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子どもが遊ぶように学ぶ! 「自学ノート」のすごさ
――自主学習、そしてその内容を見開きにまとめた「自学ノート」を、小学校の授業内で取り組んでいるお子さんも多いかと思います。「自学ノート」の魅力はどのようなところにあるのでしょう?
森川先生:教育の世界では今、「自己調整学習」という分野に注目が集まっています。これは、決められたことだけを学ぶのではなく、子どもたち自身が試行錯誤しながら効果的な方法を模索し、ゴールを目指して学んでいくこと。「自学ノート」には、この学びの状態が詰まっています。
「自分の好きなことを調べたり、体験したりして、それをノートの見開きにまとめよう」という一連の行為に、さまざまな学びが生まれるのです。例えば、調査にあたっての行動力や検索力がつく、見開き2枚にまとめる力がつく、机に向かう習慣がつく…など。
そしてなんといっても“勉強する=遊び”と気づくことです。「自学ノート」は自分の“好き”をとことん追求しながら作成するものなので、子どもにとっては遊び同然なんです。

――まさに今、やるべき学習なのですね。とはいえ、いざ書こうとすると、何を書けばいいの? と戸惑う子もいるかと思いますが…
森川先生:難しく考える必要はなくて、まず子どもたちの“好き”がなにかを聞くことです。例えば「好きなものやハマっていることある? 阪急電車? ええやん!」のように。勉強に直結しなそうなものでもいいんです。食べ物、スポーツ、恐竜や昆虫、乗り物、仕事…子どもの“好き”を見つけてください。
「じゃあその好きなことをノートに書いてみよう」というと、「え、それでいいの!?」と子どもはびっくりします。そしてノリノリで楽しく机に向かうようになる。まさに、“遊び”の感覚なんです。

――子どもの“好き”を引き出すことが第一歩ですね。
森川先生:そうです。そのためには、日頃からご家庭でも、お子さんの“好き”がなにかを気に掛けてあげてください。子どもは興味をもった分野について、話したくてしょうがないんです。もう100回聞いた話だとしても(笑)、何回でも聞いてあげて、気持ちよくしゃべらせてあげてください。
そして、ぜひもっていただきたいのが、「日常はネタにあふれている」という感覚です。例えば動物園に行ったときに「あのヒマそうなライオン、自学ノートに描いたら面白そうだよね」など、声かけをしてみる。保護者が「それ、《自学》のネタになるやん!」と仕掛け人になれたらいいと思います。
はじめての「自学ノート」づくりは、イラストや写真を「真ん中にドーン」がおすすめ
――書籍『小学生の究極の自学ノート図鑑2』ではバランス・イラスト・情報…などタイプ別に「自学ノート」を掲載していますが、はじめて「自学ノート」に取り組む場合はどのタイプを参考にしたらいいでしょう?
森川先生:おすすめは“イラスト”タイプです。それも、「真ん中にドーン」と絵を描く。これだけで、迫力満点! 字を書くことに抵抗感のある子も、「自分の好きなものを大きく絵に描いてごらん」というと楽しそうにやります。

『小学生の究極の自学ノート図鑑2』より。
僕は今1年生の担任をやっているのですが、児童のなかに「森川先生」をテーマにした子がいるんです。僕の顔がドーン! と真ん中に描いてある(笑)。「すごくいいやん!」と褒めたところ、次にその子は好きな野球選手の顔をドーンと描いた「自学ノート」をつくり始めました。あ、これはシリーズ化できるな、と。
――「顔ドーン」シリーズ、素敵ですね! 最初は『小学生の究極の自学ノート図鑑2』を見ながら、真似しつつ作成してもいいものですか?
森川先生:もちろんです。最初は真似で構いません。
大事なことは、子どもが「できた!」という達成感・満足感を得られることなんです。例えば、イラストを描くことが大変だったら写真でもいいんです。好きなもの、旅行など体験先で心に残ったものの写真などを切り抜いて、真ん中にドーンと貼る。
――それなら気軽に取り組めそうです。
森川先生:「自学ノート」づくりで大切なことは、スモールステップで達成感を与えていくことです。真ん中に絵を描く、タイトルを大きく書く…など一歩ずつ。そのつど「いいね」「よく書けたね」と褒めていくことで、子どもは満足感を保ちながら進めていけます。
ちなみに“バランス”タイプもオーソドックスな構成なので、はじめての子におすすめです。慣れてきたら、文字で調べたことをギュギュッと詰め込む“情報”タイプに挑戦してみたり、“デザイン”タイプのように一工夫してみたりしてもいいでしょう。時間をかけて取り組める人は、“体験”タイプもいいですね。

1作目は必ず「完成」を。良いところを見つけて褒めてあげよう
――“好き”なことといっても、見開きにまとめるとなると、親のサポートが必要になる気がします。どこまで手を出していいのでしょう?
森川先生:お子さんにもよりますが、行き詰まっているようでしたら、ぜひ積極的にサポートしてあげてください。一緒に図書館に行ってみる、読み聞かせしてあげる、見出しの位置を考える、など。はじめて「自学ノート」に取り組む際はなおさらです。ぜひ書籍『自学ノート図鑑2』を親子で参考にしてください。
子どもがノリノリで作成している際は、口出ししたくなってもグッと我慢。見守りに徹する方が、やる気も継続します。

大事なことは、1作目を必ず「完成させる」ことです。大人の目から見て、仕上がりが甘くてもいいんです。「できた!」という達成感は、何物にも代えがたいモチベーションになります。
そして「できたことを褒める」ことを忘れずに。「絵を大きく描けたね」「タイトルを丁寧に書けたね」「よく調べられたね」など、良いところを見つけて褒めてあげてください。
――途中で飽きてしまう子もいそうですが、完成させることが大事なんですね。
森川先生:そうです。飽きるときもあると思いますが、「これもネタに使えるんじゃない?」「ここまで描けたのすごいやん!」などうまく声かけしてもらえるといいですね。
また、意外とおすすめなのが「大人も自学ノートをつくってみる」ことです。子どもにとっては驚きと、うれしさと、自分も頑張るぞ! という気持ちがあふれるエネルギーになります。
AIとの向き合い方。上手に使えば、完成度が上がる!
――これからの時代、AIを学習で使う機会も増えてきそうです。このあたりはどうでしょうか?
森川先生:どんどん使ってもらってOKだと思います。使い方がポイントですね。例えば、ルビが振られていない資料を読み込んで「低学年の子にわかりやすく言い換えて」と指示したり、「〇〇のことが調べられる、子ども向けの本を教えて」と聞いてみたり。作成を丸投げするのではなく、補助的に使うのがおすすめです。
「自学ノート」の内容を撮影し、AIに取り込んで、タイトル案を出してもらう…などもできそうです。作成に行き詰まっているときなど、使ってみるといいかもしれません。
――サポート役として頼りになりそうですね! 注意点はありますか?
森川先生:AIの回答の出典元は、注意して調べてみてください。出典元を記載すると完成度も上がりますよ。AIとのやり取りも、最初は大人がサポートしてあげてください。

――今後は手書きではなく、パワーポイントやCanvaなどデジタルでの作成も増えていくでしょうか。
森川先生:増えると思いますし、こちらもまったく問題ないです。文字を書くことが苦手な子もいます。そういう子にとっては、デジタルで作成する方がグッと取り組みやすい。音声入力などもできますしね。
「“好き”を追求して詰め込む」「自分の想いや感想をしっかり入れる」など、これらができていれば手書きでもデジタルでも大丈夫です。やりやすい形で挑戦してみてください。
この夏は「自学ノート」に取り組もう!
子どもの“好き”を追求することで、勉強ではなく遊び感覚で進められることが「自学ノート」の魅力。夏の自主学習や自由研究のまとめにぴったり。ぜひ、家族で取り組んでみてください。
また、森川先生が審査員を務める「自由研究コンクール」には、《自由研究部門》《図鑑部門》のほかに、《自学ノート部門》があります。こちらにもぜひご応募ください!
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「自学」の達人である著者が多くの「自学ノート」を厳選し、構成タイプ別に紹介。イラストをメインにするのか、情報量で勝負するのか、バランス型でいくのか…オールカラーの図鑑形式で掲載しており、視覚的にパッと「自学ノート」のタイプを参考にできます。
また、保護者・教師向けの解説別冊では、作成の手順、評価方法のアイデア、Q&Aなどを掲載。学校でも家庭でも、子どもも大人も読んでほしい、「自学」のための図鑑です。
お話を聞いたのは
関西学院初等部教諭。兵庫教育大学大学院言語系教育分野(国語)修了。学校教育学修士。教師塾「あまから」主宰。国語科の「書くこと指導」「言葉の指導」を通して、「書きたくてたまらない子」を育てる実践に力を注ぐ。県内外で「国語科」「学級経営」などの教員研修、校内研修の講師として活躍する一方で、一般の団体や企業研修にも関わる。
授業で勝負する教師のためのセミナー「教師の詳細辞典セミナー」講師、東京書籍小学校国語教科書編集委員、全国大学国語教育学会会員、一般社団法人日本授業UD 学会UD カレッジ講師、日本シェアリングネイチャー協会ネイチャーゲームリーダー、日本キャンプ協会キャンプディレクター、日本自然保護協会自然観察指導員、CEE プロジェクトワイルドエテュケーター。
社会教育活動の分野で「ネイチャーゲーム講座」「昆虫採集講座」などの講師も務める。
小学館「自由研究コンクール」では自学ノート部門の審査員長を務める。
前作『小学生の究極の自学ノート図鑑』(小学館)ほか、著書多数。
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取材・文/HugKum編集部
