▼中・高学年の記事はこちら
目次
Q１.どんな本を選んだらいいの？
A. 子どもが興味を持った本がおすすめ
読書感想文を書くには、主人公の気持ちに共感したり、ストーリーの展開にドキドキしたりできる本がおすすめです。
また、世代を超えて多くの人々の心に残っている本、たとえば20年以上読み継がれてきたロングセラーの名作なども読みやすく、感想文も書きやすいでしょう。
逆に、感想文が書きにくいのは、図鑑です。図鑑は、物語とは違い、起承転結などスト―リー性がなく「ここが好き」「ここがいい」という焦点を当てにくいからです。感想文を書くなら、図鑑よりも動物の行動や生態などが書かれている科学読み物の本のほうが書きやすいでしょう。
本選びで迷ったら、その子の「中心軸になっている本」を選ぶのがポイントです。「中心軸になっている本」とは、その子が興味を持っていることや好きなことに関する本のこと。
大人でも、興味のない本を読むのは、辛いですよね。本を読みなれていない低学年の子なら、なおさらです。でも、虫好きの子が「虫の本なら、読んでみようかな」と思って本を開けば、きっと最後まで読み切れるはず。
その子の興味関心に応じて本を選びましょう。
Q２. 親が本を選んで与える？ それとも子どもに選ばせたほうがいい？
A. 複数の本の中から子ども自身に選ばせたい
自分で本を選ぶのは楽しいですし、子どもの中に「自分で選んだのだから、ちゃんと読むんだ」という責任感のような気持ちも芽生えます。
低学年の場合、親や先生から勧められた本を素直に読む子もいますが、その場合も、親が選んだ数冊の中から、最終的に本人に選ばせるスタイルが望ましいでしょう。そのほか、一緒に図書館に行き、タイトルや表紙を見比べて選ばせるというのもありです。
読書感想文コンクールの課題図書の場合も、数冊の候補から子ども自身に選ばせると、後で感想文をスムーズに書くことにつながります。
Q３. 読書感想文の本は買うべき？
A. 図書館を活用するのもおすすめ
じっくり読むために本を買うという考え方もありますが、図書館を活用するのもいい手です。
図書館の本というと、借りてくるイメージが強いかもしれませんが、図書館で本を読むのもおすすめです。
というのは、図書館なら、本を読んでいる途中で「思っていたのと違うな」と感じたら、すぐにその本を棚に返して、別の本に手が伸ばせるからです。「買ったからには最後まで読まなくちゃ」という変な使命感（？）というか、義務感を抱かずに済むのもメリットです。
たくさんの本にふれて、自由に選ぶのは楽しいもの。子どもにも、本を選ぶ楽しみを味わわせてあげましょう。
Ｑ４. 親ができるサポートは？
Ａ. 親子一緒に読んだり、読み聞かせをしたりした後、好きなシーンを話し合おう
親子一緒に本を読んだり、親が読み聞かせをしたりすると、その本を話題にしておしゃべりできます。その会話は感想文を書くときに役に立つので、まずは親子で読書を楽しみましょう。
次に、感想を話し合います。お互いに感じたことを伝えあうと、思ってもみなかった感想や考え方に驚いたり、感心したりするかもしれません。それも、感想文に役立つことがあります。
子どもに感想を聞くとき、一つだけ注意しておきたいのは、子どもが答えやすいように問いかけることです。「どんなふうに思った？」というような漠然とした聞き方だと、子どもはどう答えたらよいかわからないことも多いからです。
おすすめしたいのは、「どこ（どのシーン）が好きだった？」という聞き方です。「どこ？」と聞かれれば、子どもは「ここ！」と答えられますから。
では、どうしてそのシーンが好きなのか、心に残ったのか。好きなところとその理由を書けば、それはもう立派な感想文です。
低学年では、好きな主人公に自分を同化して読む子も多くいます。主人公になりきりながら物語の世界を楽しみ、「もし自分だったらどうするか」と考えるのも、感想文を書く手掛かりになります。
Q5. 読書感想文は１日で書ける？
A. 1日ではムリ。じっくり時間をかけて取り組もう
読書感想文は夏休みの中盤～終盤、それも終了間際に慌てて取り組む子も見られますが、とても1日では書けないものと考えておきましょう。
なぜなら、「この本がおもしろかったら、これで読書感想文を書こう」と思える本に出合うまでに時間がかかるかもしれないし、親子で読んで感想を話し合ったり、実際に何を書くか全体の構成を考えたり、下書きや清書をしたりするために、思っている以上に時間が必要だからです。
まして、低学年は、文章を読むにも書くにも時間がかかる子は多いもの。読書感想文には、早めに取り組むことをおすすめします。
Q６. 読書感想文に取り組むメリットはある？
A. 親子のコミュニケーションとして活用を
親としては、「読書感想文の宿題を完成させなくちゃ」と焦ったり、なかなかうまくいかずイライラしたりするかもしれませんが、ぜひお子さんとのやりとりを楽しんでください。
一緒に本を読む、読み聞かせをする、感想を話し合う、そしてそれを感想文としてまとめる、この過程がすべて、親子の大切なコミュニケーションであり、思い出になると思います。低学年だけではなく、中学年、高学年になっても、本や読書感想文を通したコミュニケーションは、親子の絆を深めるでしょう。
読書感想文を親子コミュニケーションのツールにして
子どもには心豊かに人生を歩んでほしい――。そう願うのは、親だからこそ。読書は心の栄養になります。読書感想文という宿題を「面倒くさい」「関わりたくない」と思うのではなく、親子の思い出をつくり、コミュニケーションを深めるきっかけとして活用してみませんか。
▼中・高学年の読書感想文対策はこちら
◆お話を伺ったのは…
この記事でお話を伺った白坂洋一先生による、読書教育に関する様々なアプローチの提案書。我が子によい読書習慣を身につけてほしいと願う親にとっては必読です。巻末の特別付録には、ブックガイド「小学生なら読んでおきたい理想の本棚246冊」が収録されています。
