【中学受験】成績順調だったのにまさかの3校連続不合格…「冷静な父親の存在が家族の支えになりました」

中学受験に取り組んだ親子のインタビュー。前編では家庭での勉強の様子や志望校選びについて伺いました。憧れのA校を目指して、いよいよ1月校から受験をスタートしたタミーくん(中2/私立男子校/仮名)。ところが、「まさかの3連敗!」という波乱の幕開けになり…。後編では、波乱万丈だったと振り返る受験本番の日々をお届けします。

まさかの3連敗スタート

タミーくんが振り返る本番前の心境メモ。秋から本番前の模試が順調で自信たっぷりだったが…

成績順調も、想像していなかった結果が待っていた

―いよいよ受験期に突入です。親として気を付けたことはありますか?

 なるべくいつも通り、早寝早起きの生活を心がけました。食事面では、生ものは控えました。そうそう、5年生のときから、テスト前日、テスト当日朝の食事は同じものを食べるようにしていました。夕食は親子丼、朝食はチーズトーストです。受験の本番も、同じメニューでした。

―学校は休みましたか?

 いつも通り、休まずに通いました。もともとうちの子はマイペースで、塾の先生からも受験終了後に「こんなに最後までお尻に火がつかないタイプの子は見たことがない」と軽くお説教(!?)を受けたほど(笑)。実際、「いつも通り」のほうが落ち着けたと思います。

―1月校の結果はどうでしたか?

 それが、1月校として埼玉と千葉の学校を受けたのですが、どちらも×でした。しかも、

息子の第一志望だったA校(2/1午前)も×。まさかの3連敗に、さすがに本人も焦り、塾の先生も焦っていたようでした。

―予想外の結果だったのですね。お母さんは平常心を保てましたか。

 よく、中学受験をする子どもの母は「女優」たるべく、不合格にどんなにショックを受けていても、子どもの前では平静を装いなさいと言われますが、あのときの私は、かなりの「女優」だったと思います(笑)。だって、まさかの3連敗ですよ! これまで成績が順調だっただけに、最後の最後でこんな地獄が待っているとは全く想像もしていませんでした。精神的にかなり削られながらも、泣き出さないよう、必死で耐えました。

―敗因について思い当たることはありますか?

 本人はA校を熱望していましたが、過去問をやってみても、あまり相性が合わないというか、思ったよりも点数が取れないというか、実は受ける前から不安材料はあったんです。でも、本人がずっと行きたいと憧れていた学校だったので、最終的に2/1に挑戦させました。

1月校2校の不合格後、2/1の本番に向け国語の先生が授業プリントに書いてくれたメッセージ。今でも大切に保管している。

冷静な父親の存在がありがたかった

―親がすすめたいB校には合格されました。

 合格をいただけて、本当に良かったです。実は、私、B校受験の2/3だけ、付き添ったのですが、健康観察用紙を忘れてしまい、絶望的な気持ちでした。今となっては、笑い話ですが…。

―ほかの学校は、パパが付き添いをしたのですか?

 2/3以外は、パパがすべての受験の付き添いをしてくれました。もし私が行っていたら、動揺して、余計なことを言ったり、質問したりしていたかもしれません。息子も「冷静なパパに付き添ってもらってよかった」と言っていました。

 子どもにとっては、あれこれ心配してくれる母親も大切ですが、落ち着いて付き添う父親も必要だと思います。それに、お母さんがいつも笑顔でいてくれることが、子どもの気持ちの安定にもつながると思うので、そういう面でのサポートを心がけていました。

 パパは、いつも冷静に私の話を聞いてくれました。もう、感謝しかありません。パパには、早起きして朝勉強につきあってもらったり、夜の勉強サポートをお願いしたり、よく協力してもらったと思います。また、塾のお迎えや下の子との外出、受験校選びなどのサポートも心強かったです。

受験後、勉強に使った膨大な教材と記念撮影。

―受験後、お子さんにはどんな言葉をかけましたか?

 私の知らない世界を経験させてくれてありがとう、と言いました。

―受験で得たものはどんなことでしょうか。

 受験後、塾にご挨拶に伺った際、息子がメッセージを書いた小さなメモを担当の先生に渡していました。そこには、「最後まで俺を信じてくれてありがとうございました」とありました。良い先生に恵まれことはもちろん、お世話になった方への感謝の気持ちを表現できるほどに子どもが成長できたことが、とてもうれしかったです。

 息子の受験は、家族ぐるみでした。数年に渡る中学受験生活でしたが、すべてが「わが家の思い出」だと思っています。

中学校生活とこれから

―進学後のお子さんの様子を教えてください。

 毎日、楽しそうです。入学当初は、A校に未練があったようなのですが、お友達と学校行事で盛り上がったことをきっかけに、今ではすっかりB校に馴染んでいます。今は、本人の第一志望に落ちたことも忘れている感じです(笑)。

―部活動はしていますか?

 ソフトテニス部に入りました。息子の中学受験が終わり、子育てが終わってしまったような感じで若干寂しい思いもありますが、今は、勉強や将来の進路などについては、息子と学校を信じて自主性に任せている状態です。それより、次は次男の番! 今、次男の受験に向けて情報収集中です。

―もっとこうしたらよかったと思うことはありますか。

 兄のときは5年生以降、1つの塾を信じて、あまり他塾の情報収集はしなかったのですが、今となっては、個別指導や他塾の学校別対策講座などについて知っておけばよかったかも。学校選びも、まだまだ始まったばかりですから、次男に合う学校を探すところからですね。次男は、性格も方向性も成績も兄と違いますから、また新たに受験が始まる感じです。

―弟さんの受験も、ドラマがありそうな予感ですね…。また、中学受験が終わったらドラマを聞かせてください。ありがとうございました。

 明るく元気なお母さんと、やさしく冷静なお父さんが伴走したタミーくんの中学受験。家族の絆が深まった中学受験体験は、まさにかけがえのない「家族の思い出」です。タミーくん、このステキな宝物を胸に、さらに未来の扉を開けていってくださいね!

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 文・構成/ひだいますみ

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