withコロナの生活になり1年以上が経ちました。それに伴い、それまではあまり気にならなかった体調の変化や不調を来す人が多くなったと聞きます。
今回「お茶で人生100年時代を豊かに生きる知恵~茶カテキン研究最前線~」をテーマに開催された株式会社伊藤園による「伊藤園健康フォーラム」から、新型コロナ拡大抑制の可能性や生活の制限が影響する「新・生活習慣病」に対して発揮されるお茶のパワーについてお話をお聞きしました。
目次
マスク口臭が気になります。口臭予防のおすすめは?
口臭のほとんどは口腔環境が起因し、たくさんの歯垢が影響して歯周炎を引き起こします。そしてそこに住み着いた菌がガスを排出し、そのガスが口臭の原因となっているので、やはり歯磨きは大切です。でも今は出先で歯磨きもしづらいので、そんなときはお茶を口に含んでから飲む「含み飲み」が非常におすすめです。すぐに飲み込んでしまうよりも30秒くらい口の中に行き届かせ、その後ゴックンと飲み込む。ペットボトルのお茶でも効果は期待できます。(米永 一理氏)
新型コロナ拡大抑制にも期待できるお茶、どのように取り入れたらいいでしょうか?
これまで伊藤園との共同研究にて、緑茶・ほうじ茶・紅茶などに含まれる茶カテキンが、ヒトのだ液中に加えた新型コロナウイルスの感染力を抑制することがわかっています。新型コロナウイルス感染症では、感染者(無症状の感染者を含む)のだ液からの飛沫感染を防ぐことが大切です。そのため、人が多い環境に行く前や食事の前にお茶を飲み、だ液の中のウイルスが減ることにより、感染者が他の人にウイルスを拡散することを抑制するのではないかと考えています。利他的に他人にうつさないことを目的としてお茶を飲むという、マスクや手洗いに並ぶ『公衆衛生的な使い方』ができるのではないかと期待しています。これはあくまで試験管内の実験ではありますが、現在ヒトでの臨床研究もスタートさせ、さらに研究を進めていく予定です。(松田 修氏)
コロナ禍の生活において、それ以外でお茶に期待できる効果はありますか?
外に出て運動することや人とコミュニケーションを図ることはもともと脳への刺激になっていますが、それらを長期間制限されている今はストレスが増大し、認知機能の低下を招いてしまっています。
そんなとき、認知症予防にはお茶を1日2杯以上、できれば5杯以上飲むことがおすすめです。ストレスに関しても、緑茶を推奨しています。リラックス作用のある「テアニン」が含まれているためで、比較的ぬるめの温度で抽出されます。(今野 裕之氏)
外出自粛の中で体内リズムが乱れ、コロナ太りや血糖値・血圧の上昇を引き起こしているようです。それらはストレスを要因としている場合がほとんどで、体内リズムをしっかりと整えていく事が重要です。
体内リズムの崩れによるコロナ太りを防ぐ方法として、お茶をふりかけにして食べる「出汁緑茶」をおすすめしています。お茶は飲み物のイメージが大きいですが、食べ物としてもおすすめです。(工藤 孝文氏)
コロナ禍でも質の高い生活をするためにお茶を楽しみたい
普段「ホッ」としたいという思いで私たちが飲んでいたお茶に、感染拡大抑制の可能性や口臭予防など、コロナ禍の日常に期待できる効果があるのはうれしい限りです。
QOLを高めるお茶・茶カテキンとの上手な付き合い方 【4つのポイント】
① お茶を自分のために周りのために飲む衛生習慣
② お茶の含み飲みで、口から始める健康管理
③ お茶で心にゆとりとコミュニケーションを
④ お茶を飲みながら体内リズムを整えよう
周りの人や、そして何より自分を守るため、まずは心にゆとりを持ちながらお茶をたくさん飲める時間を作るようにしたいですね。
お話を伺ったのは・・・
京都府立医科大学を卒業後、自治医科大学付属病院レジデントを経て、京都大学医学研究科博士課程を修了、医学博士。JSPS特別研究員を経て、1994年に京都府立医科大学にて微生物学の助教、その後同・講師、同・准教授。2008~2012年JSTさきがけ研究者を兼務。2010年免疫・微生物学教授となり、2011年より現職。専門分野は、免疫学、再生医学。
鹿児島大学歯学部卒業後、東京大学で研修し、東京大学大学院に進学。その後東海大学医学部を卒業し、十和田市立中央病院で研修。東京大学口腔外科助教、十和田市立中央総合内科医員、JR東京総合病院総合診療科医長、JR東京総合病院地域医療連携相談センター長、十和田市立中央病院附属とわだ診療所院長などを経て、2020年4月より現職。現在日本口腔ケア学会口腔ケアアンバサダー委員会委員長でもあり、口腔ケアから『食べる』を支える活動も行っている。
ブレインケアクリニック名誉院長・一般社団法人日本ブレインケア・認知症予防研究所所長。精神科領域の栄養療法や米国発の認知症治療・リコード法などを実践。著書に「最新栄養医学でわかった! ボケない人の最強の食事術(青春出版社)」、その他監修やメディア出演など多数。
福岡県みやま市工藤内科院長。専門分野は糖尿病・肥満治療、東洋医学・漢方治療で、多数のテレビ番組に出演中。著書に「緑茶コーヒーダイエット」「やせる出汁」などがある。
文・構成/HugKum編集部