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金津久利エム子(かねつくり・えむこ)
某地方都市でゆる~く活動しているWebライター。実は面倒なお金の話が大の苦手で、増やすより減らすほうが得意なマネー音痴。投資などにも一切かかわってこなかったが、マネ活に明るい友人が勧める「新NISA」に興味がわいて、小1の息子の大学費用捻出に向けて思い切って始めてみようと考えている。
またまたこんにちは、エム子です。
皆さんはよくご存じかもしれませんが、新NISA口座って、総合口座(証券総合口座)という大きなお財布の中にある、ポケットの一つみたいなものなんですね。
実はエム子は、「新NISAをはじめるんだから、新NISA口座だけつくればいいじゃん!」とか思っていたのですが、やはりそれだけではダメらしくて…。最初はまず、その金融機関の総合口座をつくる手続きをして、その過程で新NISA口座もあわせて申し込むというのが一連の流れなのだと、今回あらためて勉強させてもらいました。
ちなみに総合口座は、新NISA口座と違って同時にいくつもの金融機関でつくれるそう。開設料や維持費もかからないので、マネ活のベテランさんには、あちこちの証券会社に総合口座を持っている人も結構いるようです。
口座開設の流れ
インターネットでの申し込み方法
ネット専門証券のS社の場合、口座開設の申し込みは郵送かインターネット。エム子も自宅のパソコンを使って、ネットで口座開設の申し込みをしました。
ただし、申し込み受付完了ですぐに口座が使えるようになるわけでなはくて、書類を提出したり、審査を受けたり、いろいろな準備作業が必要になります。
なので、実際の口座開設までの道のりは、大きく分けてこの4ステップ。
1,口座開設の申し込み
2.本人確認書類の提出
3.取引パスワードの設定
4.総合口座の初期設定と完了通知の受け取り
※新NISA口座に関しては、総合口座と同時に申し込みはできるものの、税務署の審査をうけてから開設承認となるので、申し込み後すぐに取引はできません(エム子の場合、審査完了のメールが届いたのは、口座申し込みの2週間後ぐらいでした)。
ステップ1 口座開設の申し込み
最初の「口座開設の申し込み」のプロセスは、ざっとこんな感じです。
申し込みの流れ
S社の公式サイトにアクセスし、「口座開設する」または「無料口座開設」をクリック。
↓
「メールアドレスの登録」画面になる。自分のアドレスを入力して送信。
↓
登録したアドレスに送られてくる認証コードを、入力欄に打ち込んで「次へ」。
↓
「お客さま情報の設定」で、国籍、氏名、生年月日、性別、住所、職業などの個人情報を入力していく。
↓
規約の確認。
↓
入力内容の確認。
↓
その後、口座開設方法を選ぶページに進む。“ネットで口座開設”を選択。
↓
ユーザーネームとパスワードが発行され、口座開設申込は完了。
エム子のモヤモヤお悩みポイント
エム子:八木さん、今回もよろしくお願いします! さっそくですが、「お客さま情報の設定」のところで、国籍、氏名、生年月日と個人情報をいろいろ入力していたら、こんな↓ページが出てきたんですが…。
エム子:口座種別? 納税方法? 特定口座と一般口座って何?って感じで、正直よく分からなくて。とりあえず、おすすめ印がついてる“特定口座、源泉徴収あり”を選択したのですが、これって大丈夫ですか?
八木陽子さん(以下、敬称略):はい、それで問題ありません。特定口座というのは、確定申告の手続きを簡素化するためにつくられたもの。
非課税の新NISA口座以外での取引には、利益に対して税金がかかるので申告が必要になるわけですが、ここで「特定口座、源泉徴収あり」を選択しておけば、証券会社のほうで税金の申告や支払いもしてくれるんですね。
もうひとつの一般口座は、未公開株など特殊な取引に使われる口座なので、エム子さんは気にしないで大丈夫ですよ。
NISAの選択
エム子:「口座種別の選択」の次がこの「NISA選択」のページでした。
八木:ここで「NISAに申し込む(無料)」を選択すると、総合口座とあわせて新NISA口座の開設申し込みができるんですね。
新NISA口座を開設するにあたっての税務署への申告等も証券会社が代行してくれますから、ぜひ申し込んでおきましょう。
ポイントサービス申し込み
八木:他に比べてポイントサービスが充実しているのも、大手ネット専門証券の魅力の一つ。
ここでTポイントなど6種類のなかから1つ選んで申し込んでおくと、投資信託を買ったときにポイントがついて、たまったポイントを投資に使えたりもできるんですね。
エム子:上画像のような関連口座の選択。これって、ついでに系列の銀行にも口座をつくりませんか?ということだと思うんですが、こういう勧誘っぽい項目も、マネー音痴のエム子にはハードルが高くて。え、どうしよう? つくったほうがいいの?って、ちょっとアワアワしちゃいました。結局、申し込まなかったけど…。
八木:そうですね。同じ系列の銀行との紐づけで、ちょっとお得になることもあるかもしれませんが、そういうことは後からいくらでも調整できますから。
まだまだ先は長いので、まずは新NISAの口座開設を優先してこのまま進みましょう!
口座開設方法の選択
エム子:ひととおり入力が終わったら、各種規定の確認と入力内容の確認があって、最後に口座開設方法の選択画面になります。
エム子は、郵送より“ネットで開設”のほうが早くて簡単と聞いていたので、そちらを選択。「申し込む」をクリックしたら、ユーザーネームとパスワードが発行されました。
八木:ここまでで第一段階クリアですね。ユーザーネームとパスワードはこれからの手続きや取引でも毎回必要になるので、忘れないように保管しておいてください。
ステップ2 本人確認書類の提出
続いてやらなくてはならないのが、本人確認書類の提出。口座開設申し込みが完了すると、最初に登録したメールアドレスに通知が届くので、そこに添付されたURLから次のステップに進みます。
作業の流れ
口座開設申込完了の通知メールに添付されたURLから「口座開設状況の確認」のページに進み、ユーザーネームとパスワードでログインする。
↓
口座開設状況を確認し、「本人確認書類の提出」に進む。
↓
本人確認やマイナンバー確認のための提出書類と提出方法を選択。
↓
画面に表示されたQRコードをスマホで読み取って連携させ、ユーザーネームとパスワードでログインする。
↓
スマホのカメラで本人撮影とマイナンバーカード撮影を行い、画像データを送信。
↓
本人確認書類提出完了。
提出書類・提出方法の選択
提出書類と提出方法の組み合わせにはいくつかパターンがありますが、一番簡単なのは、提出書類をマイナンバーカードにして、スマホのカメラを使ってその場で撮影して提出する方法。
ちなみに、提出書類をマイナンバーの通知カードにした場合は、運転免許書などの本人確認書類がもう1点必要になります。
パソコンの場合、本人確認方法で「自分の顔をその場で撮影」を選ぶと、QRコードが表示されます。それをスマホで読み込んで連携させ、ユーザーネームとパスワードでログイン。
本人撮影とマイナンバーカードの撮影を行い、画像データを送信したら手続きは完了。作業はここでいったん小休止となります。
ステップ3 取引パスワードの設定
エム子:写真を送って2日後、エム子のもとに「本人確認審査完了のお知らせ」という通知メールが届きました。あわせて取引をはじめるにあたって、「取引パスワード」を設定せよとのこと。
数字10桁のユーザーネームと、かなり強固なログインパスワードが発行されているにもかかわらず、もうひとつパスワードがいるんですね?
八木:そうですね。もし仮にユーザーネームとパスワードだけだったら、誰かにうっかりログインされてしまったら勝手に取引までされてしまいますよね。だからネットでは、ログイン中も、取引の際にはさらに「取引パスワード」を入力しないと取引できないような仕組みになっているんです。
面倒くさいかもしれないけれど、セキュリティ的には、このもうひとつのパスワードがあるほうが安心ですよね。
取引パスワード設定の流れ
メールに添付されたURLから「口座開設状況の確認」のページに進み、ユーザーネームとパスワードでログインする。
↓
口座開設状況を確認し、「取引パスワードの設定」に進む。
↓
本人確認のため、登録した電話番号、生年月日、メールアドレスを入力し、送信する。
↓
登録したアドレスに認証コードが送られてくる。
↓
「取引パスワード設定」の入力欄に、送られてきた認証コードと任意の取引パスワード(自分で決めてよい)を入力し、設定ボタンを押す。
↓
取引パスワード設定完了。
ステップ4 初期設定
エム子:エム子的に一番ドキドキアワアワしたのが、この最後の「初期設定」。取引パスワードの設定完了画面にある「初期設定する」をクリックするとすぐにはじめられるのですが、わからないことや知らない言葉が多すぎて、とっても不安です!
初期設定の流れ
取引パスワードの設定完了画面にある「初期設定する」をクリック。
↓
画面の案内にしたがって個人情報を再登録。勤務先のインサイダー登録も行う。
↓
振込先金融機関口座を登録。
↓
国内株式手数料プランの選択
↓
投資の方針や主な収入源などの質問事項やアンケートに答える。
↓
登録内容の確認後、「この内容で登録」をクリック。
↓
iDeCoや信用取引口座の開設を聞かれる。
↓
総合口座開設が完了。
情報登録と質問回答
エム子:初期設定のスタートは個人情報の再登録から。その最初の最初は国籍を尋ねられ、さらに「米国永住権(グリーンカード)を保有しているか」なんて耳慣れない質問もあって、ちょっと驚きました。
八木:ああ、なるほど。国籍や日本在住かどうかといった質問は、理由のひとつに新NISAが日本の制度で、“日本に住んでいる18歳以上の人”を対象にしているから、ということもあるでしょうね。
あとは税金や法律のことなども関係していると思いますが。証券会社の総合口座は投資全般、株取引などにも使われるものなので、法律にのっとってきちんとインサイダー登録などもしておかないといけないんですね。
エム子:インサイダー取引って、言葉で聞いたことはあるけれど、今回の口座開設のなかでそういうものとも触れ合うとは思っていなかったので、なんだかすごくドキドキしました。
あと、そういえばひとつ気になったことがあったのですが。配当金の受け取り方についての質問があって。あれはどうすればよかったんでしょう?
配当金の受領方法
「株式数比例配分方式」 → 証券口座に入金
「登録配当金受領口座方式」 → 銀行口座に振り込み
「個別銘柄指定方式」 → 銀行口座に振り込み
「配当金受領証方式」 → 郵便局で現金受け取り
八木:エム子さんは「株式数比例配分方式」を選びましたか? だったら正解です。なぜなら、配当金が出たとき、今回つくったネット専門証券の口座に振り込まれるようにしておかないと、新NISAの配当金が非課税にならないから。他の3つでは非課税にならないんですね。
配当金とは株式やETFを買っている人が受け取るものです。ここは、けっこう重要なポイントですよ。
エム子のモヤモヤお悩みポイント(その2)
エム子:初期設定では、年収や収入源、投資にかけられるお金のことなどけっこうプライベートな質問が多かったり、投資の方針や手数料プランについて聞かれたりして、え~ん、こんなの書いていいのー? わからないよー!って、何度も途中で投げ出したくなったりしたんですけど。
エム子:一番プレッシャーを感じたのはこのページ。国内株式信用取引口座とか、FX口座とか、よくわからないものがずらーっとあって、デフォルトで✓が入ってるんです。
結局、怖くて全部チェックを外してしまったんですが、何かつくっておいたほうがいいものはあったんでしょうか?
八木:記入項目は、虚偽申告にならないようにだけ気をつけて、おおよそでいいと思います。エム子さんのように自営業でしたら、どうしても年収などは毎年変わるので、おおよそになりますよね。
それと、信用取引やFX口座は、投資に慣れてきたらするような取引なので、NISA口座を開設するための今は、必要ないと思います。
FXや金プラチナなどの取引口座も、実際にすることになった時につくればいいし。余計な口座を持つことで、うっかりそこにお金が入ってしまうような間違いのもとになりかねないので、チェックは全部はずしてよかったと思います。
新NISA口座、セット完了!
ここまで読んでくださった皆さま、長々とお疲れさまでした。
いやあ、まったく、申し込み手続きをはじめたときは、まさかこんなに大変なことになるとは思ってもみませんでした。ぶっちゃけエム子は、途中でくじけたり気力が続かなかったりして時間がかかってしまったのですが、おかげさまで総合口座のほうは、何とか無事に設定が完了。
それからしばらくして、S社から「NISA口座開設審査完了のご連絡」というメールが届き、ようやく目指していた最初のゴールにたどり着きました。
* * *
というわけで、次回からは、実際に新NISA口座で人生初のつみたて投資に挑戦します! どうぞお楽しみに。
編集部注=この記事は実在の証券会社での口座開設レポートとしていますが、特定の証券会社での口座開設をすすめるものではありません。
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キッズ・マネー・ステーション主宰
八木 陽子さん
ファイナンシャルプランナー。キッズ・マネー・ステーション代表。上智大学外国語学部卒後、編集者を経て2001年ファイナンシャルプランナーを取得。海外でファイナンシャルリテラシー教育を視察した経験を活かし、子供向けマネー教育の普及に努める 。TV、新聞、雑誌、セミナーや講演などで活躍。著書に『6歳からのお金入門(ダイヤモンド社)』『お金は子どもに預けなさい(経済界)』などがある。
記事監修
「見えないお金」が増えている現代社会の子供たち。物やお金の大切さを知り「自立する力」を持つようにという想いで設立。全国に約160名在籍する認定講師が自治体や学校などを中心に、お金教育・キャリア教育の授業や講演を行う。2018年までに1100件以上の講座実績を持つ。
構成/増田ひとみ
※登録画面の出典:SBI証券