発達障害の子の「できる」を引き出す学習道具ベスト5 筑波大学附属特別支援学校の先生が教えます!

発達障害の子に使いやすい文房具は数多く出回るようになりました。種類が多過ぎてどれを選んでいいのかがわからないかもしれません。そこで、筑波大学附属大塚特別支援学校の佐藤義竹先生に選ぶポイントをお聞きしました。

「子どもに聞いて選ぶ」が大前提です

大人が考える「これが良さそう」と、子どもが使いやすいものは違います。鉛筆1本を例にとっても、2Bが使いやすい子もいれば、もっと芯がやわらかい(かたい)ほうが使いやすい子もいます。

消しゴムもそうです。大きな消しゴムが使いやすい子もいれば、大きいと手に余って使いにくい子もいます。まずは子どもに聞いて、子どもと一緒に選ぶようにしてください。

 そのうえで、日常的な「読み書き」と「学習習慣」にフォーカスして、おすすめの学習道具を5つ紹介します。

 苦手ではなく、「手立て」がないからと考えて

 親はどうしてもわが子の「苦手」にだけ関心が向きがちですが、苦手を克服させようとしたりします。でも、視点を変えてみてください。苦手ではなく「手立て」がないだけと考えられます。

文字が読めるのに読み間違いが多いのは読むのが苦手なのではなく、その子にとって読みやすい手立てがなされていないからです。どのような手立てがあれば読みやすくなるのかを考えてみることが大切です。書くことについても同じです。書きやすい手立てがあれば、苦手にならずにすみます。

飛ばし読みをしていたら→読みたい行にだけ視点を集中!~「キハラリーディングトラッカー」

 

飛ばし読み→ 行がチラつくのかも→読みたい行だけに集中できる手立てを

読みたい行にだけ視点が集中できます。飛ばし読みしてしまう子、目がチラチラして読みづらいという子に。見やすい色は子どもによって違います。8色から読みやすい色を選んで。

「キハラリーディングトラッカー」各319円 キハラ(株)https://www.kihara-lib.co.jp

読みたがらないのは目が疲れるから?→光の反射を抑える定規~「魔法の定規」

白い紙に印刷された文字はコントラストが強すぎて目が疲れるという子に。光の反射を色で抑える定規です。全部で11色あります。

「魔法の定規」715円~ 輸入元:ユニークコミュニケーションプランニング 050-3311-0684

 

書きたがらないのは持ちづらいから?→持つ位置がわかる窪みがついた鉛筆~「魔法のかきかた鉛筆イージーグラフ」

人間工学に基づいてデザインされた窪み。指をのせるだけで書きやすい角度で鉛筆を持つことができます。

スタビロ 魔法のかきかた鉛筆イージーグラフ「スターターセット」(4本入り・鉛筆削り・消しゴム付き)/1,892円

(株)マークス https://www.marksu.jp

持ちたがらないのは持つ位置がわからないのから?→持ち方の練習具~「もちかたくん」

鉛筆にセットして使うと、書きやすい親指と人差し指の位置がわかります。慣れたら外すようにします。

 もちかたくん 132円 (株)トンボ鉛筆 0120-834198

安心して学習するには?→見通しをつけて、見える化しましょう~「リビガク マイプランボードシリーズ」

学習の始まりと終わりをはっきりと提示すると、見通しがつくことで、子どもが安心できます。

口頭で伝えるのではなく、文字や絵などで見える化してください。学習にとりかかるまでの段取りと手順を書いて親子で共有したり、残り時間を見える化したり。見通しを書き出して見える化すると、子どもは自分でペースで学習に取り組むことができるようになります。

また、帰宅後にすること、その週にすることなどは、口頭ではなく書き出しておくと、見通しが持てるようになります。

リビガク マイプランボードシリーズ 

宿題忘れ、忘れ物をなくす(写真右)/2,420円 勉強習慣を身につける(写真左)2,420円/ともに(株)ソニック 06-6752-3625

発達障害の子どもたちの「苦手」や「できない」が私を成長させてくれた。子どもを診断名でラベリングしないで!【筑波大学附属特別支援学校・佐藤義竹先生】
子どもが暴れたり、引っ掻いたりするのは、その子自身がつらいから 「子どもが暴れたり、引っ掻いたりするのは、その子自身つらいからなんだよ」。...

こちらの書籍では、子どもの身辺自立を手助けしたり、コミュニケーションを楽にしたり、学習面をサポート、など佐藤義竹先生がおすすめの道具たちを紹介しています。合理的配慮、担任の先生への伝え方など情報ページも充実!

『自信を育てる 発達障害の子のためのできる道具』(佐藤義竹/著 小学館 1300円+税)

 

佐藤義竹先生|筑波大学附属大塚特別支援学校 研究主任/教務主任
筑波大学附属大塚特別支援学校中学部担任を経て支援部。東京都文京区教育委員会・特別支援教育外部専門委員(教育指導課、教育センター)。社会性や自尊感情を育む教育プログラムを実践。自己選択・自己決定、意思表明の力を育む教材として「すきなのどっち?」「きもち・つたえる・ボード」「トライゲーム やってみたいのはどっち?」(tobiraco)を開発。著書に『1日1歩 スモールステップ時計ワークシート』『今すぐ使える! 特別支援アイデア教材50』(合同出版)。近著に『自信を育てる 発達障害の子のためのできる道具』(小学館)がある。

取材・構成/平野佳代子(tobiraco

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