八十八夜とは? 2024年はいつ?行事食や歌、お米との関係や俳句の季語の意味まで詳しく解説!

晩春から初夏のころによく耳にする「八十八夜」という言葉。この意味をご存じでしょうか。また、八十八夜はいつかわかりますか? この記事では、八十八夜の意味や2024年はいつなのかを解説していきます。また、八十八夜の行事食としてお茶やお米が定着した理由や、八十八夜が歌われている「茶摘み」、俳句の季語としての八十八夜の意味もご紹介します。

八十八夜とは

「八十八夜」という言葉を聞いたことがあるかもしれませんが、具体的にはどのようなことなのでしょうか。ここでは、八十八夜の読み方や意味、2024年はいつなのかを解説していきましょう。

八十八夜の読み方

八十八夜の読み方をご存じですか。「茶摘み」の歌でも歌われるとおり、八十八夜は、「はちじゅうはちや」と読みます。

八十八夜の意味

立春の日から八十八日目が八十八夜です。この八十八夜は、二十四節気以外の季節以外を示す「雑節(ざっせつ)」のひとつ。雑節には八十八夜のほかに、節分や土用、入梅などがあります。

八十八夜には、種まきや田植え、お茶を摘むなど、春の農作物の作業が行われる時期で、農業をする人にとって大切な日とされています。

2024年の八十八夜はいつ?

八十八夜は固定した日ではなく、毎年変動します。立春から数えて、88日目が八十八夜です。

2024年の八十八夜は5月1日(水)

2024年の立春は、2月4日。そこから88日数えた5月1日の水曜日が八十八夜です。ちなみに、平年なら5月2日あたりなのですが、2024年は閏年のため5月1日が八十八夜になります。

八十八夜の行事食といえば「お茶」

八十八夜といえば「茶摘み」の歌からもわかるとおり、お茶が関係が深いです。ここでは、八十八夜とお茶の関係を説明していきます。

八十八夜とお茶の関係とは?

八十八夜の新茶は栄養豊富でおいしい!

八十八夜のころにはお茶の新芽が出そろう時期です。ですから、そのころからお茶摘みが始まります。この時期に摘まれたお茶は「新茶」または「一番茶」といい、栄養が豊富でおいしいといわれています。

新茶には、カテキン、ビタミン、テアニンなどがたっぷりと含まれています。また、うまみがあり、香りもよいのが特徴です。この時期に摘んだお茶を飲むと、長生きするという言い伝えもあります。

茶摘みの様子が歌われた歌がある

「夏も近づく八十八夜」からはじまる歌「茶摘み」。歌詞に「八十八夜」と登場することから、この時期の茶摘みの様子が歌われています。

どんな曲なのか、次で詳しく見ていきましょう。

八十八夜の歌「茶摘み」

「茶摘み」は、日本の唱歌です。作詞、作曲した人はわかっていません。この曲が初めて登場したのは1912年(明治45年)、「尋常小学唱歌(※) 第三学年用」に掲載されたのが始まりといわれています。2007年には文化庁と日本PTA全国協議会が選ぶ「日本の歌百選」に選定されています。

(※)尋常小学校:明治維新から第二次世界前までに存在した初等教育機関の名称

「茶摘み」の歌詞

1 夏も近づく八十八夜
野にも山にも若葉が茂る
あれに見えるは茶摘みじゃないか
あかねだすきに菅(すげ)の笠

2 日和(ひより)つづきの今日このごろを
心のどかに摘みつつ歌ふ
摘めよ摘め摘め摘まねばならぬ
摘まにゃ日本の茶にならぬ

「茶摘み」の手遊び

「茶摘み」の歌に合わせて、手遊びができます。「せっせっせーのよいよいよい」からはじまり、交互に手を合わせる動作を繰り返します。この動作は、お茶を摘む手つきを真似したものなのだそうです。ぜひ、お子さんと一緒にチャレンジしてみてくださいね。

八十八夜とお米の関係

八十八夜は茶摘みだけでなく、お米をつくる上でも重要な時期です。八十八夜の「八十八」という文字。これを組み合わせると「米」の文字になります。そのことから八十八夜に種まきをすると、秋においしいお米が収穫できるといわれていました。

農作業の目安となる八十八夜

農作業に関連する八十八夜の言葉で、「八十八夜の別れ霜」「八十八夜の忘れ霜」というものがあります。これは、八十八夜のころに降りる霜のこと。霜は、農作物に被害を与えるため、注意しなければならないという言葉です。ただし、八十八夜以降は、霜が降りることはほとんどありません。そのため、八十八夜を目安に本格的な農作業がスタートするのです。

俳句の季語としての八十八夜の意味

八十八夜は、俳句の季語でもあります。その意味は、立春から八十八日目にあたる日のこと。また、種まきなどの農業の仕事に適した時期の到来を意味します。

いつの季節に使うの?

八十八夜は春の季語です。実際の八十八夜は5月上旬ですので、晩春から初夏にかけて使うとよいでしょう。

八十八夜が詠まれた有名な俳句

雨風の 八十八夜 すべもなし(石田波郷:いしだ はきょう

愛媛県出身の俳人、石田波郷氏の句。石田氏は、俳句誌「馬酔木」主宰・水原秋桜子に師事ののち「鶴」を創刊し、主宰となりました。叙情句から始まったのち、人間性に深く根ざした句を追求したため「人間探求派」とも称された石田氏の一句です。

音立てて 八十八夜の 山の水(桂 信子:かつら のぶこ)

大阪市出身の俳人、桂 信子氏の句。桂氏は、昭和初期の新興俳句運動を主導した日野草城に師事ののち、俳句誌「草苑」を創刊・主宰となりました。2004年に没後の2010年、財団法人柿衞文庫によって桂信子賞が創設されるなど、日本の俳句界に大きな影響を与えた桂氏の一句です。

鯉のぼり 泳ぎて八十八夜 越す(平畑静塔:ひらはた せいとう)

和歌山県出身の俳人であり、精神科医でもある平畑静塔氏の句。伝統行事や生活・風土をモチーフとした滋味あふれるユーモアな句風が特徴的とされる、平畑氏の一句です。

八十八夜には新茶を飲み、「茶摘み」の歌で楽しもう!

八十八夜についてご紹介しました。八十八夜は立春の日から八十八日目であることや、茶摘みや種まきなど、農業をしている人にとってはとても重要な時期ということがおわかりいただけましたか。

「夏も近づく八十八夜」と歌にあるように、八十八夜の数日後には立夏がやってきます。行事食である新茶を飲んだり、「茶摘み」の歌に合わせて手遊びをして、夏が来るのを待ちましょう。

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文・構成/HugKum編集部

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