【子供の発達障害】中学生になるときの進路は?反抗期、不登校への対処法を解説

 

発達障害のあるお子さんが園や学校で集団生活を送るなかで、もっとも辛いと言われるのが10〜15歳くらいのころだと言われます。周囲の子どもたちが成長することと本人もその差を感じるようになる時期で、学習面のつまずきや空気が読めない、友達関係を構築できないなどさまざまな理由があるのですが、その頃に保護者ができることはあるのでしょうか? 愛知県名古屋市の放課後等デイサービス「ルーチェ」で、発達障害のお子さんを支援する藤原美保さんにお話を伺いました。

 

発達障害の中学生の進路は?「通級」それとも「特別支援学級」?

増え続ける「特別支援学校」や「特別支援学級」のニーズ

発達障害の情報が広まり、幼児期から療育機関で支援を受ける子が増えてきました。いっぽうで受け皿となる「特別支援学校」は、国が、障害者と健常者を共に学ばせるインクルージョン教育を取り入れようと定員枠を増やさず、地域の学校に入れることをすすめています。そのため「特別支援学級」の定員が増え、低学年のうちは「通常級」に在籍するようすすめられることが多いのです。低学年のうちの学習は比較的簡単なので、学校の授業で理解できない場合は家庭でフォローしてほしいということでしょう。

しかし、中学年になると授業で求められることも少しずつ難しくなり、中には「通常級」では難しくなる子もいます。そして、高学年にはいると周囲との差が歴然としてくるため、親も中学は「特別支援学級」に行くことを考え、高学年の時点で「特別支援学級」に移るお子さんもいます。年度が替わるタイミングで移動も可能なので、お子さんの様子を見ながら学校と相談しながら決められるといいでしょう。

 

発達障害の子を受け入れてくれる私立中学受験を目指すなら、高学年で「普通級」へ

内申点のために「普通級」への移動が必要!?

地域の公立中学校に「特別支援学級」がなかったり、あってもわが子が入るには条件が厳しそうだったり、環境が合わないようだと思うときには発達障害の子を受け入れてくれる私立中学校を受験するという手もあります。

「特別支援学級」の子を受け入れてくれる私立中学校ならいいのですが、「特別支援学級」では通常の成績の評価がつかないため、知的に遅れのない場合は年生で「通常級」に戻るお子さんもいます。

公立中学がよいのか私立中学がよいかは、通学可能な範囲にどんな学校があるのかによります。気を付けていただきたいのは「発達障害児は受け入れない」と公言する私立学校もあるので、足を運び、話を聞いたりして、しっかり学校選びをしていただきたいと思います。

私立中のメリットは比較的似たような環境のお子さんが集まるということです。地元の公立中学校の環境が心配であればお子さんのタイプに合うような私立を選ぶのも一つの方法だと思います。

 

発達障害の子供にとって、中学校は選択肢が少ないのが難点。多感な時期だからこそ配慮を!

二次障害にならないよう、負荷をかけすぎないで

学校選びの中で一番つらいのは中学校だといえるでしょう。一番選択肢が少ないため子どもの居場所の確保が非常に難しくなります。その結果、二次障害から不登校になるケースもあります。

そして、親もわが子の進学の現実が見えてくるので、親子ともども辛い時期といえます。親子ともこの時期をうまく乗り越えられると、高校の選択肢は現在は多くあります。専修学校や通信制などスクーリングが充実している学校や、登校しなくていいネットでの学校などもあるので、子どもの特性に合わせた学校選びができるようになります。

発達障害の中学生特有の「いじめ」「不登校」のリスクって?

思春期ならではの悩み、からかい、いじめ、不登校、ひきこもりも

保護者の方たちのお話を聞くと、小学校高学年から中学校の11歳~15歳くらいで保護者もわが子の将来の見通しが立ってくるようです。学習面でもついていくことが難しくなり、人格形成ができてきて、自分の意見を持つようになるので、親の言うことを聞かなくなってきます。

自分をある程度客観視できるようになってくるので、周囲の子とうまくやっていけないこともストレスになり、自己評価が下がりやすいのもこの時期に多くみられます。

周囲に交われない子や、ひとりでいられいない子は、いじめやからかいなどのターゲットになる場合も少なくなく、心理的に追い込まれ精神的に不安定になったり、不登校になるなどの問題が出てくることもあります。親も学校に行ってもらいたい気持ちがあるでしょうが、心理的にあまり負荷をかけすぎないことが大切です。

不登校や他害、自傷行為などにつながる前に

今でこそ、発達障害の人の「感覚統合不全」などが話題となり、生理的に受け入れられない感覚刺激があることの理解が広がって来てはいますが、本人にしかわからない困り感や辛いことを抱えているケースが多くあります。見た目ではわからないので周囲からは理解されないことも多く、誤解を受けることもあります。

また「空気を読めない」のは「人の表情が読みとれない」ことや自分の行動の先にあることが「見通せない」、こだわりの強さから「切り替えが悪い」などの特性のからくることも多く、本人には悪気がないこともあるのです。

単に「がんばれ」「我慢しろ」「他に合わせろ」と無理強いすることが続くと、二次障害につながることがあります。二次障害とは本来の発達障害の特性ではなく、周囲の理解がないために生まれる二次的な障害のことです。自尊心の低下から起こる場合があります。深刻になってくると、他人に危害を加える「他害」や自分を傷つける「自傷」、ものを壊す「物損」などは、回復するのに専門家の手が必要になり、簡単に抜け出すことはできません。特に命にかかわる自傷行為になると根深く、そこから回復するのはとても難しくなります。

 

無理をして学校に通い続けることで、問題が悪化することもある

学校に行かないのも選択肢のひとつ

学校に通うことが、子供にとって大きなストレスになっているようなら、地域の学校には通わないという選択肢もあります。地域の学校でなく、その子の特性に合わせた、または、才能をつぶさず生かしてくれる学校を探すのもいいでしょう。そのためには家族で引っ越しをすること、祖父母の家を頼るということなども選択肢のひとつです。

また、インターネットを利用したホームスクールで学習するという方法もあるでしょう。外の世界とのつながりは学校以外でフォローし、子どものストレスを軽減できる環境を整えることも大切なケアのつです。

 

これから先の長い人生を健やかに過ごすために

ご自分が普通に学校に行って、卒業して、就職もしてという保護者の方たちにとって、「学校に行かない」という選択肢を選ぶことは、とても勇気がいることかもしれません。しかし、これからの長い人生を、健やかに生きていくためには、無理をして学校に通って、心が折れてしまうようなことを無理強いするより、別の方法で学習する、外のつながりを他で見つける方がいいでしょう。もちろんそれには労力もお金も必要になるでしょう。しかし、子ども時代に安全安心な場所と信頼できる人と過ごすことは、わが子の将来に影響します。気をつけていただきたいのは、自分の思い通りになる世界ではなく、安心できる世界を広げてあげることです。

 

お話をお伺いしたのは

藤原美保さん

健康運動指導士、介護福祉士。株式会社スプレンドーレ代表。

発達障害のお子さんの運動指導の担当をきっかけに、彼らの身体使いの不器用さを目の当たりにし、何か手助けができないかと、感覚統合やコーディネーショントレーニングを学ぶ。その後、親の会から姿勢矯正指導を依頼され、定期的にクラスを開催。周囲の助けを受け、放課後等デイサービス施設「ルーチェ」を愛知県名古屋市に立ち上げ現在に至る。著書に「発達障害の女の子のお母さんが、早めにしっておきたい47のルール」(健康ジャーナル社)がある。

取材、文・江頭恵子

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