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勉強は早く始めてゆるく進めるのがコツです

―佐藤さんは本書で入学前の早い時期にひらがな、カタカナ、たし算などの勉強を始めることを勧めていますね。
佐藤 そうですね。「早めに始めましょう」と言うとすぐに「早期教育は害である」とか「英才教育は意味がない」と批判されます。そうではなく、早めに始めると、子どもを急かすことなく個々の成長のペースに合わせてゆっくり進めることができます。
たとえ、なかなか進まなくても時間がたっぷりあれば親子とも焦らずにすみます。短期間で進めようとするほうが子どもを追い立ててしまいかねません。子どもを追い立てないためにも、早くから始めてゆる~く進めるやり方がいいと私は思っています。
―「小学校に入学してからでも遅くはない」という考え方も根強いです。
佐藤 そうですね。ただ、子どもの周囲に情報があふれている今、メディアや絵本、街の看板などを見て子どもたちは多くの文字や数字に触れています。3歳ごろから身体も心も大きく成長し、「これは何?」「どうしてこうなるの?」と知的好奇心が高まる時期に、あえて教えないというほうが不自然ではないでしょうか。
また、もし中学受験を考えているなら、この時期は学習の基盤を作る時期です。中学受験を考えていない場合も、高校受験、大学受験に備えて、できることを始めるといいと思います。
勉強とは机の前に座ってするデスクワークが基本

―学習の基盤になることは何でしょう?
佐藤 前回でもお話ししましたが、まず、机の前に10分間だけでも座っていられることが大切です。勉強とはつまり机の前に座ってするデスクワーク、つまり事務作業が基本だからです。
―では、具体的に小学校入学までに何をしたらいいでしょう?
佐藤 よく聞かれる質問ですね。私は、「好きなものを好きなだけ」とお答えしています。
具体的には、ひらがな、カタカナ、1から9の数字を数えて書くこと。そしてできれば、1けた+1けたの計算、さらに余裕があれば九九もできるならやっておくといいと思います。
たくさんのように思えますが、それは「好きなものを好きなだけ」ですから、完璧に習得することを目標にしないで、できる範囲でするという考え方でいいでしょう。
最初は遊びのように楽しんでできる工夫も必要

―それでも大変と思う保護者の方もいるのでは?
佐藤 早めに始めてゆる~く進めればいいのです。また、勉強を勉強として捉えずに、最初は遊びのようにして楽しく進める工夫もしました。
わが家では、ひらがななら、「し」や「つ」などの一筆で書けるものから始めるとか、九九は音楽と一緒に覚えるとラクだとか、計算を「答え探しゲーム」にするなどの工夫をしました。「答え探しゲーム」にしたら、たくさんの計算問題が気がついたら終わってしまっていたということもありました。そんな工夫は『佐藤ママの やっておくべき9歳までの受験準備』に詳しく紹介してありますので見てくださいね。
―本書では学習プリントの進め方も紹介していますね。
佐藤 皆さん、プリントは鉛筆で書かないといけないと思い込んでいるかもしれませんが、家で勉強するときは鉛筆にこだわらず、色鉛筆やマーカーで書いてもいいことにすると、「今日はマーカーで書いてみよう」などと子どもは喜びます。
そのほか、シールを貼って、「今日は星のシールのプリントをしようね」などという声かけもしました。プリントをする目的は内容を身につけることなので、手段は何でもよくて、楽しくできればいいと考えてください。いろんな文房具を総動員して楽しく勉強する方法を実践しました。
文字も計算も、少し知っているだけで大きい安心感になります

―もうじき小学校入学という子どもたちで特に何もしていないという場合、入学直前に先取り学習をするには何をしたらいいですか?
佐藤 これからひらがなとカタカナ全部覚えるのは大変なので、カタカナは後回しにして、ひらがなをできる範囲で覚えておくといいでしょう。五十音のうち20字だけでも知っていると子どもは安心できます。
算数は10まで数えられて、0から10までの数字を書けるようにしておくといいですね。大人は簡単に思えますが、意外に盲点があります。いい加減に書いていると0と6が書き分けられていないことがあります。
計算は、1+1、2+1、3+1と「たす1」の計算だけでもする、また1+1、2+2、3+3・・・と同じ数の計算だけ覚えるとかはどうでしょう。
100個の学ぶべきことがあるとき、2個だけでも知っていると、残り98個あるけれども、その2個が心の支えになって前向きに頑張れるものなのです。全く何も知らないと、100個のことは不安の塊になってしまいます。だから、習うべきことのうちのいくつかは教えておくと、子どもは本当に安心して学校に行けるのです。
勉強の時間も、ゼロから10分の学習習慣をつけるのは大変なのですが、頑張って10分の習慣をつけると20分にするのは、思ったよりはるかに簡単です。だから、何事も子どもの負担のないように、ほんの少しから始めて少しずつ増やすということがコツなのです。
たとえば、九九は2年生で習いますが、学校で習うときに5の段だけ知っている、逆に一番難関の7や8の段を言えると自信になります。一番難しいところから易しいところへ移るのはラクだからです。
勉強は、取りかかるときが一番ハードルが高いのです。そのとき「少し予習してある」「少し知っている」ということが重要で、スムーズに入っていきやすいものです。このことは勉強全般に言えることです。
「宿題を済ませてから遊びに行きなさい」はNGです

―宿題などの家庭学習はどのように進めたらいいでしょう?
佐藤 小学校1~2年生はまだ小さくて、幼稚園生の延長だと考えてください。特に小学校1年生は初めての学校生活で緊張して疲れているので家でじゅうぶん休ませることが大事です。わが家では学校から帰ってきたら、「ゆっくり休みなさい。だらだらしていていいよ」と言っていました。わが家は子どもが多いので家の中できょうだいで遊ぶことが多かったですね。宿題や勉強をするのは、夕飯を食べたあと。エネルギーをチャージして元気を取り戻してから始めていました。
ー学校から帰った後、友だちが遊びに来たり、遊びに行ったりする子もいると思います。
学校から帰ってきた子どもに、「宿題を済ませてから遊びに行きなさい」という保護者がいますが、それはなかなか難しいと思います。子どもは遊ぶことで頭の中がいっぱいになってなかなか集中できず、宿題が疎かになってしまうのではないかと思います。
また、遊びに行く子どもに「帰ってきたら宿題するのよ」と声をかけるのも保護者がしがちなミスと言えます。せっかく、これから遊ぼうと思っていたのに親の一言で気分が一気にダウンしてしまいます。遊んでいても宿題のことが頭にあって、思い切り遊べないかもしれません。じゅうぶん遊んで帰ってきたら、「じゃあ宿題やろうか」と声をかけたら済むことなのに、ついつい言ってしまった一言で楽しくなくなってしまうので注意しましょう。
早生まれだからと気に病む必要はありません

―佐藤さんは保護者からいろいろ相談を受けていると思いますが、入学直前ではどんな相談が多いですか?
佐藤 「うちの子は早生まれですが、勉強についていけますか?」という相談が多いですね。たしかに、小学校入学時では4月生まれの子と3月生まれの子では約1年間の成育差があり、3月生まれの子は身体も小さくて行動面でも不器用に映ります。でも、成長とともにその差は収縮していくので心配いりません。
1月から3月生まれの子の保護者は心配するのに、なぜか12月生まれの子の保護者はほとんど心配しません。例えば、12月30日生まれは何も心配しないのに、数日遅いだけの1月3日生まれは早生まれと心配する。ということは「早生まれ」という言葉に縛られているだけ、ということです。
学校におまかせではなく、親はいつも子どもの味方でいてください

―保護者の方の心配は尽きませんね。
佐藤 学校によって違いがありますが、学校には学校のルールがあり、それを守らなくてはいけないこともあります。たとえば、作文を書くときは学校で習った漢字しか使ってはいけないというルールがあったりします。知っているけれど、習っていない漢字を使うと指摘されるので困ることがあるかもしれませんが、そのときは「そういうキマリがあるから、まあ、せっかく漢字で書いたけれどここはひらがなで書いとこうか」と子どもと相談して、ひらがなに直せばいいと思います。
大事なのは、保護者はいつも子ども側に立つということです。学校におまかせ、学校に丸投げではいけません。「先生がこう言っているから、この漢字はひらがなに直しなさい」と言うのは学校側に立って子どもと対峙していることになります。親はいつも子どもの立場に立って、学校は利用するぐらいの気持ちで、常にわが子の立場に立って考えて欲しいと思います。「お母さん、お父さんはいつもあなたの味方ですよ」という姿勢を子どもに示していただきたいと思っています。
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浜学園アドバイザー。佐藤亮子のにっこり教育サロン運営。英語教諭を経て結婚。専業主婦として4児を育て上げる。三男一女がそろって、東京大学理科3類に合格し、医師の道に進んだ。子育て法と受験テクニックに注目が集まり、講演会で全国を飛び回る日々で、著書も多数。最新刊は『中学受験しても、しなくても 佐藤ママの9歳までの受験準備』(小学館)。YouTube「佐藤ママチャンネル」は登録者6万人超え。
構成/今津朋子