【中学受験物語】5年生で大手進学塾へ転塾。「ひたすら勉強漬けの日々、弟への影響も悩みました」

HugKumでは、中学受験に取り組んだ親子6組にインタビュー。本音の体験談をお届けします。今回は、難関校(難関大学系列校)に合格し、元気に通っているタミーくん(中1/私立男子校/仮名)。彼が経験したのは、「順調出発→まさかの3連敗…からの合格ストーリー」でした。お父さんとお母さんが、息子と歩んだ4年間を振り返りつつ、中学受験のエピソードを話してくれました。

親子ともに深く考えずに中学受験生活をスタート

「塾に行ってみたい」から始まった中学受験

―中学受験を始めたきっかけを教えてください。

 2年生の終わり頃、子どもが「塾って何? 友達も行くから僕も行っていみたい」と言い出したのがきっかけです。両親ともに中学受験未経験者ですし、子どもも第一子でしたから、あまり深く考えず、塾の保護者会で言われた「親子のよい思い出になりますよ」という言葉を単純に信じて(笑)、スタートしました。

―塾選びのポイントはなんでしたか。

 2つの大手進学塾で入塾テストを受けたのですが、どちらも×。後から、補欠連絡があった塾に入塾しました。入塾してみて分かったのですが、その塾はのんびりしている息子の性格に合っていたみたいです。2年ほど、楽しく通いました。

―転塾は考えましたか。

 5年生のときに、多くの優秀な子が集まる、厳しめの大手進学塾に転塾しました。新しい環境に馴染めるかどうか心配でしたが、息子のどこでも友達をつくれる性格が幸いして、転塾は成功でした。

―通塾のペースはどのような感じでしたか。

 3年生のときは週2回、4年生は週3回。転塾後の5年生も週3回、6年生は平日2日+土日の週4回でした。

―お子さんと塾の相性はいかがでしたか。

 息子は、塾で小学校では扱わない知識に大量にふれて、好奇心全開でとにかく楽しそうでした。「やればできるんだ!」という自信がつき、自己肯定感も高まった様子でした。

勉強へのモチベーション対策

学校見学へ出かけてどんな中学校があるのか親子でリサーチ

4年生から学校見学で意識を高めた

―4年生から本格的に中学受験が始まると言われていますが、4年、5年、6年生のときの取り組みやモチベーション対策はそれぞれ違いましたか。

 4年生のときから、より中学受験を意識し始めました。モチベーションアップのために、よく学校見学に出かけました。息子は、公立の中学にはあまり見かけない「クイズ研究会」や「写真部」などに憧れたようです。親としては、勉強のペースに慣れさせるまでが辛い時期ですが、とにかく塾には機嫌よく通っていけるように、楽しく送り出すことに注力していました。

―5年生は?

 5年生の勉強は、とにかくインプットが多く、時間的にも分量的にも子どもが辛い時期だと思います。受験中盤に入り、モチベーションを保つのが難しいですし、勉強の中にも楽しみを見つけることが大切だと思いました。

―6年生は?

 6年生は、あっという間でした。塾の流れに身を任せていた1年間というか。塾には週4で通っていましたが、塾通いそのものがモチベーションキープの秘訣だったように思います。親の方は、一年を通して緊張状態でした。特に夏休みは、ひたすら勉強漬け。睡眠、食事、お風呂以外の時間は、すべて勉強しているような感じでした。

お節料理が好きな息子のために、1月1日の正月特訓にはお節弁当を持たせた。

次男への影響に悩んだことも

―中学受験の塾通いは、小学生にとって大変負担がかかるという意見もありますが、実際、大変だったと思いますか。

 生活のすべてが塾中心だったのは、やはり大変でしたね。休日や長期休暇などに私が長男の受験サポートに回って一緒に勉強しているときは、夫が下の子を連れだして遊ばせてくれるなど、家族も受験を意識した過ごし方にならざるを得ませんでしたから。実は、「子どもらしい小学校生活」については、悩んでいた時期があります。

―というのは?具体的に教えてください。

母 もっと親子一緒にスポーツやゲームを楽しんだり、旅行に出かけたりする「子どもらしい小学校生活」を送らせるべきではないかと。親としては、自分が経験していないことを、中学受験を通じて体験させてもらったことに感謝しているものの、その時期は生活すべてがお兄ちゃんの塾中心で、母としては次男の貴重な子ども時代の思い出が少ないのが悩みだったんです。

—その思いは、ずっと続きましたか?

 夫が「中学受験に取り組んだのも、わが家の思い出であり、親子の歴史だよ」と言ってくれたおかげで、ふっきれました。私の中のイメージというか、私が勝手に思い描いていた「子どもらしい小学校生活」と実際の中受生活いう葛藤から抜け出せたんです。

―お母さんの不安な気持ちを、お父さんが見事にサポートしてくれたのですね。

 はい。思えば、冷静な夫がいつも支えてくれていたのは大きかったと思います。

―反抗期はなかった?

 息子には「受験したいのなら、反抗期は自分でコントロールしてほしい」と伝えました。私は受験のサポートで手いっぱいで、その上、反抗期への対応まではとても無理だからと。

―それは、かなりの大人扱いですね。一般に、中学受験の段階では、男の子は精神的に幼いと言われますが、息子さんはかなり精神的な成長がはやかったのですね。

 息子にはそのやり方で良かったようです。あの子なりに納得したのか、反抗期と呼ぶほどの反発や親子ゲンカはありませんでした。でも、やはり子どもの性格や発達段階にもよるでしょうね。今、下の子(小5)の中学受験に寄り添っていますが、反抗期が激しいと受験にも影響するだろうなあと思っています。

家庭での勉強サポートと志望校選び

社会のノートの落書きにはタミーくんの不安が垣間見える

受験勉強が楽しいと思う環境づくり

―家庭での勉強のサポートはどのようにしていましたか。

 まず、受験勉強が楽しいと思える環境づくりをしました。たとえば、社会なら旅行で出かけた先の地理を説明したり、歴史漫画を与えたり。理科のために、メダカを飼育して観察したり、登山(キャンプ)のときに一緒に星の観察をしたりしました。

―机の上の勉強だけでなく、実際の経験と知識を結び付けたのですね。

 受験勉強とはいえ、やはり楽しい方が頭に入ると思ったので。塾のサポートとしては、ひたすらプリントを整理したり、親がスケジュールを作成して壁に貼ったりしました。うちの子は、プリント類を片づけるのが本当に苦手なので。

朝勉強の習慣づけ

―毎日の勉強のルーティーンはありましたか。

 朝勉30分(計算10問、漢字20問、社会の白地図 or 歴史年表チェック)を受験当日まで続けました。また、テレビ番組の「東大王」が好きだった息子のために、夫が理・社の暗記をクイズ形式で出題したので、息子も楽しく勉強できたと思います。

―朝、早く起こすのは大変だったのではないですか?

 直前期は、リビング学習ならぬ、リビング睡眠でした。リビングにお布団を敷いて、朝、目が覚めたら、お布団の中でゴソゴソと算数の基礎力問題の勉強にすぐに取り組む…という流れでした。

夏期講習明けの模試で成績が下がり先生に叱咤激励されたことも。

志望校選びは本人の意思を尊重

―志望校選びはどうしましたか。

 息子は、文化祭や学校見学に訪れた男子校のA校が気に入り、第一志望にしていました。親としては、パパの出身大学への進学も可能なB校がいいなと考えていました。B校はいわゆる附属校ではないものの、系列の大学に進学することも可能だし、他大を受験することもできるので。B校の校風も息子に合うと思っていたのですが、息子はとにかくA校がいいと一点張りでした。

―実際の受験校はどのように決めましたか。

 A校を第一志望、B校を第2志望という形でスケジュールを組みました。11月の模試の結果が良かったので、親も子もわりと心に余裕があったためか、子どもの意志を最大限尊重しながら、親がセイフティーネットを張るという感じで受験スケジュールを決めました。

 

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文・構成/ひだいますみ

 

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