【発達障害の子育てのお悩み】おもちゃで遊ばない小学校1年生の娘。色々買ってあげても興味を持つのは最初だけ・・

発達障害の子の中には、我慢が難しい、約束やルールが守れない等お子さんの行動に頭を悩ませている親御さんは多いと思います。療育を目的とした「放課後デイサービスLuce」の運営を経て、新たに、この5月に発達障害児を抱える母親のためのサロン「Luce」を開設した藤原美保さんに、具体的な支援について伺いました。

おもちゃで遊ばないASDの小1の娘。色々買ってあげても興味を持つのは最初だけ…

ASD(自閉スペクトラム症)と診断されている小1の娘。

公園に連れて行っても、不器用さもあり遊具で遊ぶこともありません。私の横から離れず、もちろん子ども同士では遊びません。保育園時代から登園しぶりがありました。学校も行きたがりません。家の中で過ごす事が多いので色々おもちゃを与えてみますが、興味を持つのは最初だけですぐ飽きてしまいます。どのように過ごしたらよいのでしょうか?

 

おもちゃは、対象年齢に合わせるのではなく、子どもの発達年齢に合わせる事が重要です

自閉スペクトラム症のお子さんには子ども同士で遊べないという子は非常に多いです。

それにはお子さんによって様々な理由があるのですが、「子どもの言動」に対して不安を感じるという事があります。

同年代の子ども同士の付き合いは無理をしない

子どもの動きは早く、予測ができません。いきなり触ってきたり、ぶつかってきたりすることは特に不器用で不安の強い自閉スペクトラムの子にとっては脅威になる場合があるのです。

自閉スペクトラムのお子さんは視覚情報や聴覚情報などの感覚情報の整理が苦手な事もあり予測不能な事が苦手です。つまり同年代のお子さんの中にいる事は本人にとって安心ではないという事です。ですから無理に入れる必要はないと思います。

そのおもちゃお子さんの発達段階に合ってますか?

発達障害のお子さんは発達認知年齢が典型的な発達のお子さんとは違うことが多いので、既存のおもちゃやキャラクターのおもちゃを与えても遊べない事が多いのです。

よくおもちゃに「対象年齢」とありますが、あれはメーカーの自主基準だそうです。要するに自分の目の前にいる子どもに合っているかどうかはわからないんですね。

キャラクターなどが好きだからと買ってみても、実は発達に合っておらず遊べない事があります。飽きてしまうというより、遊び方が解らないのです。どう遊んでいいのかわからないので遊べない遊びが広がらないのです。

対象年齢に合わせるのではなく子どもの発達年齢に合わせる事が重要です。

このお子さんはまだ「見る」事を楽しむ段階かもしれません。家の中ではやることが限られるため、ゲームやYouTubeを利用する事もあるでしょう。

その場合には、フィルタリングやペアレントコントロールを行うのはもちろんですが、ゲーム機やデバイス、スマホなどで見せるのではなく、キャストを用いるなどして、テレビ画面のような大きなもので見せるようにしましょう。

保護者も一目でどんなものを見ているかわかりますし、リズム体操や運動できるものなどお子さんと一緒に身体を動かせるようなものを取り入れるのもお勧めです。お母さまがやっている事を見る事が楽しい場合には、お母さまがやっている事を見せてお手伝いにつなげるために一緒に家事をするのも一つです。

見通しが増えることで、行動が広がることも。お子さんとスケジュールを作って、体を動かす機会を増やしましょう

家の中も大切ですが、もし、可能なら色々なところを「歩く」事を経験させてみてください。不器用なお子さんは身体を動かす機会がどうしても少なくなります。しかしこの時期のお子さんの身体にとっては様々な運動が必要です。

お子さんと一緒にスケジュールを作るところから初めることがお勧めです。たとえば、この日はどこどこに歩きに行くと決めたら、その予定表を一緒に作ってください。

何を着ていく、何を持っていく?

この日が雨だったらどうする?

電車で行く?何分かかる?など

予測のつく範囲でスケジュールを作りましょう。本人が書きたい場合は本人に書かせても大丈夫ですし難しいようであればお母さんが書いてあげてください。

見通しを立てる事で安心材料が増え行動が広がる事があります。

 

記事監修

藤原美保さん|(株)スプレンドーレ代表

健康運動指導士、介護福祉士、保育士。株式会社スプレンドーレ代表。

発達障害の女の子の性教育や身だしなみ教育に力を入れてきた、放課後等デイサービスLuceを2022年3月まで運営。
2022年5月に障害のあるお子さんと保護者が通う事が出来、施術中に療育相談を受けられる美容・脱毛サロンLuceをOPEN。
発達障害のお子さんの療育アドバイザーとして相談や療育コンサル、発達障害のお子さんへのオンラインでの性教育を行う。
著書に『発達障害の女の子のお母さんが、早めにしっておきたい47のルール』(エッセンシャル出版)、『発達障害の女の子の「自立」のために親としてできること』(PHP研究所)がある。

YouTubeで「子どもの対応おたすけチャンネルMamma mia」を配信中

 

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