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お悩み「投資のゴールって、どう考えればいい?」
Q:張り切ってNISA口座を作ったもののどう運用していいかわかりません。投資のゴールって、どのように考えればよいですか?

投資のゴールを立てることは一番大事な「出発点」

NISA口座を開設されたとのこと、まずその行動力が大きな一歩ですね。口座開設の手続きは面倒で、そこで踏みとどまってしまう方も多いですから。しかも、口座を作ったあとはなんとなく始めてしまいがちなのに、「投資のゴールって?」という問いが立っているのが素晴らしいですね。
投資のゴールを考えることは、実は一番大事な「出発点」だと思っています。
「なんとなく預金」から「なんとなく投資」になると…?
新NISAがスタートしてから、ネットでもNISAの話題を目にする機会が増えました。株式市場も好調で、投資を始める人が増えています。「自分も何かしなくては」と感じている方も多いのではないでしょうか。
ただ、「とりあえず貯金しなさい」といわれて育ってきた世代は、お金を増やしたいと思ったときに、なんとなく預金しておくのが当たり前でした。それが最近の投資ブームで「なんとなく投資」に変わっただけ、という方も多いように感じます。
なんとなくが悪いというわけではないのですが、なんとなく投資をスタートしてしまうと、想定外の値下がりでなんとなく損をして、なんとなく嫌になってやめてしまう。20年以上この仕事を続けてきて、そんな方々をたくさん見てきました。その「なんとなく」から脱出するために最も重要なのが、投資のゴールを考えることだと思っています。
投資のゴールを考える3つのステップ
投資のゴールを考えるとは、何のためにお金を増やすのか、いつまでにいくら増やしたいのかを自分なりに整理することです。精緻に計算するのは難しいですが、ざっくりとでもイメージできていることがとても大事です。
STEP 1:目的を言葉にする
「なんとなくお金を増やしたい」「少し増えたらうれしいな」ではなく、具体的なイベントと時期をイメージすることが大切です。「子どもが大学に入学するときまでに、教育資金を300万円貯めておきたい」など、言葉にすると目標が明確になります。連載第8回でご紹介した「3世代ライフイベント表」も、目的を考えるよい手がかりになります。
STEP 2:期間と金額をざっくり決める
目的が決まれば、「いつまでに」(期間)と「どれくらい」(金額)も決まってきます。たとえば、2年後の小学校入学までに10万円、10年後の大学入学までに300万円、30年後の退職に備えて3000万円といったように、大まかな見当をつけることで次のステップに進めます。
STEP 3:ゴールに合わせて攻め方を考える
ゴール次第で攻め方、つまりリスクの取り方が変わってきます。1〜2年以内に使うお金なら元本割れのリスクは避けなくてはなりませんから、債券や定期預金で準備するのが現実的です。5〜10年あるなら、分散・積立投資によって元本割れのリスクを抑えやすくなります。さらに30年あるなら、株式の比率を高めて成長性を重視した攻め方も選択肢に入ってきます。
投資の計画は旅行の計画と似ています。海外なら飛行機ですが、近場なら自転車でもいいですよね。行き先が決まらなければ交通手段も決まらないように、投資のゴールが決まらなければ、どんな商品を持つかも決まりません。

計画を立てるのは面倒だし、先のことを考える余裕がないという方もいると思います。ただ、旅行なら行き当たりばったりも楽しいですが、投資は「なんとなく」のままだと相場が下がったときにすぐ耐えられなくなってしまいます。大まかにでもゴールをイメージしておくことは、続けるための支えにもなります。
見落としがちな「心のリスク許容度」
ゴールに加えて、もう一つ大切なのがリスク許容度です。リスク許容度を左右する要素には、年齢、収入、投資経験、時間の余裕などがありますが、意外と忘れられがちなのが心の余裕、言い換えると心のリスク許容度です。
1000万円で考えてみよう
自分のリスク許容度を測る簡単なセルフチェックをご紹介します。1000万円を運用していると想像してみてください。「いずれは上がると思っているが、運用の途中で市場が大きく下がってしまった」……いくらまでなら耐えられそうですか? ご飯がまずくならずにいられるのはどのくらいまででしょうか?
たとえば、950万円(5%の損)でつらいと思うならリスク許容度は低め、700万円(30%の損)まで耐えられそうというならリスク許容度は高めです。この感覚は本当に人それぞれです。あくまで簡便法ですが、「自分が耐えられる最大損失額の半分」が、選ぶべき資産のリスク(ブレ幅)の目安になります。5%の損までと思うなら2.5%程度のブレ幅の資産を選ぶ。となると、国内債券が選択肢になります。30%の損まで耐えられると思えるなら15%程度のブレ幅がある資産も持てると考えられるので、外国株式なども視野に入ってきます。
【参考】資産ごとのリスク(ブレ幅)の目安
では実際に、それぞれの資産にはどのくらいのブレ幅があるのでしょうか。みなさんの公的年金を運用しているGPIF(年金積立金管理運用独立行政法人)が公開しているデータをご紹介します。
- ・国内債券:2.60%
- ・外国債券:9.72%
- ・国内株式:19.19%
- ・外国株式:20.35%
※出典:GPIF「基本ポートフォリオの前提条件」P.10
上記は過去のデータに基づいた数値であり、将来を保障するものではありませんが、どれだけ価格が動く可能性があるのかを感覚的に理解する一助にはなります。
一般的に国内債券はブレ幅が小さく、外国株式は大きくなります。ただ、リスク許容度が低い方が絶対に株式を持てないというわけではありません。いろいろな資産を組み合わせれば、値動きの上下が打ち消し合う効果で全体のブレ幅を抑えることができるからです。投資信託はまさにそのための商品です(分散投資については連載第4回もご参照ください)。無理にリターンを追いかけるのではなく、自分のゴールと心の許容度に合った組み合わせを選ぶことが大切です。
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今すぐできるおすすめワンアクション「シミュレーションツールを触ってみよう」
毎月いくらの積立で将来どのくらいになるのか、簡単に計算できるシミュレーションツールがあります。アセットマネジメントOneの「資産運用かんたんシミュレーション」もその一つです。将来の運用資産額や毎月の積立額、積立期間などを計算できます。
たとえば、今35歳の方が65歳までの30年間で2000万円を目標にしたとします。運用利回り0%、まったく運用せず預金だけで貯めようとすると、毎月約5.5万円の積立が必要です。でも、年3%で運用できれば毎月約3.5万円の積立で届きます。年3~4%のリターンはしっかり分散投資をすれば十分に狙える水準です。ちなみに、GPIFの過去20年程度の年平均の運用利回りは4~5%程度です。
具体的な数字を見ると、ぼんやりしていたゴールがぐっとイメージしやすくなると思います。自分の目標と心の許容度に合った商品選びにぜひ役立ててみてください。
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プロフィール
2003年興銀第一ライフ・アセットマネジメント(現アセットマネジメントOne )入社。外為マーケット経験を生かし、専門的な話をわかりやすく伝えることを第一に投資信託の普及に努め、20年に渡り営業員向け研修や一般投資家向けセミナーなどで講演。
個人の資産形成、ファイナンシャル・ウェルビーイングや金融経済教育の分野における啓発・普及活動を目的として、2023年10月にアセットマネジメントOne内に未来をはぐくむ研究所を設置、初代所長に。
アセットマネジメントOne未来をはぐくむ研究所のHPは>>こちら
※本記事は情報提供を目的とするものであり、投資家に対する投資勧誘を目的とするものではありません。
構成/古屋江美子 撮影/五十嵐美弥
