分解の様子が観察できる、ペットボトルコンポストを作ろう
ペットボトルで透明なコンポストを作ってみると、野菜などのカラフルな生ゴミが、土の中の菌類の力で少しずつ分解されていく様子を観察することができます。
野菜によって分解スピードが違ったり、菌類がどんどん増えていったりする様子は、毎日変化を眺めたくなる面白さ! 大人も子どももワクワクしながら楽しめます。
ふだん見えない分解の様子を、親子で観察してみませんか? 夏休みの自由研究にもおすすめです。今回は4週間かけてじっくり観察してみました。
用意するもの
・ペットボトル(1〜2リットルサイズのものを使用。炭酸が入っている、凹凸のないタイプのものがおすすめ。きれいに洗浄し、乾燥させたものを使います)
・コンポストに入れる生ごみ(植物性のもの。今回はキャベツ・にんじん・バナナを用意)
・土(腐葉土や、落ち葉が堆積している場所の下にたまっている土がおすすめ。市販の黒土でもOKですが、自然に近い環境で発酵した腐葉土には、糸状菌などの有機物を分解する菌類が含まれているため、少量混ぜるとより分解が進みやすくなります)
使うもの
・カッター
・千枚通し
・包丁
ペットボトルコンポストの作り方
1. 土や生ごみを入れやすくするため、最初にペットボトルの上部を10cmほどカットし、ずんどうにします。

2. ペットボトルの底に、千枚通しで穴を開けます。

3. 分解の様子を観察する、くず野菜を用意します。今回は、バナナの皮・にんじんの皮・キャベツの外葉を用意しました。

4. 分解が進みやすくするために、用意した生ごみを5mm四方くらいの大きさに細かくカットします。

5. コンポストの底に、3cmほど土を入れます。床面にトントンと軽く当てて、表面を平らに整えましょう。

6. 次に、1cmほどの層になるように、バナナの皮を入れました。こちらも表面を平らに整えます。

7. バナナの皮の上に、1cmほど土をかぶせます。

8. 次に、1cmほどの層になるように、にんじんの皮を入れました。

9.にんじんの皮の層の上にも、1cmほど土をかぶせます。

10. その上に、キャベツの外葉も、1cmほどの層になるように入れます。

11. 最後にコンポストの口から3cmほどあけて、土をかぶせます。この土の厚い層があることで、虫が湧きづらくなります。

12. 温度が高い方が早く分解が進むため、日がよく当たる場所に置きます。表面が乾燥してきたら、ペットボトルなどで水を加え、湿り気を与えます。このとき下から水が染み出すので、地面にじか置きしない場合は、トレイを敷くと良いでしょう。

分解の様子を観察してみよう
1. 生ごみが分解されていく様子を、4週間観察してみます。1日目、どの生ごみもカットしたばかりのきれいな状態です。

2. 3日目。キャベツやバナナの一部が茶色く変化し始めました。

3. 角度を変えて見てみると、キャベツを中心に、細い糸のようなものが発生しています!
これは「糸状菌(しじょうきん)」。糸状菌は、自然界で落ち葉などの有機物を分解し、土をつくる働きをしている菌です。その菌が土の上や下へ広がっていく様子を観察することができました。

4. 6日目。糸状菌が正面にも広がってきました。キャベツとバナナはだんだんと黒くなり、分解されています。

5. 10日目。バナナは全て黒く変色しました。

6. 12日目。キャベツも全て黒く変色しています。

7. 21日目。にんじんも全て黒くなりました。

8. 28日目です。中の生ごみは全て分解されているでしょうか?

分解された野菜の変化を見てみよう
1.トレイに土を出し、中の生ごみの様子を観察してみます。生ごみが腐敗せず、菌類の力で分解されていると、土のいい香りがふわっと広がります。

2. 土を広げてみると…おや? にんじんがたくさん見えます。

3. 割り箸で、分解されていない生ごみを集めてみました。左から、バナナの皮・にんじんの皮・キャベツの外葉です。バナナとキャベツは、黒っぽく変色し、薄くペラペラになり、量も減っています。
にんじんも一部分解され、量は減ったものの、土の内側にあったものは、分解されずきれいな状態で残っています。
にんじんのような固い野菜は、分解のスピードが遅い様子が観察できました。

4. ペットボトルコンポストで作られたフカフカの土は、野菜を育てるのにぴったり。糸状菌などの微生物の働きで生ごみが分解され、葉を育てる「窒素」、根や実を育てる「リン」「カリウム」などが自然なかたちで含まれた、栄養たっぷりの土になるからです。
分解されていない生ごみを取り除き、そのままペットボトルに土を戻して種をまき、野菜を育ててみるのもおすすめですよ。

夏休みの宿題にするなら…
ペットボトルコンポストの観察を夏休みの宿題として提出するなら、毎日の変化を写真に撮り、気づいたことを書いて提出するのがおすすめ。
今回紹介したバナナ・にんじん・キャベツの他にも、果物・根菜・葉野菜など、異なる種類の生ごみを入れることで、分解のスピードや様子の違いを比較して、観察することができます。
筆者のおすすめは「メロンの皮」。最後に固い網目だけが残り、面白いですよ!

【連載:あそび作家/工作アーティストに教わる 素敵クラフト】
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記事監修
慶應義塾大学総合政策学部卒業。リクルートライフスタイルにて企画職として勤務し、広告制作・講座運営に関わる。その経験を活かし、身近な素材から子どもも大人も夢中になれるあそびや工作を生み出し伝える活動を行っている。「つくる・えがく×内面探究」をテーマに、自分らしさを表現できる体験や、感性に触れる時間を大切にしている。保育・教育系の雑誌やWeb連載・親子向けワークショップなど幅広く活動中。2児の母。

