子どもは可能性の塊。でも、ついつい怒ってばかりでその良さを引きだしてあげられない……。そんなふうに悩んでいるママにこそ、取り入れてほしいのが「コンプリメントトレーニング」です。
以前の記事不登校やいじめ、子どもの問題でカギとなる「コンプリメント」とはでは、<子どもの身体症状は、自信不足のサイン>だとお伝えしました。そして、<コンプリメントによって、子どもにとっての何物にも代えがたい「活動のエネルギー」>を与えられる、とご紹介しました。
■子どもの心を愛情と自信で満たす
コンプリメントというと何やら難しい言葉に聞こえますが、内容はとってもシンプルです。
子どもが本来持っている「良さ」を、親の言葉がけによって、子どもに気付かせることを「コンプリメント」といいます。毎日のコンプリメントは「心の栄養」。これにより、子どもの心は愛情と自信で満たされます。
毎日ちょっとの時間で大きな効果をもたらしてくれるから、「怒ってばかりで、なかなか子どもを誉められない……」と悩んでいるママにこそ、実践してほしいトレーニングなのです。
スクールカウンセラーとして、全国の父母から支持されている森田直樹さんの著書『コンプリメントで不登校は治り、子育ての悩みは解決する』には、森田さんが実際に活用しているコンプリメントトレーニングの方法が紹介されています。
その中から、すぐに実践できる「コンプリメントトレーニング」のコツをお伝えしていきます!
■大切な言葉はたったの2つ!
コンプリメントで、大切な言葉は2つだけ。
1つめは「……力がある」という言葉。「……」の部分には、子どもが「したこと・できたこと」を入れてみてください。
その際、気をつけることは事実のみを入れること。親の解釈や考え方を付け加えてはいけません。事実をコンプリメントすることで、承認された・認められたということになり、子どもの自信につながっていきます。
2つめは、「……お母さんはうれしい」という言葉。
これは親からの愛情を伝える重要な言葉でもあります。「きちんと時間通りに終わって、お母さんもうれしいな」などの言葉を、子どもにかけ続けることで、子どもは「親に愛されている!」ということを実感します。
その気持ちは目に見えなくても、子どもの中にきちんと蓄積され、心が潤っていきます。
■親に認められ、愛されているという気持ちは強い力に!
コンプリメントトレーニングは年齢に関係なく、すべての子どもに使えます。
毎日のコンプリメントの言葉がけによって、子どもは自信をもって何事にも取り組めるようになります。その効果は、身体症状が軽減されたり、問題を解決できたりといったことだけでなく、さらには新たな力を発揮できるようになることです。これこそが子どもの成長を育む力なのです。
■コンプリメントで子どもの笑顔が増える!
毎日「したこと・できたこと」を見つけるためには、子どもをしっかりと観察しなければいけません。事実をコンプリメントし続けていくことで、子どもは「ちゃんと見ていてくれる、認めてくれている」と、心を開いてくれます。そして、コンプリメントの言葉がけで笑顔になっていきます。
逆に、「毎日言葉がけをしているのに、なかなか心を開いてくれない」と感じたときは、正しいコンプリメントができていないということになります。また、スマホやゲーム機ばかりやっている子どもほど、効果が現れるのが遅い傾向にあります。
コンプリメントのコツは、子どもをよく観察すること、毎日言葉がけをすること。大変なようですが、実は親として当たり前にやるべきことでもあります。
ガミガミ言ってしまいがちなママだからこそ、「ママはうれしい」「力があるね」といった言葉は子どもにとって、より一層うれしいはずですよ。
(ライター/相川いずみ)
『コンプリメントで不登校は治り、子育ての悩みは解決する』(森田直樹・著/小学館)
モデル/酒井 彩葉ちゃんとママ 撮影/タナカヨシトモ デザイン/渡邊園予