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入園後に多い「登園しぶり」とは?
これから保育園や幼稚園の入園を控えている保護者の中には、「毎朝泣かれたらどうしよう」「すぐに園に馴染めるだろうか」と不安を感じている方も多いかもしれません。保育園や幼稚園に通い始めた子どもが登園を嫌がったり、不安や緊張を強く示したりする「登園しぶり」はよくあること。朝になると泣く、園の門の前で立ち止まる、「行きたくない」と訴えるなど、表れ方はさまざまです。
登園しぶりは入園直後に起こるイメージを持たれがちですが、少し慣れてきた1〜2週間後や、慣らし保育後、連休明けに見られることも多くあります。また、入園に限らず、進級による環境の変化をきっかけに始まるケースも珍しくありません。
登園しぶりは成長のサイン。1~2か月で落ち着く傾向
登園前に泣く姿を見ると、「このまま通わせて大丈夫なのだろうか」「無理をさせているのではないか」と思ったり、周りの子が落ち着いて通っているように見えると、「うちの子だけなのでは」と不安になったりするかもしれません。しかし登園しぶりの多くは、子どもの発達段階に応じた自然な反応です。

園生活という大きな環境の変化は、大人よりも切り替えに時間がかかる子どもにとっては、それだけで大きなエネルギーを使っています。園では意外と頑張っている子も少なくありません。気を張って過ごした反動が、登園前や帰宅後に表れることもあります。登園しぶりは「できていない証拠」ではなく、新しい環境に慣れようとしている途中の一生懸命なサインなのです。
慣れるまでには個人差がありますが、激しい登園しぶりがある子でも数週間〜1、2か月で落ち着くことが多いです。
保育園での登園しぶりの対応
登園しぶりへの対応は、園の方針や体制、子どもの年齢によってさまざまですが、一般的には「早く泣き止ませること」よりも、安心できる状態をつくることを大切にしている園が多いです。
私がこれまで勤務してきた園でも、登園時に泣いている場合は、特定の保育士が関わったり、落ち着ける場所で過ごしたり、落ち着くまで抱っこしたりと、安心できる関係づくりを優先してきました。無理に活動へ参加させるのではなく、その子のペースを尊重する対応をとっていました。
泣いている時間があっても当たり前、それぞれの子どものペースで徐々に慣れていくものです。気持ちが落ち着いてきたタイミングで、好きな遊びや興味のある活動へと自然につなげていくのも、現場でよく行われている関わりです。自分から遊びに向かえることで、「園で過ごせた」という小さな成功体験につながっていきます。
やってしまいがちな登園しぶりのNG対応
登園しぶりが続くと、どう関わればいいのか分からず、つい強い言葉や行動になってしまうことがあります。どれも「早く落ち着いてほしい」という思いから出るものですが、子どもにとっては不安を強めてしまうこともあります。
「泣かないで」と叱る
泣いていること自体を止めようとすると、子どもは気持ちを出せなくなってしまいます。感情を受け止めてもらえなかった経験は、登園そのものへの不安を強めることがあります。
「みんな行ってるよ」と周りと比べる
他の子と比べられることで、「自分はできていない」と感じてしまう子もいます。比較はやる気につながるどころか、自己肯定感を下げてしまうことがあります。
「すぐ迎えに来るから」「大丈夫だから」とあいまいなことを伝える
安心させたい気持ちからの言葉でも、先の見通しが分からない子どもにとっては、かえって不安を強めたり、気持ちが追いつかなくなったりすることもあります。
家庭でできる関わり方と声かけ
登園しぶりがある時期、家庭での関わりは「何か特別なことをする」よりも、安心できる場所を作ってあげることが何より大切です。
泣いているときは、気持ちをそのまま受け止める
「泣かないで」と止めるよりも、「行きたくないんだね」「寂しいよね」と、気持ちを言葉にして返すことで、子どもは少しずつ落ち着いていきます。感情を出してもいい、と感じられることが、次の安心につながります。
具体的に迎えに来る時間を伝える
登園時の不安が強い子どもにとって、「ちゃんと迎えに来てもらえる」という見通しは、とても大きな安心材料になります。そのため、「あとでね」「すぐ迎えに行くよ」よりも、生活の流れに結びついた具体的な言葉がおすすめです。
「おやつのあとにお迎えに来るね」「この針がここに来たら迎えに来るよ」など、子どもが分かるように具体的に伝えることで、「いつか分からない不安」を減らすことができます。
別れぎわのルーティンをつくる
別れる前に短いハグやタッチなど、毎回同じお別れのルーティンをつくるのも効果的です。
「ぎゅーして、いってきます」など、型があることで、子どもは気持ちの切り替えがしやすくなります。
先生への引き渡しは、長引かせすぎないことも大切

泣いているわが子を前にすると、なかなか離れがたく、「落ち着くまで一緒にいよう」と思うこともあるでしょう。ですが、登園時の別れは長引けば長引くほど不安が強まる子も多いです。
「いってきます」「バイバイ」と伝えたら、迷わず先生に託すことも、子どもにとっては安心につながります。保護者が不安そうに立ち止まっていると、その気持ちが子どもにも伝わってしまうことがあるからです。
引き渡したあとは、先生が子どもの気持ちを切り替えられるよう関わっていくので、任せてください。
帰宅後の親子の時間を大切にする
園で頑張っている分、家では甘えが強くなることもあります。家での時間は特に意識して、たくさんスキンシップをとったり、お話をしたりしてみてください。ママパパといる時間そのものが、心の回復になります。
大丈夫! 子どもは園に慣れていく

登園しぶりは、子どもが新しい環境に適応しようとする中で起こる、ごく自然な反応です。実際、保育の現場では、入園当初は毎朝泣いていた子が少しずつ慣れていき、気がつけば園での生活を楽しめるようになる姿を何度も見てきました。
大切なのは、「早く泣かなくさせること」ではなく、安心できる経験を少しずつ積み重ねていくことです。
園での対応と家庭での関わりがつながることで、子どもは自分のペースで前に進んでいきます。
不安なときは一人で抱え込まず、園や周囲の力を借りながら、親子でこの時期を乗り越えていきましょう。
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この記事を書いたのは…?
京都大学 工学部建築学科卒業。
北陸放送アナウンサー、テレビ大阪アナウンサーを経て2012年よりフリーキャスターに。
NHK「おはよう日本」、フジテレビ「Live news it」、読売テレビ「ミヤネ屋」などで気象キャスターを務める。
現在は株式会社トウキト代表として陶芸の普及に努めているほか、2歳からの空の教室「そらり」を主宰、子どもの防災教育に携わっている。
