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細部まで完成度の高い図鑑
柊優さんの自由研究は、生き物のオスとメスの違いを図鑑にまとめた「オスメス図鑑」。生き物を捕ったり飼育したりすることが大好きな優さんが作った標本と、丁寧にわかりやすくまとめた図鑑がセットになった作品は、小学1年生が作ったとは思えない完成度の高さでした。自由研究の内容や普段の様子について柊さん親子にお聞きしました。

きっかけは突然興味を持ち始めたテントウムシ
――優さんはいつ頃から昆虫に興味を持っていたのですか?
優さんのお母さん:最初は全然興味を示さなかったんですよ。お散歩のときに「虫がいるね」って声をかけても、まったく反応がなくて。私は虫が好きなんですが、私と違ってこの子は生き物に興味を持たないのかなと思っていたんです。
ところが、4歳か5歳のときに突然テントウムシに深い興味を持ち始めたんです。絵や工作でテントウムシを作ったり、折り紙の折り方を教えたら100匹くらい作ったりして。そこから生き物への興味が花開きました。

優さんのお父さん:たまたま私の知り合いにテントウムシを専門とする研究者がいたので、テントウムシに興味を持ったときに一緒に森に観察に行ったんです。その研究者の方に、当時憧れていたカメノコテントウをもらいました。昆虫への興味が湧いてからは、虫だけでなく爬虫類なども含めて好きになり、一年中いろいろな生き物を観察しています。春、夏、秋はもちろん、冬でも家に何匹か生き物を飼っています。

小学校入学前から作り始めた標本図鑑
――どうしてオスとメスの違いを調べたのでしょうか?
優さん:最初は、捕まえることに興味を持っていたんですが、捕まえると、色や大きさの違いや飛び方の違い、角があるかないか、鳴くか鳴かないか、点があるかどうかなどが気になって、図鑑と見比べてオスかメスかを調べるようになりました。オスとメスの違いがわかってくるととても面白かったので、それをまとめて本にして、お友達にも見せたい、いろんな人に見てもらいたいと思ったんです。始めは自由研究としてではなくて、小学校に入る前から少しずつ標本図鑑を作り始めていました。
――オスとメスの違いを調べていて、驚いたことはありますか?
優さん:大きい方がオスだと思っていたらメスの方が大きい生き物もいてびっくりしました。クロピンノガニは隠れているんだけど、繁殖期になるとオスだけは貝から出てきてメスを探します。その違いも面白かったです。
憧れのチョウ「ミヤマカラスアゲハ」を捕獲
――図鑑にたくさん描いた生き物たちは、どうやって集めたんですか?
優さん:自分で捕まえたり、卵を見つけてきて孵化させたり、お母さんが捕まえたものもあります。
――今回の自由研究で難しかったのはどんなことですか?
優さん:いろいろとじっくり観察したり、絵をきれいに描いたりするのも大変でした。1か月ぐらい毎日少しずつやっていました。標本は、針で刺すときに手に刺さりそうになったり、作るときに羽が破れちゃうものもいたりして難しかったです。
優さんのお母さん:春ぐらいからよく捕まえられる生き物を使って標本を作る展翅の練習もして、それから本番に臨みました。

――楽しかったことや印象に残っていることは?
優さん: 蝶々を描いたり、たくさんの種類の生き物をじっくり観察したことがすごく楽しかったです。
高尾山で魚とりをしていたときに突然チョウが飛んできて、お父さんが捕まえてくれました。初めて見る種類で、最初は何かわからなかったんですが、図鑑で調べたら「ミヤマカラスアゲハ」でした。ミヤマカラスアゲハは学童で本を読んだときから憧れだったチョウだったんです。捕まえたときはとても嬉しかったです。

――次の自由研究は何をしたいですか?
優さん:来年は、ダンゴムシやテントウムシやカエルのための迷路を作って研究するのも面白そうだなと思っています。ゴールに色々なエサを置いて、どこにたどり着くのか調べてみたいです。天敵を用意してみたり、体力を鍛えたりしながらゴールにたどり着くようなものを作りたいと考えています。
将来の夢は科学者
――将来の夢はありますか?
優さん:科学者です。生き物以外にも宇宙のでき方なども興味があって理科全般が大好きだからです。図鑑やDVDで知識を得ていますが、テレビ番組の録画も気に入ったものは100回ぐらい見たりしています。
身近に生き物がある環境を
――お子さんに興味を持たせるためにどのような工夫をされていましたか?
優さんのお母さん:お散歩のときに生き物がいたら声をかけるなど、生活のなかにいつも生き物の話が出てくるようにしていました。私自身も自分の母の影響で小学校の頃からチョウの幼虫がずっと好きでしたし、小さい頃から生き物が身近にあるような環境を作りたいと考えていました。
高い集中力とクリエイティビティを持つ優さん
――普段はどのような性格のお子さんですか?
優さんのお母さん:粘り強くて、集中力のある子だなと思います。工作やものづくりが大好きで、自分が作りたいものを作っているときはじっくりと何日にもわたって試行錯誤をくり返しているのを見ると、ものすごい集中力だなと目を見張るものがあります。
クリエイティブなところもあると思います。このあいだも学校で先生が節分のひいらぎいわしの写真を見せてくださったらしく、帰ってきてから折り紙を使ってひいらぎいわしを作っていました。また、ピアノを3年前からやっているのですが、この一年くらいは作曲をすることも楽しんでいます。
――お子さんの「好き」を伸ばすためにサポートされていることを教えてください。
優さんのお父さん:本人が言い出したことはくみ取って、興味を広げてあげるように心がけています。優が好きな『だるまさん』の絵本の展覧会が開かれていた花巻に旅行に行ったこともあります。生き物を捕まえるためにいろいろなところに行っていますし、冬でも近所の公園に行って越冬している生き物を見つけています。
優さんのお母さん:今、生き物だけではなくて、天体や人体、ロボットなど科学全体に関心が広がってきていて、私たちの知識だけではカバーしきれないところもあるんですけど、私たちもわからないなりに一緒に学んで楽しんでいけたらと思っています。
家族で一緒に楽しむことで「好き」を追求
今回のインタビューを通して、素晴らしい自由研究の背景に優さんの好奇心と集中力の高さを実感しました。ご両親も生き物が好きだとお話されていましたが、優さんがこのように大好きなことに集中力を発揮できるのも、ご両親が優さんの想いを尊重しつつ一緒に楽しんでいるからなのだろうと感じました。
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取材・撮影/HugKum編集部 文/酒井千佳