国語力が伸びるカギは「精読」だった! 「精読」4つのコツと、読める子を育てる家庭の習慣とは?【国語の専門家・南雲ゆりかさんに聞く】

「うちの子、音読はできるのに国語の点数が安定しないんです」「文章題になると、急に解けなくなってしまって」
タブレット教材「RISU算数」では、保護者の方から、こんな相談をいただくことがよくあります。本も読んでいるし、漢字も書ける。それなのに、なぜか国語だけうまくいかない。実はその原因、読書量でもセンスでもなく、読み方にある かもしれません。
今回、RISUは国語指導の専門家である南雲(なぐも)ゆりかさんにお話をうかがいました。

「読める」と「読解できる」は、実はまったく別の力!

南雲国語教室 主宰の南雲ゆりかさん

まず「読める」というイメージは、以下のようなものが一般的かと思います。

  • ・音読はスラスラできる
  • ・漢字も読める
  • ・最後までつっかえずに読める

ここまでできていれば、保護者としては「ちゃんと読めている」と思いますよね。でも、読み終わったあとに「どんな話だった?」と聞くと、「えっと…なんだっけ?」と答えに詰まる。そんな場面、ありませんか?

実はこれ、文字は読めているけれど、意味は理解できていない状態なんです。

「音読できる=理解できている」ではありません。読解力とは、単に読むことではなく、書いてある内容を正確に受け取る力。もっと言えば、「自分の思い込みを入れずに、客観的に読む力」のことを意味します。

子どもは無意識に「自分の物語」を足してしまう

子どもたちは、想像力が豊かです。だから文章を読むときも、「きっと悲しかったんだよね」 「たぶんこう思ったからこうしたんでしょう」と、自分なりのストーリーを補ってしまいがちです。

子どもは「きっとこう思ったんだろうな」と主観を交えて読んでしまいがち。

これは悪いことではありません。むしろ、とても素敵な力です。

でも、テストや読解問題では話が別で、求められているのは「書いてあること」から、状況や心情を読み取る力です。そこに主観が混ざると、いつのまにか答えがズレてしまいます。

「読めない」というより、「自分のフィルターを通して読んでしまっている」状態が、国語の点数が安定しない大きな理由のひとつと言えるでしょう。

カギは「精読」。ゆっくり、正確に読むこと

どうすれば、そのズレやフィルターはなくなるのでしょうか。そこで出てきたのが 精読 という考え方。速く読む練習でも、問題演習の量でもありません。やることは、驚くほどシンプルです。

・主語は何?
・何をどうした?
・「それ」「これ」は何を指している?
・この一文は、つまりどういう意味?

たったこれだけ、少しずつ立ち止まりながら読むのが「精読」のコツです。

まずは読み聞かせで「誰が何をしたのかな?」などと聞いてみて。そのうち、自分でも立ち止まりながら読めるようになります。

「なんとなく分かった」で流さないように意識するだけで、理解度はまったく変わります。

速く読む力は、あとから自然とついてきます。まずは 「正確さ」 が土台です。家づくりでいうなら、基礎工事の部分ですね。ここが整うと、国語はぐっと安定してくるそうです。

 「国語が苦手」なのではなく、つまずいている場所があるだけ

「うちの子、国語が苦手なんです」そう言う前に、ぜひ知ってほしいことがあります。国語は、実はいくつもの小さな力の組み合わせ。

  • 文章を正しく読む
  • 設問の意味を理解する
  • 答えの根拠を探す
  • アウトプットする

このどれか、一つでもつまずくと、正解にたどり着けません。つまり、「苦手」なのではなく、どこか一か所でつまずいているだけというケースがほとんどです。

文章は読めているのに、設問を取り違えている、答えは見つけられたのに書き方(アウトプット)で失点しているなど、小さなズレが、点数の差になっているだけなのです。

子どもの「つまずきポイント」を把握してみましょう。

だからこそ、「できない子」と決めつけないこと。点数よりも 「どこで困っているのかな?」と一緒に探す視点が大切です。

「言葉に触れる時間」の重要性

ここで、多くの方が気になるのが読書の量ではないでしょうか。「やっぱりたくさん読ませたほうがいいですか?」とよく保護者の方からも質問を受けます。

もちろん読書は大事です。国語は経験値の教科で、どれだけ多くの文章に触れてきたか、 どれだけ多くの言葉を聞き、使ってきたかが重要です。その蓄積が、あとからじわじわ効いてきますね。

「絵本を読む」「読み聞かせをする」「童謡を歌う」「朗読を一緒に聞く」「日常会話をたくさんする」など、幼いころからのちょっとした働きかけも全て大切なインプットです。暮らしの中の言葉の時間が、すでに学びになっていると考えてみましょう。

「もう一回読んで」は、成長のサイン

同じ本を何度も持ってくる子、いますよね。保護者としては、正直、ちょっと大変かと思います。「またこれ?」と思ってしまうこともありますよね。

でも実はそれ、最高の学習時間なんです。

「またこれ?」と言いたくなりますが、グッとこらえて。

繰り返すたびに、 「あ、ここ前に読んだときには気づかなかった」「この言い方おもしろい」と、子どもは新しい発見をしているため、何度も読んでもらいたくなるんですね。その積み重ねが、語彙や理解力を育てています。

無理に「自分で読みなさい」と突き放すのではなく、一緒に笑って、一緒に楽しむ。そのほうが、ずっと自然に言葉は育っていきます。

さいごに。ほんの少し、気を楽に

子育てって、どうしても心配ごとが多いですよね。遅れていないかな、このやり方で合っているのかななど。でも、子どもは自分で伸びていく力をちゃんと持っていると信じてください。

「焦らなくていい」
「比べなくていい」
「完璧を求めなくていい」

今日、少し言葉を交わせた、一緒に本を読めた、それだけでも、もう十分に前進です。

ほんの少し、気を楽に。
言葉を楽しむ時間こそが、いちばんの近道なのだと思います。

私たちも、子どもたちが無理なく言葉と出合い、学ぶことを好きでいられる環境を何より大切にしたいと考えています。家庭の何気ない会話や読書の時間が、きっと一生ものの学びの土台になるはずです。

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お話をうかがったのは

南雲 ゆりか 南雲国語教室主宰

東京生まれ。横浜国立大学教育学部卒。横浜市立小学校教諭を経て大手進学塾へ。難関クラス指導と模試・教材の作成を担当した。都内で国語教室を主宰し、「正確に読む力、正確に伝える力」をモットーに指導にあたっている。朝日新聞EduA「国語のチカラ」連載中。著書に「小学生のための 文章を正しく読む力を育てる本」(すばる舎)、監修に「名探偵コナンと楽しく学ぶ小学国語ドリル 書く力」(小学館)、「ちいかわ漢字ドリル」(講談社)など。

南雲国語教室 HP

取材・文/RISU

〈タブレット教材「RISU算数」とは〉
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