【発達凸凹のある息子とのくらし】小3不登校の長男が、畑にはまった!ジャガイモづくりで感じる子どもの成長

クワで耕す

ホームスクール(家庭学習)を選んだ小3の長男、年長の次男、夫、の4人家族で暮らしています。 わが家の小学3年生の長男には自閉症スペクトラムとADHDの診断があるのですが、かなりユニークな人なので、そのおもしろさと関わり方への工夫などを忘れないよう綴っていきたいと思っています。

もっと外に出る機会を作りたい

不登校当初は元気をなくしていた長男ですが、家でゆっくり休むうちに好奇心旺盛に日々を楽しむ、本来の姿を取り戻していきました。嫌がっていた外出も少しずつできるようになり、短時間なら私と一緒に散歩したり、公園に行くこともできるようになっていきました。その姿にひとまずほっとしたものの、贅沢にも次の欲が湧いてきてしまう親心。

当時小学1年生の長男に日に当たる機会を思うように確保できないことが私の心に引っかかるようになりました。

 そうだ畑を借りよう!

人が多い場所が苦手な長男にゆっくり日に当たる機会を確保するためには、静かで、自由に過ごせて、安心できる場所が必要だと考えるようになりました。そんな中、ふと思い立ったのが畑を借りることでした。
私には20代の頃に家庭菜園に夢中になり、畑を借りて作物を育てていた経験があります。日々の喧騒から離れ、土にふれること、種を蒔き、作物を育て、食べることに私はとても癒されていました。そうだ、畑を借りてみよう!と思い立ち、以前畑を貸してくださっていた方を頼り、今度は家族で畑を始めることにしたのです。

 作物を育てる

畑を借りる準備が整ったのは2月でした。せっかくなので祖父母なども集まり、みんなで一緒に畑をやっていくことになりました。2月~3月はちょうどジャガイモの植え付け時期です。そこで、初めての作物はジャガイモに決定しました。

土を耕す家庭用耕運機には理科の学びがいっぱい!

 最初の作業は土を耕すことでした。畑が広く、クワだけでは作業が大変だったことから、カセットボンベ式の家庭用耕運機を使うことに。カセットボンベは鍋の時に使うものという認識だった息子達は、これで機械が動くのかと興味深々。スターターロープを引っ張ってエンジンが動き始める様子に「これ映画で見たことがある~!」と大喜び。ゴトゴトと揺れながら豪快に土を掘り起こしていく様に盛り上がり、冷たい風の中でブルブルというエンジン音や燃焼の匂いを感じたり、祖父から耕運機がガスで動く原理を教えてもらったり、途中でエンストしてあれれ?と慌てる大人達を見ることも息子たちにはいい経験です。

これまで、こういう経験を息子たちにさせてあげられていなかったなぁと気付き「畑いいじゃないか!」と私も嬉しくなりました。

 その後は肥料を入れて、クワで畝を立てて、マルチシートを引きます。こういった作業も息子たちにとっては全て初体験です。肥料やマルチシートの意味、クワの扱い方なども学びながら大人と子どもが一緒になって作業します。家族で協力し合ってジャガイモの植え付け準備は完了です。

クワで耕す

 種イモの準備

次は種イモの準備です。種イモは小さいものはそのまま植え付けますが、大きいものはある程度のサイズに切ってから植え付けます。長男は几帳面な祖父と一緒に、丁寧に種イモの重さを一個ずつ測りながら切っていきました。今は料理をするので、包丁やはかりも当たり前のように使えますが、今思えばこの時が包丁やはかりを目的をもって使う初体験だったかもしれません。

また、普段の生活では母相手だと何かと反抗しがちな長男も、祖父の話には耳を傾け作業している様子。信頼できる大人が親以外にも身近にいることの良さも感じました。切った種イモを並べ「全部やったよ!」と得意げな息子の笑顔は眩しいものでした。

ジャガイモの植え付け

よく晴れた、3月の初め、いよいよジャガイモの植え付けです。株間を意識しつつマルチに穴をあけてジャガイモを植えていきます。子ども達は初めての作業に興味津々。おれがやるおれがやる!と作業の取り合いです()しかし、数個植えると飽きてしまい、結局落とし穴掘る!と使っていないスペースに穴を掘り始め、植え付けは大人が頑張るという結末。いいんです。想定内です。植え方は学べたはずだもの・・・。

ちなみに、この穴を掘る遊びは今も子どもたちのお気に入りで、何度も掘るうちにシャベルの扱いだけは随分と上達しています。この穴に抜いた雑草やらを埋めることもあるので結構ありがたい穴なのです。

 育っていくジャガイモ

季節の変化とともに畑には緑が増え、ジャガイモにもきれいな花が咲きました。花の後には実がつくことだってあります。ジャガイモは土の中で茎が育ったもの。それとは別に花の後に実がつくこともある。そういった知識も自然に子どもたちは学んでいきます。この時期の作業は芽かきといって余計な芽をとる事と、追肥を2回くらいです。これらの作業にもひとつひとつ意味があり、その意味を確認しながら子ども達と一緒に作業していきます。作物の成長に合わせて、ゆっくりと学びを深めていくこの時間が私は好きです。

生き物に触れるというリアルな体験がワクワクを育てる

 また、この時期は生き物もどんどん増えていきます。子どもたちは畑作業そっちのけで蝶やテントウムシを追いかけ、カマキリの子どもをおそるおそる触り、土の中から現れたオケラやミミズを捕まえてしばらく観察したかと思うと、畑ではねるカエルに夢中になり、やがては近くの水場でイモリやカニを捕まえたりと、とにかく大忙しです。 

カエルつかまえた

ジャガイモの収穫

6月の初め、いよいよジャガイモの収穫です。収穫するぞ~と勢いよくマルチシートをはがしたら、まさかのヘビが登場!家族で「ギャー!」とびっくり。ヘビはすぐに逃げてしまいましたが「マルチシートの下はあったかいからヘビがいたのかな?」と子どもたちなりに考察しています。
この年のジャガイモの出来は上々で、たくさん収穫できました。一緒にコロッケや肉じゃがを作ったり、フライドポテトやポテトチップスを作ったり。食べるところまでしっかり楽しむことができました。最初から最後まで学びばかりのジャガイモ栽培。深めのプランターでも作ることができますので、家庭で挑戦してみても楽しいかもしれません。

収穫したジャガイモ

 畑から学ぶ

わが家の畑では他にもスイカ、メロン、とうもろこし、さといも、サツマイモなど、プランターでは難易度が高い野菜などを栽培しています。更にトマトやきゅうりなどプランターでも栽培しやすいものは自宅でも楽しんでいます。作物ごとに学べることが違い、見える景色も変わります。畑仕事新人の私たちなので、大失敗や、想定外の出来事も盛りだくさん・・・ですが、やらかした時の方が圧倒的に学びが多いというのもまた楽しいものです。

さて、もうすぐ春です。今年はどんな作物に挑戦するか子どもたちと一緒に考えていこうと思っています。

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家庭での教科学習は、試行錯誤の繰り返し こんにちは、ウチノコです。小1秋から不登校を選んだ現在小学3年生の息子とのくらしをゆるゆる発信して…

文・イラスト・構成/ウチノコ

構成/HugKum編集部

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note連載中 https://note.com/uchino_co/

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