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負けた理由を探る自由研究「白組の呪いの謎を解明せよ!」
ーー「運動会の敗北の原因」をテーマにしたきっかけはなんでしょうか?
杏南さん:去年の運動会で大玉ころがしをやっているときなんですが、大玉を持ち上げて浮かせながらみんなで運ぶ場面で、赤組は普通に大玉が進んでいるのに、白組は大玉が逆流したりしていてなかなか進まず「なんでなの?」って思いました。白組の自分はそれがすごく悲しくて…。
杏南さんのお母さん:終わった瞬間、杏南を見ると顔がすごく怒っていて(笑)。「絶対におかしい!」って私に訴えてきてたんですよ。確かにコースアウトするのは、明らかに白組の方が多かったんですよね。
杏南さん:大玉はとても軽いのに、なぜこんなに差がつくんだろうと考えました。毎年白組が負けてるから、メンバーの性格とかじゃないなって思いました。何か自然現象が関係あるんじゃないかと考え、それだったら風じゃないか? と思い、「風」に注目してデータをまとめてみることにしました。

ーー白組の敗北には、大玉ころがしの敗北が大きく影響していると考えたんですね。
杏南さん:はい。団体競技の勝敗が大きく影響していると思い、そこで仮説①として、大玉ころがしを取り上げました。気象庁のホームページで過去の気象データを調べて、小学校に近い「東京」の風向きや風速の観測データを参考にしました。そこからわかったことは、どの年も大玉ころがしの時間の風、宙に浮かせるタイミングで赤組は追い風、白組は向かい風だったということです。

ーーそれで風向きが白組敗北の要因の1つであると、仮説①が立証されました。
杏南さん:ただコロナ禍のため、この5年間で大玉ころがしをやったのが2024~2025年だけなんです。それなら個人競技で差がつくのはどれだろう、徒競走かな? と思い、仮説②として、徒競走を調べることにしました。
徒競走は事前に測った50メートル走のタイムをもとにグループ分けをして赤白に組み分けていますが、その組み分けによって勝敗が左右されているのではないか、という仮説②をたてました。
ーー特に大変だったのはどの部分でしょうか?
杏南さん:仮説②の徒競走のグループ分けパターンを調べるのが大変で…。はじめは2パーンですむと思って調べていたのですが、大学の理学部に通ういとこにみてもらったところ、もっとパターンがあるんじゃないかと指摘されてしまい「え~!」ってなりました(笑)。結果的には10パターン調べることになりました。

ーー逆にやっていて楽しかったところはどこでしょう?
杏南さん:最後に仮説が立証されて結論が出てみると、やっぱり赤組に有利になっていたんだなってことがわかったときに、爽快感と達成感がありました!

負けたときや間違ったときには常に「なぜ?」と疑問が湧く
ーー今回やってみて、勉強になったことはありますか?
杏南さん:パワーポイントの使い方が覚えられました。あとエクセルもですね。
杏南さんのお母さん:4年生の自由研究を手書きでまとめるのに苦労したので、教えました。本人もいじってみたい気持ちがあるからやっぱり覚えるのが早いんですよ。エクセルも教えたら「自動で計算できるんだ! 自分で足さなくていいじゃん!」て(笑)。

ーーお母さんがお子さんのサポートで大変だったところはありますか?
杏南さんのお母さん:時間の確保が難しかったです。小学5年生にもなるといろいろ忙しく、もっと深掘りさせてあげたくても、時間が足りないまま終わらせてしまうこともありました。
ーー今回の自由研究は、どのくらいの時間がかかりましたか?
杏南さんのお母さん:7月中旬くらいから始めて夏休みの終わりまで、1か月半くらいかかったと思います。いとこにチェックしてもらったりもしたので、思ったよりかかりましたね。
ーー自由研究のテーマ候補は他にもあったんですか?
杏南さん:今年はもうこれ(白組敗北の理由)って決めていました。とにかく検証の結果を知りたかったし、立証されたら先生に改善案を提案したいっていう気持ちがあったので。
杏南さんのお母さん:他にはお城巡りなども好きで、昔の人はお城をどうやって組み立てていたのか、仕掛けを調べてもおもしろいねとか。
また、折り紙が限界まで折れる数は何回だろうかとか、日頃からなぜ? と思うことが多いんです。「どうして?」って聞かれたときは、「じゃあ調べてください」と言っています。

ーーそういった疑問はどんなときにわくことが多いですか?
杏南さん:例えばテストで間違えたときに「えー、なんでこうなるの?」とか、勝負事で負けたときに悔しくて「なんで?」ってなって、理由を知りたいと思うことが多いです。
何でもまずはチャレンジ! 「やらない後悔はなしね」がルール
ーー普段はどんなお子さんですか?
杏南さんのお母さん:とにかく負けず嫌いです。あとは最後までちゃんとあきらめずにやる子ですね。
杏南さん:最後までやり遂げないと自分に不満があるっていうか、勝たないと終われないんです。
ーーどんなときに負けたくないと思いますか?
杏南さん:テストや塾の成績もそうです。この前は理科の実験でコイルモーターを誰が一番早く作れるか、となったときに「この子には絶対負けない!」っていう気持ちがあったんですが、負けてしまい泣きそうになりました(笑)。
ーーそのときは誰かライバルがいたんですね?
杏南さん:すごく仲の良い友だちなんですけど、仲が良いからこそ負けたくないなって思います。
ーーお子さんと決めているルールみたいなことは何かありますか?
杏南さんのお母さん:娘には見た目や気分でやる・やらないを決めるのは、なしねと言ってます。「自分でやってみて初めてジャッジしてください、チャレンジしない人は成功しないよ」と。だから食べ物の食わず嫌いもなしで、まずは食べてみてくださいと言っています。
ーーお母さんのこの言葉については、杏南さんもそう思っていますか?
杏南さん:そうですね。先日もテーマパークにある乗り物を友だちが「すごく怖かった、2度と乗らない」といっていたんです。「そうなんだ。でも自分で乗ってみなきゃわからない」と思って私は乗ってみたら、とても楽しかったんです。

将来の夢はジャーナリスト。憧れは池上彰さん!
ーー普段リラックスする方法は何かありますか?
杏南さん:温泉やお風呂が大好きで、30~45分くらい湯船に浸かってます。友だちでお風呂が嫌いって子を聞くと、え、なんで? あんなにあったかくて気持ちいいのにってなります(笑)。
ーー将来の夢はありますか?
杏南さん:やってみたいのはジャーナリストです。何かを世界中に伝えたいっていう気持ちがあって、最初はニュースアナウンサーになりたいと思っていたんですけど、池上彰さんに憧れて、ジャーナリストになりたいって思いました。

杏南さんの探究心に寄り添う親のサポート
「負けて悔しい」で終わるのではなく、常になぜそうなったのかと疑問に思い、理由を深掘りする杏南さんの探究心には驚かされました。そしてそれを一緒に楽しみ、できるかぎり調べさせてあげたいと考える親御さんのサポートがあっての作品になっていると思います。
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取材・文/苗代みほ 撮影/田中麻以