「よい作文」とはどんな作文だと思いますか?
それは、読んだ時に、説得性があり、思考が伝わってくる作文です。
長年、小学生の作文指導に関わってきて、「よい作文になる」私なりの書き方の法則を見つけました。そのベースとなるのが、作文の型と、何を書くかを示すことです。
よい作文を書くための「3つの型」とは
1 時間の順番で書く
一つのことについて、時間の流れに沿って書き進めていく方法。低学年のお子さんにも書きやすい方法です。出来事やしたことの中から、何を切り取って書くかを決め、したことの順番に二つ書くことをおすすめします。
2 観点を決めて書く
物事を見たり、考えたりする観点を決めて書く方法。観察文、報告文、説明文など、全てのテーマで活用できます。考えをまとめる方法に合う型です。
うれしかったこと、楽しかったこと、びっくりしたこと、心に残ったこと。夏休みの体験が活かせる観点を、お子さんと考えてみてください。
3 物語風作文
物語のように「起承転結」の型を使って書きます。
「起」は、話の始まり。「承」は、話の続き。「転」は、話の変化を書きます。「結」は終わり。周りの様子を書いたり、自分の思いを会話体で書いたりします。
どの型にも共通する「段落は4つ」の理由
紹介した型の作文は、どれも以下の4段落で書きます。
・はじめ
・なか1
・なか2
・まとめ
なぜ、4段落がいいのでしょう?
4つのまとまりに分けて書くことで、言いたいことが読む人に伝わるのです。これができていると、ダラダラとしたり、話があちこちに飛んだりする作文にはなりません。
これだと、4部構成でしか書けなくなるのでは?と考える方もいらっしゃるかもしれませんが、心配ご無用です。例えば、「わたしの家族」がテーマなら、人数分の「なか」を書けばいいということです。「なか」が3つ以上必要なものは、「まとめ」で、「なかの共通項や気づき」を書けばいいのです。
「型」を使えば「読書感想文」も書ける!
「2 観点型」を使って、読書感想文を書きましょう。構成は4段落です。
心に残る登場人物の行動を書き、自分の行動と比べます。人物の行動から学び、これからの自分の行動に活かせるように書いていきます。
1 はじめ〜本を読んだきっかけと本の要約
例)この本は、○○で見つけました。
例)この本のあらすじは、○○が〜になった話です。
*その人物がどんなきっかけで、どのように変わったか。
2 なか1〜心に残った登場人物の行動
例)わたしの心に残ったのは〜です。〜は〜。
*登場人物の中で、特に好きなところを書いていく。
3 なか2〜登場人物の行動から思い出した自分の行動
例)○○の行動を読んで思い出したことがあります。それは〜。
*自分の体験を書いていきます。
4 まとめ〜登場人物と自分の行動の違い、登場人物の行動からの学び
例)○○は、〜だけど、わたしは、〜だ。これからは、○○のように〜。
2年生の読書感想文・実例紹介
このメソッドで書いた作文例をご紹介しましょう。
「いつまでも友だちでいたいな」~「お手紙」を読んで
国語のじゅぎょうで、「お手紙」をしました。お手紙をもらったことがないがまくんにかえるくんが手紙を書き、二人ともしあわせになるというお話です。(はじめ)
一番心にのこったのは、かえるくんです。かえるくんがしたことで、「すごいな。」と思ったのは、お手紙を書いたことを言ってしまったことです。わたしも、はじめは、「なんで言ってしまったのだろう。」と思っていたけれど、よく考えると、「いいな。」と思いました。もうあきあきしているがまくんに、よろこんでもらえるように言ってしまったと思ったのです。(なか1)
わたしにも友だちがたくさんいます。その中でも、ゆいなさんとなおさんといっしょにあそびます。なおさんは、一年の時、「いっしょにあそぼう。」と言ってから、今でもなかよしの友だちです。ゆいなさんは、一年生の時は、同じクラスだったけれど、あまりあそんだことがありませんでした。けれど、今は、一番の友だちです。三人はなかよしの友だちです。手紙のやりとりはしています。(なか2)
これからは、わたしもかえるくんのように、友だちをしあわせにすることを決意しました。けんかなく、楽しくすごしたいです。「いつまでも友だちでいたいな。」(おわり)
作文は、小学生のうちが勝負!『苦手が消える作文スタイル』で作文を得意に
作文は、言葉で映像を作り出し、人に伝える作業です。どんな作文を書くときもこのことは当てはまります。夏休みの作文は、お子さんの作文力を高める、絶好のチャンスです。
この度、長年の指導の経験を活かしてまとめた『苦手が消える 作文スタイル』(小学館)を刊行しました。「作文の基本15」「作文をよくする10の技」など、作文が得意になる技とコツも収録しています。
子ども達の作文例も豊富に収録
そして、わたしが実際に指導した、立命館小学校、名進研小学校の子どもたちの作文例も豊富に収めています。ご紹介した3つの「型」の実際の作文例を読む事で、作文の書き方の理解が深まります。
作文は小学生のうちが勝負!小学生卒業までに身についた作文力は、一生ものとして使い続けることができるのです。夏休みの作文に取り組んだことを機会に、ぜひ、ご活用ください。
どの学年にもあてはまる、小学生のうちに書いておきたい作文テーマがたくさんのっています。書き方ガイドに沿って書けば、どんな題材や読書感想文の課題が出てももう迷いません。
また、実際に小学生が書いた作文の実例も豊富に収録。巻末には、岩下先生オリジナルの特製作文用紙がついています。コピーしてお使いください。
教えてくれたのは
構成/HugKum編集部