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まずは学校見学でわが子に合う学校か見極める
――中学受験の志望校を決めるのは、意外に難しいと感じます。まずは学校見学、だと思いますが……。
その学校をリアルに見て感じることが大切ですので、ぜひ学校見学はしていただきたいですね。お子さんと一緒に見学するのがベストです。
ただ、お子さんと行く場合は、休日に開催される学園祭とか体育祭を見に行くことが多いのではないでしょうか。体育祭も学園祭も非日常、1年間のうちのたった1日か2日の特別な1日です。学校や生徒のいつもの姿を見るには、通常の授業の日がいいのです。お子さんを連れていくのがなかなか難しいかもしれませんが、小学校が早く終わる日や休校の日などに見学できるといいですね。
休み時間や登下校の様子、校長先生の話が校風を見極めるポイント
――学校を見学するときに、何をポイントにして見ればいいでしょうか。
お子さんはひとりひとり個性が違いますから、「我が子にとってのいい学校」もそれぞれ違います。お子さんの好きなこと、大事にしていることを確認しておくことが大前提です。その上で、学校を見ていきたいですね。
まず、校風をチェックしましょう。
自由を大事にしているのか、管理型なのか。お子さんにはどちらが合いそうですか? 自分の考えでさまざまなことにチャレンジしたい子にとって、学内の生活時間がきっちり決まっているような学校はつらいかもしれません。逆に、ある程度決まりがあるほうがラクと思う子もいます。
一般的に、生徒会活動が活発で、生徒が校則を決めるような学校ほど自由度が高いといえます。校則があっても、生徒が自分たちで決めたのであれば、生徒は窮屈だと思わないものです。学校見学での説明なども生徒にやらせている学校があります。保護者や子どもたちを引率して回って行く役目を任せるのですから、学校は生徒を信頼しているのですね。また、生徒も学校をよりよく説明しようと思うわけですから、双方の信頼感が強いといえます。
「自由な校風」といってもさまざま
最近はキチキチと生徒を管理する学校は減る傾向です。が、その自由度にも学校のカラーがありますので、それぞれの自由度の形を見極めましょう。休み時間や登下校の様子もよく見てほしいです。通学路を歩いている生徒の様子を見ると、その学校のカラーがわかりやすいですよ。共学だったら男女が仲がよいのか、女子は女子でかたまっているのか、そのあたりもよく見えてきます。
また、校長先生の話は、その学校の校風を表していることが多いです。中高の教職員の数はだいたい100人程度。つまりは100人の中小企業の社長さんみたいな存在が校長先生です。社長が社風を作るように、校長先生が校風を作っている部分は大きいです。
学校独自のカリキュラムや講習の内容がわが子に合うかチェック
――学習のしかたについても私立の場合、それぞれ違うのではないでしょうか。
そうですね。独自のカリキュラムや講習を組んでいるところも多いです。学校によっては6時間授業ではなくて7時間のところもありますし、1時限を70分、80分授業にしているところなどもあります。
特別な講師を呼んで、教養講座のようなものを開催している学校もあります。土曜日の午前中などに特徴ある講座を開催しているケースは多いようです。行事や留学プログラムも含めて、お子さんに刺さりそうなものがあるかどうかはよくチェックしたいですね。
カリキュラムの量に無理がないかチェックを
夏休みなど長期の休みに大学受験を視野に入れた講習を行う場合はその内容と頻度などをチェックしましょう。長期の休みに講習がビッシリあると、家族旅行や趣味、スポーツの練習などにも影響します。自由に時間を使いたいと思うタイプのお子さんならストレスになるかもしれません。「受講は任意」といっていてもほとんどの生徒が受けるのであれば、受けないと立ち後れることもあります。
日々の宿題の量、テストの回数なども、お子さんによっては抵抗がある、こなせないことも考えられます。カリキュラムや講習、宿題などについては、学校の資料をもらっても内容がよくわからないこともあります。不明点は学校に直接聞いて実態を把握し、子どもの納得を得ておくことが重要です。
進学実績はその学校の「東大合格人数」より進学者の多いゾーンを把握
――大学の進学実績も重要だと思います。東大合格は何人、などと掲げているところもあります。
東大など偏差値の高い大学に何人入学するかもチェックすべきですが、大切なのはボリュームゾーンがどのあたりの大学なのか、です。250人の生徒がいるとして、東大が1人か2人だとしたら残りはどこに行くのか。「人数の多い大学のゾーンあたりがその大学のリアルな実力」と思ったほうがいいでしょう。
浪人が多いか現役が多いかもチェックしましょう。どちらが多くても、自分の子どもがそうなりやすい傾向にあります。同じ●●大学●人でも、現役率が多いのか、浪人率が高いのかで、入学後の勉強のしかたにも影響してきます。
入試方式もわかるといいですね。推薦入学が多いのか、一般入試が多いのか。推薦入試の場合は、日頃の学習態度や学校の成績、生徒会や部活での活躍などもポイントになりますから、学校生活の過ごし方にも影響があります。
やりたい部活があるか、活動状況はどうか、顧問の先生に聞くといい
――校風や学習のしかたのほかにチェックしておくべきことはありますか?
お子さんが「やりたい!」と思っている部活やサークルがあるかどうかは、大きなポイントです。部活は学校生活の大きな時間を占めますから。「これぞ」と思う部活をみつけたら、活動状況もチェックしましょう。毎日練習があるとか、朝連もあるとなると、体力や学習との兼ね合いも考える必要があります。また、強豪であれば練習量が多いでしょうし、試合の遠征や合宿なども多くなります。 それぞれの部活の細かい内容については、進路指導の先生も把握しきれません。顧問の先生に直接話してみることも大事です。遠慮せずに、気になる部分は深掘りしてください。
多くのお子さんは、中学生になると部活中心に生活が回ります。どんな部活でどう過ごすかによって、6年間の過ごし方が大きく変わるので、ぜひ部活のありかたについては確認しておくといいですね。
通学時間は1時間以内がベスト
――ユウシンさんは通学時間も重要ポイント、とよくおっしゃっています。
「近い」ことは本当に大事です。通学時間が長いと部活や家での生活時間にも支障が出ます。早起きするのも大変ですよね。駅からの徒歩の時間、坂があるかどうかなども重要ポイントです。中高生は荷物が多いので、徒歩時間が長いのもきついでしょう。
僕が通っていた巣鴨中学校・高等学校では、冬の行事として約1週間、朝6時20分から剣道か柔道かマラソンを体験する、というのがありました。遠くに住んでいる子は始発でも間に合わなくて困っていました。今はさまざまな配慮があると思いますが、やはり毎日のことですから、子どもの立場になって通学時間と疲れ具合について考えてあげるといいですね。
通学時間は1時間以内がベストだと思っています。多くても1時間半以内でしょうか。実際に家から学校まで朝の通学時間に電車に乗り、学校まで行ってみて、実感されるのもいいと思いますよ。また、親御さんも面談や授業参観などで学校に通うことが年に何回もあります。やっぱり近いほうがラクですよね。