【小児科医監修】子供の「夏かぜ」、流行る時期は?どんな病気?対処法や治療法も

Q . かぜは冬に多いイメージですが、夏に流行するものもあると聞きました。子供の「夏かぜ」の症状や対処法を教えてください。

 

A . 「夏かぜ」は夏に活発なウイルスが 原因で起こる病気です

梅雨~夏に流行するのが「夏かぜ」

かぜとは、気道(鼻や口から肺につながる空気の通り道)に炎症が起こり、くしゃみや鼻水、のどの痛み、発熱などが見られる病気の総称です。かぜのうち、梅雨の時期~夏に流行するものが「夏かぜ」と呼ばれます。

子どもに多い3種類の夏かぜ

夏かぜの原因は、暑さや湿気を好むウイルスです。子どもに多く見られるのは、手足口病、ヘルパンギーナ、咽頭結膜熱の3種類です。

●子供の「夏かぜ」1 手足口病

手足口病はどんな病気?

コクサッキーウイルスやエンテロウイルスの感染によって起こり、感染した人のだ液や、水疱の中身などからうつります。主な症状は、手のひらや足の裏、口の中などにできる米粒ぐらいの水疱(肘やひざ、おしりなどにできることもある)。熱が出ることもありますが高熱ではないことが多く、1~2日で下がることがほとんどです。

ただし、最近流行が見られるコクサッキーA6型ウイルスに感染した場合は、高熱が2日ほど続いてから水疱が現れます。手や足の水疱には痛み、かゆみなどはほとんどありませんが、口の中の水疱はつぶれると痛みます。

子供の「夏かぜ」2 ヘルパンギーナ

ヘルパンギーナはどんな病気?

おもにコクサッキーA群ウイルスの感染によって起こり、感染した人のだ液や排泄物などからうつります。38~39度の高熱が出て、ほぼ同時に、のどの奥などに赤く小さな水疱が数個~十数個できます。水疱がつぶれると痛むため、食事や水分をとりにくくなることがあります。熱は1~3日で下がり、のどの痛みも1週間ほどで治まります。

●子供の「夏かぜ」3 咽頭結膜熱(プール熱)

アデノウイルスの感染によって起こり、感染した人のだ液や目やになどからうつります。プールの水を介してうつることもあるため、「プール熱」とも呼ばれます。39~40度の高熱が出て、ほぼ同時にのどの腫れや目の充血が見られます。目の症状はまず片方から始まり、その後、もう片方にも現れます。症状は1週間ほどで治まりますが、おもな症状がなくなってから2日過ぎるまで、登園はできません。

 

「夏かぜ」には水分補給で脱水を予防することが有効

水や麦茶などで水分はこまめに補給を

ウイルスが原因の夏かぜの場合、治療は対症療法に限られます。病院で処方される薬もつらい症状をやわらげるためのもので、病気そのものを治すものではありません。回復を待つあいだ、もっとも注意したいのが脱水の予防です。口の中やのどが痛むと飲んだり食べたりするのをいやがることがあります。

食事は無理にとらなくても構いませんが、水分はほしがらなくてもこまめにとらせます。水分補給には水や麦茶など甘くないものが適していますが、食事がとれない場合は、糖やナトリウムを補給することができる子ども用の経口補水液を利用するとよいでしょう。

「夏かぜ」は何度もかかるの?大人にもうつる?

夏かぜは、それぞれ原因となるウイルスが複数あります。一度かかれば免疫ができますが、違う型のウイルスには感染するため、何度かかかることもあります。

また、症状が治まったあと数週間は、便(咽頭結膜熱の場合は目やににも)にウイルスが含まれています。トイレやおむつ替えのあとなどはていねいに手洗いをし、使用ずみのおむつは密封して捨てましょう。

監修/金井正樹先生
東京都八王子市・金井内科医院 院長
国立小児病院、米国の小児病院などで小児外科の臨床・研究を行い、2008年より現職。診療科目は内科、小児科、小児外科、外科。保育園の園医、小・中学校の校医も務める。

出典/『めばえ』 別冊 and8月号 再構成/HugKum編集部

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