまた植林をして山の再生をしていくそうです。はじめは循環型林業は再利用のようなものだと思っていましたが、無駄がなくて驚きました。

――12冊の自学ノートの中でとくに気に入っているものはありますか?
あまねさん:やっぱりこの『「わたしの自学」の自学』です。小学校で最後の自学で、6年間で楽しかったこととか苦労したことが一緒に思い出されるからです。実際に調べて役に立ったものや、学びが深まったものをまとめることで、自学の楽しさを伝えたいと思いました。

――あまねさんの自学ノートはレイアウトもすごくきれいですが、どうやって考えているのですか?
あまねさん:2年生のときに先生が自学のレイアウトをいくつか見せてくれて、「いちばん伝えたいところをどうやって伝えるか」、「どんな工夫をしたら見やすくなるか」ということを教えてもらったので、それを参考にレイアウトを考えるようになりました。はじめの頃は、別の紙に下書きをしていましたが、今は頭でイメージしながらそのまま書いています。
自分の調べたことを見てもらえることも励みに!
――6年間自学ノートを続けてよかったなと思うのはどんなときですか?
あまねさん:自分が知らなかったことを知れるのが楽しかったです。それに自学ノートを提出すると教室に張り出されることがあって、それでみんなに知ってもらえるのもうれしいです。

――これから自学ノートを書く小学生にアドバイスはありますか?
あまねさん:興味を持ったこととか、「これってなんでだろう」とか、「もっと知りたいな」と思った気持ちを大切にしてください。自分で調べてまとめることで、心に残り続けると思います。
――やはり自分の好きなことから取り上げるのが大切なんですね。普段のあまねさんはどんなことが好きですか?
あまねさん:何かを作る作業とか、絵を描いたりするのが好きです。今は中学生になってアンサンブル部という部活動でチェロやハンドベルを練習するのが楽しいです。
――将来の夢はありますか?
あまねさん:航空管制官になりたいです。小さい頃から空港の見えるスカイパークによく連れていってもらっていて、お母さんが「管制官ってめっちゃかっこいいんだよ」っていつも教えてくれて。それで最近、自分でも動画とかを見てみたら本当にかっこよくて、なりたいなと思うようになりました。

ていることを知ってもらうために空港によく連れて行っていました」とお母さん
家族との会話が自学ノートのテーマになることも
――お母さんは、あまねさんが自学ノートに取り組む姿を見てどう感じられていますか。
あまねさんのお母さん:コツコツと粘り強く取り組んでいるなと思います。最初は学校の宿題がきっかけでしたが、やり進めていく中で、普段の何気ない生活の中で疑問を持って自分で調べてまとめていくという作業が面白くなっていったようです。
自分の書いた自学ノートを見て、誰かが興味を持ってくれて、褒めてくれたり、評価してくれたりすることがすごく本人の中で励みになっていると思います。自己肯定感にもつながっているのではないかなと思いますね。

――お母さんから見て、自学ノートに取り組むことであまねさんにどんな成長があったと思われますか?
あまねさんのお母さん:小学校高学年になるとグループで何か一つのテーマをまとめるということがよくあったのですが、低学年のうちから自学ノートで下積みができているので、それがグループ活動でもすごく役立っていたと思いますね。
小さいうちから調べたり、まとめたりする作業をコツコツと進められて、自分の考えを伝える方法のバリエーションを持っているというのは、これから中学、高校でも土台となると思います。

――はじめはお母さんがサポートされることもありましたか?
あまねさんのお母さん:そうですね、例えばネットで調べるときの検索ワードの入れ方とか、図書館や書店での検索の仕方などを一緒にやって教えていました。内容が難しいところは私がかみくだいて説明して、それを本人がまとめるということを最初の頃はやっていましたね。
――3年生の「遺伝子組み換え」のテーマでは、お母さんと買い物に行ったときのことが書かれていましたね。
あまねさんのお母さん:私がいつも食品の表示を見ているのが気になったようです。それで、「お母さんはこういう理由で、表示を見ているんだよ」と話したりしましたね。低学年の頃は一緒に買い物に行くことも多かったので、添加物だけではなくて、魚や野菜の選び方とかについても話したりして、一緒に学んでいるような感じでした。
――今、あまねさんと何をするのが楽しいですか?
あまねさんのお母さん:先ほど娘も言っていましたが、私と子どもたちはフラダンス、夫はウクレレをやっていて一緒にステージに立つこともあります。

あとは家族でキャンプによく行きますね。キャンプって自炊したり、テントを立てたり、限られた時間の中でチームワークが必要で学べることがたくさんあるんですよね。大きくなると家族みんなで出かけることは少なくなると思うので、今の時間を大切にしたいと思っています。
子どもの好きなことには口出しせず、求められたときにサポートするスタンスを大事に
――子育てにおいて大切にしていることはありますか?
あまねさんのお母さん:子どもが好きなことを邪魔しないようにするということは意識しています。自分が子どもの頃を考えると、好きなことなのに、大人から「あれをしてからじゃないとダメ」というような条件をつけられたりして、自分のモチベーションが下がってしまうようなことがあったんですよね。

また、はじめはただ好きな気持ちだけでやっていたのに、次第に結果や成果を求められるようになったりして、好きだった気持ちがしぼんでしまったりということもありました。だから、子どもが好きなことを好きでい続けるために、あまり口出しせず、サポートを求められたときに必要な分だけサポートするというスタンスを大切にしています。
――お子さんの好きなことをどんなふうにサポートされていますか?
あまねさんのお母さん:スポーツでも勉強でも元気な体があってこそだと思うので、母親としてできることといったら、ご飯を作るというような、子どもの体づくりかなと思います。
あとは、日頃の小さなコミュニケーションです。例えばあいさつや、子どもの言葉に丁寧に返事するとか、本当に小さなことですが、日々の積み重ねを大事にしています。本人が伝えたいことをいつでも伝えられるという基礎を築いておきたいと思っています。

――あまねさんにどんな人になってもらいたいですか?
あまねさんのお母さん:それはもう全然なくて、本人がなりたいようにしかならないと思っています。本人が楽しんで、「自分が生まれてきてよかった」って思う人生を歩んでもらえたら、親としてはいちばん幸せだと思います。
自学ノートは身近なテーマから取り組むのがポイント!
自学ノートに取り組もうとしても、何をテーマにすればよいのか悩んでしまうということもあると思います。しかし、今回のインタビューを通して、自分の好きなことや、生活の中で出てきた疑問、家族との会話など身近なことから調べてみることが大切なのだとわかりました。これから自学ノートに取り組んでみたいという小学生にも参考になるお話をありがとうございました!
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取材・文/平丸真梨子