目次
これまでの道のりとこれからのこと
長男は小学一年生の秋から不登校を選び、かっこよく言うと絶賛ホームエデュケーション中!毎日いろんなことに挑戦しながら家庭を基盤に育っています。ここでは、そんなわが家のくらしの様子を書いていけたらと思っています。どうぞよろしくお願いします。
では、最初にわが家のこれまでの道のりを自己紹介として簡単に書き記してみようと思います。
発達凸凹の長男のこと~とにかく納得するまで「なんでなんで星人」
長男には発達障害があります。私は発達障害という言葉よりも、発達凸凹(でこぼこ)という呼び方が好きなので、私のコラムの中ではこちらをつかわせてください。
知的好奇心のかたまりのような男の子
さて、もろもろの発達が凸凹している長男はとても好奇心旺盛で、発想豊かな男の子です。小さなころから「なんでなんで星人」で、興味を持ったら質問の連続。ものごとの理屈や原理を知り、知識を蓄えることに喜びを感じる人でした。小さなころから図鑑が大好きで、今も変わらず本を読むことが大好き。特に宇宙が好きで、2歳頃から宇宙の図鑑や大人向けの宇宙の番組をひたすら見続けて現在に至ります。
また、一人静かに時間を過ごすことが好きで、自分の好きな世界のことを調べたり、ブロックでその世界を再現し、それを見てまた空想を膨らませながら遊ぶことを好む子でした。最近では年相応にテレビゲームに夢中で、ブロックはマインクラフトに変わりましたが、根っこの部分は変わらないなぁと感じています。
人との関わり合いはポジティブ だけど刺激が多いのは苦手
では、人と関わることを好まないかと言うとそうではなく、人の役に立つことが好きで頼まれたらものすごく頑張ります。家庭でもお手伝いもよくしてくれますし、時に弟の寝かしつけまで頑張ってくれる日もあります。
一方で、小さなころからとても疲れやすく長い時間活動を続けることが難しい一面を持っていました。
感覚過敏が強く、世界からのたくさんの刺激に不安を感じ、疲れてしまうためです。また、感情のコントロールが苦手で怒りっぽく、そこに疲れが重なると些細なことで声を荒げたり癇癪を起こしやすくなってしまいます。この辺りは長男へのかかわり方の難しさで、私も日々悩みながら試行錯誤しています。また、嫌なことに対しては大人に何と言われようが力を使われようが絶対に屈しません。気に入らない指示に対しては命懸けで反抗します。反抗ももここまでくると、あっぱれ!と言いたくなるほど。
なんでも丁寧に説明し続けることで理解を深める
反抗や、癇癪を起しやすい長男に対しては、とにかく本人に納得してもらうことが大切です。
例えば病院にかかるなら、この病態に対して体の中で何が起こっているのか、薬を飲むのなら薬にはどういう成分があってどういう効能があるのか。そのあたりをきっちり説明する必要がありました。理解すればおどろくほどあっさりとこちらの意見を受け入れてくれるので、何ごとも子どもだからとごまかすことなく、ひとつひとつ話し合いながら同意を取って前に進んでいく。私たちのくらしはそうやって進んできています。
10ヶ月ごろに感じた違和感~3歳の時に発達センターを受診するまで
今でこそ、それなりにかかわり方のコツが掴めている長男ですが、最初からそうだったわけではありません。
長男は小さいころから育てにくさを感じる子どもで、私が違和感を感じ始めたのは、歩きはじめた10か月ごろに遡ります。当時はとにかく多動でじっとできず、外出中は特に多動が強くなり、公園、子育て広場、スーパーなどでひたすら走り回るのです。
行動をしばられるのがとにかく嫌
何かが目に入って興味を持ったら一直線!じっと座って遊ぶことなんてなく、目に入ったものへ次々と猪突猛進です。
当然、私がついてきているかどうかなんてお構いなしで危険極まりない!私もあわてて全速力で追いかけてつかまえますが、行動を制限されることをものすごく嫌い、掴まれた自分の腕が抜けてしまうまで逃れようと引っ張り回します。(抜けてしまったことも多々あります・・・)
そのため、私はどこへいっても彼の後ろにぴったりついて、ひたすら追いかけて過ごしていましたが、徐々に疲れ果てて家へ引きこもるようになりました。他にも、偏食や入眠の難しさ、そして些細なことで始まる癇癪はとにかく激しく、怒り狂う長男を前に途方に暮れ、一緒に泣いてしまったことも一度や二度ではありませんでした。
一方で、発語や身体的発達などの目に見える成長は年相応に進んでいきます。それでもどうにも私は長男へのかかわり方がつかめず、検診などでも度々相談しましが、返ってくるのは「大丈夫」という言葉ばかり・・・。この時期はほんとうに追いつめられました。
自己判断で発達センターに
2歳、3歳と年齢が上がってもかかわり方への難しさは相変わらず。むしろ癇癪はひどくなる一方でした。
そんななか、保育園に入園し保育士さんに育児について相談する機会がもらえました。
今まで大丈夫の一言で片づけられていたことを、相談できたこと。また、そういったかかわりの難しさを保育士さんも同じように感じていた事。更に集団生活の中で周囲の子どもたちと長男の違いを知ることができたことで、悩むより動こう!と3歳過ぎに自己判断で発達センターへの受診を決めました。
診察や検査を経て3歳半のときに長男は発達障害の診断を受けることになりました。
保育園で感覚過敏の強さを指摘される
そんな長男の保育園生活はなかなか大変でした。集団生活がとにかく苦手なようで、まず園に行くことをとても嫌がりました。なだめすかして、ごほうびで釣りながら行かせても、今度は教室から飛び出してしまうのです。
何をしているかと言うと、静かな階段下のスペースや職員室などで一人静かに本を読んでいたようでした。
また、周囲のお友達に手が出てしまうことがあったり、全体活動や制作活動なども嫌っていたようです。運動会や発表会などの行事は特に参加が難しく、練習も本番もどう折り合いをつけるか毎日のように先生と話し合いながら生活の方向性を考え、悩んだものでした。
保育所等訪問支援を利用して
長男は保育園時代にはすでに診断がおりていたことから、発達障害への公的な支援制度を利用することができました。
そこで保育園へ発達障害に関する専門の方に出向いてもらい、集団での様子を見ていただく支援(保育所等訪問支援)を利用しました。すると、集団生活中の長男を見て下さった専門家の方から、自閉症スペクトラムの特性であるこだわりやマイルール、見通しが立たないことに対する強い不安、ADHDによる多動や衝動はもちろんみられるけれど、それ以上にこの子は感覚過敏が強くしんどい思いをしているのでは?という指摘を受けました。
感覚過敏と言うのは感覚の感じ方が、他の人たちと違うことがあり、それが「育てにくさ」につながったり、周囲に誤解される原因になったりするものです。
【参考】感覚過敏とは
音の刺激で疲れてしまう
感覚は全体的に過敏なのですが、その中でも聴覚過敏が強いため、音に対して我々が思う以上に恐怖を感じたり、集団生活で音に晒されることはとても疲れてしまうのだと思うと教えてもらいました。言われてみれば、教室が騒がしいとき、合唱をするときなどは特に教室から飛び出す傾向が強い事。大きな声を上げる子に対して手が出やすかったこと。
小さいころから外出時に人の多い場所、音の多い場所に行くと自己コントロールが難しくなった傾向があったこと。
これまで不可解に感じていた行動の多くに「音」というキーワードが当てはまっていたことに気づきました、その指摘を受けるまで、私は長男の感覚が過敏であるという視点を持ったことはなく、ずっと苦しい思いをさせてしまっていたのだと知り、とても申し訳なく思ったものです。
長男をよく理解してくれる先生に出会えた
それ以降、長男はとても疲れやすいという事をしっかり受け止め、集団生活は休むことも意識し、無理をさせないように。また、専門家のアドバイスに合わせて園でも静かに過ごせるスペースを作るなどの環境調整を行ったり、先生方の関わり方を変えていただくなどの対応をとりました。
人一倍手のかかる長男を、かわいい、おもしろい!と肯定的に受け止め、大切にして下さる先生たちに恵まれ、なんとか卒園まで通うことができました。過去にかかわってくださった先生方みんなと泣きながら喜びを分かち合った卒園式は、私にとっても大切な思い出になりました。
不登校改め、家庭をベースに子どもを育てるホームエデュケーション。これは当然、子どもの数だけ違う姿をしているのだと思います。その、たくさんある形の一つとして、わが家のくらしをこれから書いていけたらと思っていますので、楽しく読んでいただけたら嬉しいです。どうぞよろしくお願いします。
連載第二回はこちら
文・イラスト・構成/ウチノコ
構成/HugKum編集部
日常を配信中 Instagram
note連載中 https://note.com/uchino_co/