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感情的でなく、理論的な中学受験攻略法
ゆずぱさんは1977年生まれ。東北で育ち、中学受験の経験なく理科大に入学し、今はIT企業に勤務しています。あるとき、当時小4の息子さんが自ら「中学受験をしたい」と言い出し、模試を受けたら、なんと偏差値25! コレは大変だと思い、中学受験について情報を集めてみると、独特の世界にビックリ! そこで、親として息子さんの受験に伴走しようと決めたのだそうです。
IT企業にお勤めだからか、非常に緻密かつ理論的に中学受験を分析。お話を聞いて真似すれば、どのお子さんも中学受験がうまくいくような気がしてきます。では、さっそくゆずぱさんのお話を聞いてみましょう!
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親が心得るべき、「え、そうなの?」の中学受験の常識
息子の中学受験に伴走しようと決めたものの、とにかくイライラしてしまいます。
私が感じたイライラはこれらです。
☑偏差値40から抜け出せない…あまりに低すぎる
☑この時期にこの成績で危機感がなさすぎる
☑いつもダラダラ…少しは集中して勉強してくれ
☑これ昨日やったばかりなのにもう忘れてる
☑遊ぶ前に宿題を終わらせちゃおうよ
――どれもあるあるですね!
こうしたことにイラつくのは、親の期待と子の行動のギャップがあるからなんですね。以下に5つのギャップのを挙げてみましょう。
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中学受験の母集団は超ハイレベル
中学受験をするのは、小学卒業生のわずか8%です。都会ではもっと多いとはいえ、強い意志を持ち、対策をしっかり打つ集団です。肌感では、中学受験模試の偏差値40は一般の偏差値60近くに相当するように思えます。
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小学校トップでも太刀打ちできない
中学受験のレベルはとても高く、たとえば算数ではニュートン算や売買損益など、大人でも「え、それどうやって解くの?」とうろたえる内容がたくさん。社会科には時事問題も出てきて、「子どもにこんなことまで聞くの?」とびっくりしてしまいます。
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そもそも人間の脳は1日後には忘れてしまうつくり。
昨日やったことを忘れてしまうのはあたりまえです。また、内容が難しく、知らない単語が出てくるので腹落ちしにくいのも要因です。
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子どもの集中力が持続するのは長くても30分程度
長く勉強しても成果があがりません。途中で休憩を入れるとなると、60分勉強するのに90分みたほうがいいでしょう。
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子どもと親の受験に対する価値観が違うのは普通
親はノートをきれいに書いたり、計算式をしっかり書いたり、その前提として勉強しやすい部屋に片付けることを望みますが、子どもはとにかく「勉強を早く終わらせる」ことしか考えていません。でも、それでは定着しないのも事実。子どもの「とにかく早く終わらせるのがいい」という価値観を、親がうまくひっくり返す必要があります。
――親と子どものギャップがわかったら、理想を高くしすぎず、子どもの勉強の集中力や持続力に合わせて伴走するのがよいのでしょう。親はどうしても「まだ勉強してないじゃない!「まだ終わってないの?」などと強く言ってしまいがちですが、子どもの特質に沿った声かけをしないと、子どもは反発したり萎縮したり、ヤル気を失ったりするのですね。
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偏差値に効く子どもとの向き合い方を知ろう!
さて、では実際にどんなふうに子どもの受験勉強に親は向かっていったらいいでしょうか。まず、そもそも論ですが、「勉強って何?」を確認しましょう。
勉強とは丸つけ、間違えたところの解き直しも含む
勉強をするということを、「問題を解く」と考えているお子さんやパパママが多いのではないでしょうか。
勉強をするということは、
問題を解く→丸つけをする→間違えたところをできるようにする
のサイクルをぐるぐる回していくということです。
問題を解いて丸つけをするところまでをしても、そのあと、「間違えたところをできるようにする」が足りないのではないでしょうか。すると、同じような問題が次に出てきたときに解けず、いつまでたってもそのタイプの問題が解けない、と言うことが起こります。
大事なのは、「間違えたところをできるようにすること」。うちの場合はこれをやったら勉強に対する向き合い方がガラリと変わりました。
問題の解き直しはパパママがフォローする
――できなかった問題が「わかる、解ける」となると、楽しくなりますよね。でも、自分ができなかった問題をひとりで解明してわかるようにするのは困難ではないでしょうか。
そうなんです。間違い直しを子どもひとりでやるには訓練が必要です。きちんと理解できないというリスクもあります。問題集の解答についている解説は非常に簡単なものだったり、先生向けで子どもにはわかりにくかったりします。ですから、そこを親が担当するのがよいですね。
うちは共働きで、子どもの勉強に付き合うのは土日しかありません。その土日の貴重な時間に子どもがひとりでやってもいい勉強をするのはムダです。漢字の練習や計算、理社の暗記などは平日に自分でやってもらって、土日、パパママは間違えたところのフォローを重視すべきです。土日は親子でしかできないことを徹底的にやりましょう。
スケジュールは週ごと、ざっくりがいい
勉強はスケジュールを立ててやるほうが効果が高いので、スケジュールを作る場合が多いですが、年間だと子どもには考えにくい、日ごとのスケジュールはマイクロ管理になって全体が見えにくくなります。
中学受験には1週間スケジュールで回したほうがやりやすいのです。
我が家の場合は、
ポイント1 もちろん親子のサイクル
ポイント2 親がつくるのではなく子どもがつくる
ポイント3 細かすぎる計画はおすすめしない
スケジュールは自分で作り宣言する
中でもポイント2は大事です。親が「土日はコレ、早朝はコレ」と決めてやらせると、従うだけになり、「やらされている」感があり、ヤル気が出にくくなります。「予定は?」と聞いて自分で考えて口に出させると宣言効果で達成率が上がります。日頃の会話も「指示」から「質問」に変えるだけで、子どもの宣言効果が高まり、うまく達成できるようになることが多いです。
「間違いノート」を作ってモチベーションを上げる
解き直しをするときは、専用のノートに書いて行きましょう。問題用紙の中で、間違えた問題の頭にシールを貼り、その問題をノートに書いていきます。手を動かして書くことで、正しい答えが定着します。
算数は青、社会は黄色など、ノートの色を統一しておくと整理しやすく、何冊もたまっていくと並べておくだけで美しく、モチベーションが上がります。
――これらのお話は、「花まる子育てカレッジ」講演会をまとめたものです。講演会の全編動画はこちらから:
――ゆずぱさんはこのほか勉強の効率的なしかたなどをYouTube動画などで発信しています。これらも参考にして、楽しく自分らしく中学受験ができるといいですね!
ゆずぱさん
1977年生まれ。東北地方に生まれ、東京理科大学卒業。IT企業に勤務している。お子さんは長男、長女の2人。2人とも現在は都内の私立中学校に通学。長男の偏差値は25から60までアップ。
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取材・文/三輪 泉