入学・入園写真、スマホでもプロっぽく撮れる! カメラマン田部信子さんが教える「写真が見違える」4つのポイント

以前、HugKumでカメラマン視点の子育てについて語ってくださった、著書『カメラマン視点で子育てしたら 双子が現役で京大に合格しました』で知られる田部信子さんに、入学式や入園式での「子どもの写真の撮り方」について教えていただきました。ランドセルや制服姿を写真に残そうとスマートフォンを構えても、「子どもがまぶしそうな顔になってしまう」「背景がごちゃごちゃしてしまう」「思ったような表情が撮れない」と感じることも少なくありません。スマートフォンでも子どもの自然な表情をきれいに残すための4つのコツとは。

写真を撮るときの4つのポイント

―入学式や入園式の写真をきれいに撮るために大切なのは、「場所」「ズーム」「撮るときの姿勢」「表情」の4つだと伺いました。順番に教えていただけますでしょうか。

①「まぶしくない場所」を探す

田部さん:入学式や入園式の写真では、光の向きがとても大切です。お子さんの正面から強い光が当たる位置に立つと、まぶしさで子どもが目を細めてしまい、表情が少しかたく見えてしまうことがあります。

そんなときは、お子さんの向きをほんの少し変えてみましょう。「ちょっとまぶしそうだな」と感じたら、光が正面から当たらない向きに立ってもらうのがポイントです。

下図のように、斜め後ろから光が当たる位置で撮ると、目が自然に開きやすく、やわらかい表情になります。さらに、顔にほどよい陰影が生まれ、立体感のある写真に仕上がります。

背景がきれいで、なおかつまぶしくない場所を見つけてあげる。それだけで、写真の表情はぐっと自然になります。

②ズームして離れる

―スマートフォンならではのコツはありますか。

田部さん:入学式の写真でよくあるのが、周りに知らない人が写り込んでしまったり、関係のない建物が目立ってしまったりすることです。背景に余計な情報が多いと、主役であるお子さんの印象が弱くなってしまいます。

そんなときに役立つのが、スマホのズーム機能。カメラアプリを立ち上げたら、まずは×2または×3にズームします。その状態でカメラを構え、人物の大きさがちょうどよく見える位置まで「自分が」少し後ろに下がりましょう。ズームすると写る範囲が狭くなり、背景の情報が自然に整理されます。結果として、主役がぐっと引き立つ写真になります。

ポイントは、カメラを構えてからズームするのではなく、先にズームしておくこと。後から調整しようとすると、ついそのまま撮ってしまいがちです。

合言葉は「ズームして離れる」。これだけで、写真がすっきりとした印象に変わります。

出典:ACフォト

③しゃがんで撮る

田部さん:撮る大人が立ったままシャッターを切ると、どうしても見下ろす構図になってしまいます。その結果、顔よりも額が目立ったり、足が短く見えたり、背景が地面ばかりになってしまうことも。せっかくの入学式で青空が広がっているのに、それが写らないのは少しもったいないですよね。

全身を撮るときは、思い切ってしゃがんでみましょう。お子さんの目線に近い高さで撮るだけで、顔の表情がしっかり写り、バランスのよい一枚になります。さらに、背景に空や校舎が入り、写真全体がぐっと明るい印象になりますよ。

「真ん中の線は画面の中央なので、中央部分の背景は地面なのが分かると思います。これではもったいないですよね」(田部さん)
「画面の中央に桜が映り込んでいます。子どもの目線の高さで撮っているので、かわいらしさもしっかり写ります」(田部さん)

④表情は「遊びながら」引き出す

田部さん:そして、最後が表情です。
入園式や入学式の日の子どもは大人が思う以上にドキドキしているので、「カメラに向かって笑って!」と言われてもなかなか難しい(笑)
お子さんがにっこりできなくても怒らないであげてくださいね。

私が子どもを撮影するときによくやるのは、子どもにしゃべってもらうことです。

「好きなキャラクターはなあに?」
「何年生になるのー?」

そんなふうに話しかけて、
「アンパンマン!」
「1ねんせい!」

と子どもが言ったときがシャッターチャンス。言葉を発したときは、表情がぱっと動くんです。

その場でくるっと回ってもらったり、ジャンプしてもらったり、少し体を動かすのもいいですね。動いているうちに自然な笑顔が出てくることも多いんです。こちらを見ながら少しおしゃべりしてもらうだけでも、表情が生き生きしてくると思います。

そして大事なのは、とにかく枚数を撮ること。一枚で決めようとせず、たくさん撮って後から選んでください。いらないデータは削除すればすみます。

ただ、この流れを当日いきなりやるのは意外と難しいんです。入学式や入園式の日は時間も限られていますし、親も焦ってしまいがち。できれば、事前に少し練習しておくのがおすすめです。当日も落ち着いて撮れますよ。

出典:ACフォト

この写真、こうしたらもっとよくなる!

―ここからは、田部さんに実際に写真の添削をお願いします!

せっかくの雲一つない青空が、あまり写っていないのが残念

田部さん:入学式のパネルの前での写真は定番ですね。ただ、「③しゃがんで撮る」でお伝えしたように、撮る方が上から見下ろすようなアングルになっているので、お子さんの足が短く見えてしまったり、画面の3分の2以上が地面になってしまったりしているのがもったいない印象です。お子さんの目線の高さまでしゃがんで、背景に校舎と空が入るようにすると、バランスよく撮れます

学校によっては、式典前に看板の前で撮ろうとすると、朝の太陽が真正面から当たり、まぶしそうな表情になってしまうことがあります。これは、お子さんの問題ではなく「光の向き」が原因。①で伝えたまぶしくない場所を探す方法のほかに、もうひとつ有効なのが「時間を変える」という考え方です。

太陽の位置は時間とともに動くため、式典後であれば、光が正面からはずれ、自然な表情で撮れることもあります。もし朝の光が正面から強く当たる場合は、無理に式の前に撮ろうとせず、帰りに撮るという選択もおすすめです。

そして、表情ですね。子どもは気持ちと違う表情を無理に作ることが難しい。できるだけリラックスできるように声をかけながら、その子らしい表情を残してあげてください。でも、緊張しているのであれば、それはそれでよいと思い出になりますよ。無理に笑わせる必要もないのでは? とも思います。

初めてのランドセルがうれしそう。何枚も撮るともっと自然な笑顔が出たかも!

田部さん:青空がとてもきれいで、入学の雰囲気が伝わってくる一枚ですね。光の入り方はいいです! ただ、表情が少し硬いかなという印象があります。「④表情は『遊びながら』引き出す」、で伝えたように、何か声をかけながら、何枚も撮ってあげるとよかったかも。その中に自然な表情の1枚が撮れていると思います。

満開の桜と青空の下で撮れた、入学の日の記念の一枚。でも正面からの光がまぶしいのかも……

田部さん:背景に満開の桜と青空が広がり、絶好の入学式日和ですね。ただ、周りの人が多く映り込んでしまっているのが勿体ないポイントです。こういう場面では、「②ズームして離れる」が効果的です。写る範囲をぐっと絞ることで、余分な人が写り込まずに、主役と桜をすっきり収めることができます。校庭のようにスペースがある場所では特に効果を発揮するので、ぜひ試してみてください。

入学式の記念として撮れた一枚ですが、
少し暗めで娘さんの表情が硬いかも……

田部さんに調整していただき、
明るさや雰囲気がよりやわらかくなりました!

田部さん:手前の地面や背景の国旗、他の保護者の方など、画面の中に多くの情報が入り込み、主役に視線が集まりにくくなっています。そこでおすすめなのが、「②ズームして離れる」です。写る範囲を少し絞るだけで、余計な要素が入りにくくなり、主役の存在感がぐっと際立ちます。

さらに「③しゃがんで撮る」を組み合わせると、見下ろす構図がやわらぎ、体のバランスも自然に整います。目線の高さに近づくだけで、写真の印象は大きく変わります。

少し暗く写ってしまった場合でも、スマートフォンの編集機能で明るさを調整することができます。明るさを少し上げるだけで、表情や雰囲気がぐっと引き立つことも多いので、ぜひ試してみてください。

「事前撮影」がおすすめ

出典:ACフォト

―田部さんは事前撮影会をされたとうかがいました。

田部さん:入学式は子どもも緊張するし、親も準備でバタバタしがちです。そこで、わが子たちが小学校に入学するときは、卒園・入学のタイミングで幼稚園の同級生と近所の公園で「ランドセル撮影会」をやりました。それぞれランドセルを持ってきてもらって、公園でさっと着替えて私が撮影。子どももリラックスしていますし、ランドセルをもらったばかりでワクワクです。幼稚園のお友達同士だったのもあって、自然に笑顔になったので、いい写真をたくさん残せました。

―撮影する時間帯でおすすめはありますか。

田部さん:できれば午前中の早い時間がおすすめです。朝早くに公園へ行けば、人も少ない状態で撮れますし、夕方になると、子どもも疲れてきて「もう面倒くさい…」という気分になってしまうこともあります(笑)。

場所も少し意識するといいと思います。例えば、低い位置に桜がある場所だと、子どもと桜を一緒に写しやすいです。

―当日の練習にもなりそうですね。

田部さん:そうですね。入園式、入学式当日はみんな忙しいですから。その前に、桜と子どもの笑顔とランドセルが入った「お気に入りの一枚」を撮っておけると、入学式当日に焦らずにすむと思います。

―田部さんは、入園式に向かう様子も撮影されたそうですね。

「ちょっとドキドキしているんだろうな」という素の表情の一枚(撮影:田部信子さん)

田部さん:幼稚園へ行く道すがらの写真も撮りました。「ちょっとドキドキしているんだろうな」という表情だったり、歩いている途中の姿だったり。そういう何気ない瞬間の方が、意外と素の表情が出ていたりするんですよね。

こんなふとした風景も残しておくと、当日の気持ちを思い出すことができます(撮影:田部信子さん)

その時期ならではの関係性が見える写真も、あとから見返すとおもしろいです。ママとの身長差がわかる写真もいいですね。子どもはどんどん成長しますから、そうした瞬間も大切な記録になります。

当日になってあわてないように、「あの辺で写真を撮ろうかな」と、あらかじめ少し考えておくのがおすすめです。スマホを準備しておいて、「今撮ろう」と思えるようにしておく。ほんの少し頭の中でイメージしておくだけでも、写真の残し方はぐっと広がりますよ。

写真は親の宝物に

―最後に、保護者の方へメッセージをお願いします。

田部さん:写真って子どものためでもあるけれど、親のためでもあるんですよね。
子どもって、だんだん大きくなると、ちょっと憎たらしいことを言うようにもなりますよね(笑)。そんなときに写真を見返すと、「今は大変だけど、大丈夫。こんなにかわいい時期があったんだから」って思える。そんな気持ちを思い出させてくれるものだと思います。入園式や入学式の一日が、いつかきっと、家族の宝物になりますよ。

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お話を聞いたのは

田部 信子(たべのぶこ) カメラマン・撮り方コーチ

子どもの主体性を大切にする幼稚園での子育て経験を土台に、カメラマンとしての視点を生かし
た子育てを実践。その実践の記録として、ごくふつうの双子の男の子が、現役で京都大学に合格
するまでの日々をまとめた書籍『カメラマン視点で子育てしたら双子が現役で京大に合格しまし
』(Booko出版)を出版。現在は、写真や子育てをテーマに、執筆・講演・撮影を中心に活動
している。note「京大兄弟の子育てマガジン

取材・文/黒澤真紀

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