目次
家族の大事な出来事を研究に！ 「こんにちは赤ちゃん」（最優秀賞）
まずは、最優秀賞を受賞した滋賀県の小学1年生、髙橋凜さんの作品「こんにちは赤ちゃん～いもうとのたんじょうみっちゃくきろく～」から自由研究のヒントを紹介します。
テーマの決め方
凜さんが選んだテーマは、夏休み中に生まれる妹さんの誕生と成長の記録です。「夏休みに妹が生まれることがわかったから、やらなきゃもったいないと思った」と凜さんは語ります。生活の中の大きな出来事を研究テーマにすることで、家族みんなで協力しながら取り組むことができました。
研究の進め方
凜さんは妹が生まれる前から準備を始めています。
1. 事前学習: お母さんと一緒に本や図鑑で妊娠や出産について調査、ドラマ「コウノドリ」を見て勉強しました。
2. 観察と記録: 妊娠中には「胎児心拍ドップラー」をお母さんのお腹にあてて赤ちゃんの心音を聞いたり、出産に立ち会ったりしました。
3. 日記をつける: 妹が生まれてからは授乳や排せつ、睡眠の時間や回数を記録した「赤ちゃん日記」をつけました。
4. お世話の実践: 夜中も起きてお母さんと一緒に妹のお世話をしました。
親のサポート
お母さんは凜さんの「自分の言葉で書いてほしい」という思いを大切にし、出産当日も凜さんの思ったことをインタビュー形式で聞き、メモに残して後から一緒に文章にしました。自由研究には、夏休み中ほぼ毎日取り組んだそうです。
研究の特徴
この研究の素晴らしい点は、赤ちゃんの成長だけでなく、お母さんの様子も細かく観察し、「お母さんがいつも笑っていて幸せそうだった」と記録していることです。全41ページにも及ぶレポートには、子どもならではの視点と感性が詰まっています。
生き物の性別の違いに着目！ 「オスメス図鑑」（入賞）
図鑑部門の「小学一年生賞」を受賞した東京都の小学1年生、柊優さんの作品「オスメス図鑑」を紹介します。
テーマの決め方
優さんは、生き物を捕まえるうちに、色や大きさの違い、角があるかないかなどオスとメスの違いが気になり始め、それを図鑑にまとめようと考えました。
研究の進め方
1. 生き物の採集: 自分で捕まえたり、卵を見つけて孵化させたりして様々な生き物を集めました。
2. 観察と比較: 集めた生き物を図鑑と見比べながら、オスとメスの違いを細かく観察しました。
3. 標本作り: 春頃から標本作りの練習を始め、本番に臨みました。
4. 図鑑の制作: 観察結果を絵と文章でまとめ、オリジナルの図鑑を作成しました。
親のサポート
優さんのお母さんは、生活の中にいつも生き物の話が出てくるよう心がけていたそうです。お父さんは一緒にチョウを捕まえに行くなど、子どもの興味を広げるサポートをしていました。制作期間は約1ヶ月間で、毎日少しずつ取り組んだそうです。
研究の特徴
この研究の魅力は、「大きい方がオスだと思っていたらメスの方が大きい生き物もいてびっくりした」というような発見が詰まっていることです。また、憧れのチョウ「ミヤマカラスアゲハ」を捕獲できた喜びも記録されており、子どもの好奇心と探究心が伝わってきます。
トンボ捕りから標本づくりまで！ 「トンボノート2024」（入賞）
「小学一年生賞」を受賞した岐阜県の小学1年生、大城湊太さんの作品「トンボノート2024～オニヤンマをさがせ！～」を紹介します。
テーマの決め方
湊太さんは「オニヤンマを捕獲したい」という明確な目標を持ち、岐阜県内を探し回る中で研究テーマを決めました。身近な生き物でも、特定の種類に焦点を当てることで、より深い研究になります。
研究の進め方
1. フィールドワーク: オニヤンマを探すために岐阜県内の様々な場所を巡りました。
2. 捕獲と観察: 素早く飛ぶトンボを捕まえるのに苦労しながらも、諦めずに挑戦しました。
3. 種類の同定: 捕まえたトンボの種類を見分けるために、図鑑と何度も見比べました。
4. 標本づくり: 難しい作業にも挑戦し、標本を完成させました。
親のサポート
オニヤンマを探すために家族で県内の複数のポイントを一緒に巡っています。また、標本づくりという技術的な作業においては、昆虫博物館の館長さんに作り方を聞きに行ったり、硬くて力が必要な箇所はお父さんがお手伝いしりしたそうです。
研究の特徴
この研究の素晴らしいポイントは、明確な目標（オニヤンマの捕獲）に向かって粘り強く取り組んだ姿勢です。標本の完成度の高さはもちろん、憧れのトンボとの出合いの喜びがレポートに反映されているのも魅力です。生き物との出合いを通じて得られた感動が、読み手にも伝わる研究となっています。
宝石で絵の具を作る！「ラピスラズリでフェルメールをえがく」（入賞）
小学8年生賞を受賞した千葉県の小学1年生（受賞時）、齋藤湊真さんの作品「ラピスラズリでフェルメールをえがく」を紹介します。
テーマの決め方
湊真さんは、フェルメールの『真珠の耳飾りの少女』の青色の部分がラピスラズリという宝石から作られた絵の具で描かれていることをお母さんに教えてもらって知りました。自分も同じように描いてみたいと思い、研究テーマを決めました。
研究の進め方
1. 調査: 絵の具の作り方をネットや本で調べました。
2. 材料集め: ラピスラズリのさざれ石を入手し、青い部分とそうでない部分に分けました。
3. 絵の具作り: 乳鉢で石を細かく擦り、水を加えてアクを抜き、ニカワを入れて絵の具を完成させました。
※ニカワ…動物の皮や骨などを原料として水で煮て作り、固めた接着剤。
4. 絵画制作: 自作の絵の具を使ってフェルメールの絵を描きました。
5. レポート作成: 過程と結果をレポートにまとめました。
親のサポート
宝石を砕くときの力が必要な作業は、お母さんがサポートしました。レポート作成も大変だったようで、文字を書くのが苦手な湊真さんは1日1枚のペースで1ヶ月かけて完成させたそうです。
研究の特徴
この研究の素晴らしさは、絵の具を一から作るという挑戦と、その過程で得られた発見にあります。材料を調べ、絵の具を作り、絵を完成させる。ドキュメンタリーのような力強さがポイントです。また、絵の具作りから絵を描くまで1ヶ月、レポート作成に1ヶ月、合計2ヶ月という長期間の取り組みも特筆すべき点です。
今年の自由研究に取り入れたい5つのポイント
これらの受賞作品から、今年の自由研究に取り入れたいポイントをまとめてみました。
1. 身近な出来事をテーマに: 家族の出来事や興味のある生き物など、日常の中からテーマを見つけましょう。
2. 事前の準備をしっかりと: 本やインターネットで調べたり、必要な道具や材料を集めたりする準備段階が大切です。
3. 観察と記録を丁寧に: 気づいたことや感じたことをその場でメモしておくと、あとでレポートにまとめる際に役立ちます。
4. 親子で一緒に楽しむ: 子どもの「やりたい」という気持ちを尊重しながら、一緒に取り組むことで思い出にも残る研究になります。
5. 長期的な視点で: 1日で終わらせようとせず、少しずつコツコツと進めることで、深みのある研究になります。
これらの小学1年生の素晴らしい作品を参考に、お子さんと一緒に楽しい自由研究の夏を過ごしてみてはいかがでしょうか。お子さんの「好き」や「やってみたい」という気持ちを大切にすることで、きっと素晴らしい作品が生まれるはずです。
自由研究コンクールに応募しよう
今回ご紹介した小学1年生向けの自由研究のアイデアやヒントはいかがでしたか？ お子さんの「好き」や「やってみたい」という気持ちを大切にすることで、きっと素晴らしい作品が生まれるはずです。
取り組んだ自由研究は、コンクールに応募するのもおすすめです。コンクールへの応募は、これまでの頑張りを形にして伝える場になり、お子さんが自分の努力に自信を持つきっかけにもなります。
「小学館の図鑑NEO×HugKum 自由研究コンクール」応募要項をチェック
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文・構成／HugKum編集部