「ボドゲの魅力は子どもと親が完全に対等になれること」遊びながら“コミュ力”や“集中力”も磨かれるボードゲームはこれ! 横浜のボードゲーム専門店「リゴレ」に教えていただきました

夏休みは家で過ごす時間が増え、ついスマホや動画に頼りがちに。そんなときにおすすめしたいのが、親子で一緒に楽しめるボードゲーム。遊びながら自然と考える力や集中力、コミュニケーション力が育ちます。今回は、横浜のボードゲーム専門店「リゴレ」店主の伸居智和さんが厳選した、親子で夢中になれるおすすめ7選を紹介。ボードゲームの選び方のポイントなども教えてもらいました。

ボードゲーム専門店に聞く、親子で楽しむゲームの魅力とは?

店内には300種類を超えるボードゲームがそろっています

遊べる、買える、ボードゲーム屋さん「リゴレ」

横浜中華街にあるボードゲーム専門店「リゴレ」では、300種類以上のボードゲームを販売し、オリジナルゲームの制作も手掛けています。店内には有料のプレイスペースがあり、ボードゲームで遊ぶこともできます。店主の伸居さんは、介護職を経てビール会社の営業マンとして中華街を担当していました。ボードゲーム好きが高じて友人の店でイベントを開催するうちに、2017年に自身の店舗をオープン。おもちゃコンサルタントの資格も持ち、購入の相談にも親身に応じてくれます。

「思考力は、“楽しく考える経験”から育つ」ボードゲームの魅力について

リゴレ店主の伸居さん。おすすめのゲームを丁寧に教えてくれます

伸居さん:親子で通うお客さんを見ていても、子どもは人の話をよく聞くようになります。ボードゲームには必ずルール説明があり、「こうやってコマを動かす」「順番を守る」など、話を聞く力や集中力が自然と身に付きます。一度聞いて理解できなければ、教える側が丁寧に説明を繰り返します。教える側も遊ぶ側も、一方的ではなく、一緒に楽しみながら進めるのが特徴です。

また、ズルをするとゲームの面白さが壊れてしまうため、自然とルールを守ることの大切さや、順番を待つ我慢強さも育ちます。ゲームは単なる対戦ではなく、参加者みんなで一緒に作り上げる時間であり、その中で協力や調和の心も育まれます。さらに、大人も子どもも同じプレイヤーとして対等に楽しむことで、自然な関わりが生まれるのも魅力です。

未就学児にはボードゲームを通して社会のルールを教えるチャンス

伸居さん:5歳くらいになると、「順番を待つ」といった社会的なルールが少しずつ分かってくると言われています。でも、それ以前の年齢だと、まだそういうルールは分からないことが多いんです。だからこそ、遊びの中で学ぶ機会があるといいですよね。例えば、親御さんが「次は私の番ね。あなたは待っててね」と順番を示すことで、子どもも少しずつ「順番を守る」ということを覚えていきます。

親御さんが工夫すれば、遊びの中でちゃんと学べるし、工夫しなければ、ただ遊んで終わってしまうこともあります。ゲームをするときは、初めに大人がちゃんと“司会進行”することが大切だと思います。僕も子どもと遊ぶときは、「順番です。待ってくださいね」「僕の番ですね」「次はあなたの番だよ」と声をかけています。こういうふうに、遊びながら少しずつルールや社会性を伝えていけたらいいですよね。

どう選ぶ? 親子で楽しむボードゲームの選び方

伸居さん:ボードゲームを選ぶ際は、まず対象年齢やプレイ人数を確認しましょう。そして何よりも大切なのは、お子さんが「やってみたい」「遊んでみたい」と思うゲームを選ぶことです。ただし、見た目だけで選んでしまうと、実際には難易度が高すぎて楽しめなかったり、「思っていたのと違う…」となってしまうこともあります。せっかくなら楽しく遊んでもらいたいので、内容やルールもしっかり確認して選ぶのがおすすめです。

家族で盛り上がる! 思考力や考える力が育つ、おすすめボードゲーム7選

伸居さんの司会進行のもと、取材に伺ったHugKum編集部の二人もおすすめのボードゲームを実際にプレイ! とても盛り上がりました。遊び方やおすすめポイントを紹介します。

1.ドブル・キッズ

まるい缶が目を引く人気ゲーム「ドブル・キッズ」

価格:1980円
人数:2人から/年齢:4歳から/プレイ時間:約5分

『ドブル』は、2009年にフランスで誕生したリアルタイム・パーティーゲームです。アメリカでは『Spot It!』の名で親しまれ、シリーズ累計で500万個以上を売り上げるなど、世界中で人気を集めているヒットゲームです。

缶の中に入った55枚のカードを使って遊びます。それぞれのカードには、50種類以上あるマークの中から8つが描かれていて、すべてのカード同士に「必ず1つだけ同じマーク」が存在します。その共通するマークをいち早く見つけて宣言するのが、このゲームの基本ルールです。これが意外と大人でも苦戦し、簡単には見つからないんです。

カードの中から同じ絵柄を素早く見つけます 

見つけたカードは、遊んでいるミニゲームのルールに従って手元に獲得したり、場に出したりします。
ゲームのルールを変えて5つの遊び方が楽しめるのも魅力のひとつ。どのミニゲームもすべて、プレイヤー全員が同時に動くリアルタイム形式で、素早さが勝負のカギを握ります。大人数でやっても楽しいですし、スピードに追い付けない子がいる場合は、少人数でじっくりやるのもおすすめです。

2.きらめく財宝

2018年に「Kinderspiel des Jahres(年間キッズゲーム賞)」を受賞

価格:3850円
人数:2~4人/年齢:5歳から/プレイ時間:約5分

『きらめく財宝』は、筒の中に詰められたカラフルな宝石をめぐって遊ぶ予想型のゲームです。筒状に積み上げられた透明なリングを、毎ターン1つずつ外していくと、中に詰まった宝石がザラザラとこぼれ落ちます。そのとき「どの色の宝石が一番多く落ちてくるか」をあらかじめ予想し、当たればその色の宝石をゲット! 運と予想力、そしてちょっとした観察力が試される、ワクワク感たっぷりのゲームです。

どの色の宝石が落ちやすいのか、よく見て予想します

パーツがとてもかわいらしくて、見ているだけでワクワクします。恐竜が氷を溶かして宝石を落とす、という世界観も楽しくて、自分の番が来たら恐竜を動かしながら「ガオ〜!」と声を出してリングを外す、そんなやり取りに自然と笑みがこぼれます。ゲームの終盤、宝石を数えるときには、「運動会の玉入れ方式で数えましょう!」と、店主・伸居さんが声をかけてくれました。数え終わったら、一番多かった人に「おめでとう!」のひとことを。こうしたちょっとした進行の工夫で、ゲームがさらに楽しく盛り上がります。

3.バンディド

思わず手に取りたくなる、おしゃれなパッケージのカードゲーム

価格:1980円
人数:1~4人/年齢:6歳から/プレイ時間:約15分

『バンディド』は、プレイヤー全員で力を合わせて、坑道のすべての出口をふさいで、バンディドが牢屋から出られないようにカードをうまく配置していくゲームです。

シンプルな遊びなのにハマる! 何度でも挑戦したくなるおもしろさ

テーブル中央には、牢屋に閉じ込められた“ならず者バンディド”がいます。プレイヤーは順番に、手札から通路カードを1枚選び、バンディドから伸びる通路に道と壁が正しくつながるように置いていきます。カードを置いたら、山札から1枚補充します。〈行き止まり〉カードや、途切れた通路をつなぐ〈ループ〉カードをうまく使いながら、すべての道を封鎖します。
このゲームの目的は、勝ち負けを競うことではなく、プレイヤー全員で協力してバンディドの脱走ルートをふさぐこと。そのため、ゲームに負けると悔しくてかんしゃくを起こしてしまう子でも、安心して楽しめます。プレイ中は「ナイスプレイ!」「ドンマイ!」といった声が飛び交い、まるで団体競技をしているような一体感が味わえるのも魅力のひとつです。

4.ワードスナイパー・キッズ

療育の現場でも注目されているカードゲーム

価格:1680円
人数:2~6人/年齢:4歳から/プレイ時間:約15分

『ワードスナイパー・キッズ』は、「文字」と「お題」に合う言葉をいち早く言えた人がカードをもらえる、反射系ワードゲームです。大人にも人気の『ワードスナイパー』のキッズバージョンとして、児童教育の専門家たちと一緒に「子どもが楽しく遊べること」「言葉に親しむこと」を大切にして開発されたリゴレオリジナル商品です。

思いつかなければパスしてもOK! 気軽に楽しめます

例えば、「あついもの」というお題で、「ら」から始まる言葉を考え、「ラーメン!」と一番に答えた人がカードをゲットできます。お題の中には、「自分の好きなもの」や「怖いと思うもの」など、子どもの価値観や主観に関わるテーマもたくさんあって、自由度が高く、大人がプレイしても十分楽しめます。

5.トータス MEDAL

足して10にするから「トー(十)タス(+)」

価格:2200円
人数:2~4人/年齢:6歳から/プレイ時間:約5分

『トータス』は、記憶力と計算力を使って楽しむゲームです。遊び方はとてもシンプルで、場に並んだメダルを「神経衰弱」のようにめくり、出てきた数字を足して10になれば、そのメダルを獲得できます。

紙のエキスパート・福永紙工が手がけた、丈夫なゲーム用メダル

デザインがおしゃれな厚みのある紙製のメダルは、小さなお子さんでも扱いやすく、裏返すときに鳴る“パチッ”という音が楽しい!得点は、集めたメダルを積み重ねることでひと目でわかる仕組み。ゲームを通じて、楽しみながら「数字」に親しむことができます。

6.ヨメルかな

ひらがなの学習にも役立つゲーム

価格:1430円
人数:2~8人/年齢:8歳から/プレイ時間:約10分

『ヨメルかな』は、ルールがシンプルで誰でもすぐに楽しめるゲームです。透明なカードに描かれたひらがなを2枚重ねて、ちょっと変わった“ナゾの文字”を作り、それを相手に読んでもらいます。正しく読めたら得点ゲット、読めなければスコアなし! 直感と発想力が試されるゲームです。

カードを重ねると、暗号のような文字が現れる

セットには、透明なひらがなカードが80枚と、「ナゾ文字」をセットしておくための専用ケースが入っています。遊び方はさまざまで、例えば3文字や4文字の言葉を組み合わせていきます。文字の向きをあえてバラバラにすることで、読み解く難しさが増して、さらに面白くなります。

7.ドミノゲーム・メキシカントレイン

倒さずに楽しむ新感覚ドミノゲーム

価格:3300円
人数:2~8人/年齢:8歳から/プレイ時間:約15分~

ドミノは、世界中で親しまれているゲームですが、実は「ドミノ倒し」だけが楽しみ方ではありません。トランプのようにルール次第でいろいろな遊びができる! 適度な重みと頑丈さのあるタイルを手の中でじゃらじゃら混ぜたり、配ったりする感触も心地よく、思わず夢中になります。

リゴレで販売されているドミノ立てを使うと便利

遊び方は3つありますが、おすすめは「チキンフット」。最初は「9のゾロ目」から始まり、順番に手持ちの牌をつなげていきます。ゾロ目を出すと「チキンフット!」と宣言し、その牌には3方向に牌をつなげないと他の場所へは進めません。出せる牌がなければ山札から1枚引き、出せるならすぐに出します。手札が1枚になったら「ドミノ」と宣言(忘れてもペナルティなし)。誰かが上がるか、全員が出せなくなったら終了し、手札が一番少ない人が勝ちです。

「一緒に楽しむ時間」が、親子の絆を育ててくれる

ゲームの楽しさを教えてくれる、リゴレ店主・伸居さん

伸居さん:一緒にボードゲームを楽しむ時間は、親子にとってとても大切な時間です。ただ遊ぶだけでなく、自然と会話が生まれて、コミュニケーションのきっかけにもなります。「今回は負けちゃったけど、次は勝ちたいな」そんなふうに遊びが続いていく中で、共通の話題もできて、「前のゲーム飽きたから次は何買おうか」と、一緒に物語を紡いでいけるんです。親子で一緒に楽しめる時間は、実はそんなに長く続くものではありません。だからこそ、そのひとときにこそ、大きな価値があると僕は思っています。

ゲーム選びに迷ったら、リゴレで体験してみよう!

おすすめの商品を教えてもらいながら、久しぶりにボードゲームを楽しみ、とても充実した時間を過ごしました。パッケージや説明文だけでは分かりにくいことも、実際に遊んでみるとその面白さがよく伝わります。「リゴレ」では、伸居さんに相談すれば、ゲームの内容を分かりやすく教えてくれたり、実際に試遊させてもらえることも。きっと、自分にぴったりのお気に入りが見つかるはずです。今回紹介した商品は、リゴレの公式サイトから購入することもできます。

「リゴレ」公式サイトは>こちら

お話を聞いたのは…

伸居智和さん

おもちゃコンサルタント、横浜中華街のボードゲーム専門店「リゴレ」店長。オリジナルゲームの制作も手掛ける。

取材・文/やまさきけいこ

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