【発達凸凹の子ども達へ・まり先生の解決記】みんなと違って支援級だけど…。自分にベストな環境を選ぼう!「マンガ あやまらなくていいんだよ 」

発達凸凹の子どもたちにとっての「人生っていいもんだな」「学校って楽しいかも」を追求してきた、特別支援学校・支援学級のまり先生(公認心理師)が、学校でのあるあるトラブルを、ユーモラスに解決するエピソードをご紹介!

発達凸凹の子たちの想い

トラブルメーカーに見える子の行動の真意や、やればできるのに怠けているように見える子の想い、大人には理解できそうにない強いこだわりの理由などを知ると、子育て中のイライラが、爆発する前にボヤ騒ぎくらいで済む場合があるんです。

クスッと笑える漫画を得意とするイラストレーター エイイチとコラボして、子育てに愛と笑いと「まぁいっか」を注ぎ込む『大喜利的エデュケーションマンガ』第10弾!

あやまらなければダメ?

1組にいたときは、怒られたり、注意されたりしてばかりいた。なかよし学級に来てからは、なんだかいい感じ。でも、1組さんのほうが子どもの人数は多いし、あっちが普通なのかな。怒られていたボクは、やっぱりダメな子なのかな。

 

ベストな環境を選ぶ君は人生の勝者

いい感じだって思うベストな環境は、居場所として合っているってことなんだ。学校の教室ってさ、勉強もするし、友達とも遊ぶし、給食も食べるし、いろんなことを学ぶ場なんだよね。そんな学びの場は、居心地の良い場所がいい。

なんでかな?

大人だってさ、自分に合った仕事を見つけたり、働きやすい職場に変えることだってあるじゃん。子どもだって、いろんなことを学ぶ、とても大事な時期なんだから、自分に合う学びの場を選ぶ権利がある。だから、学びの場は、ひとつじゃない。いろんなタイプのボクやあの子がいるんだから、選んでいいんだ。

ダメな子で怒られてたから支援級に変わったんじゃない。ただ、合わなかったんだ。合わないから、環境を変えて『いい感じ』ならスッキリ花丸だよ。パズルのピースを無理矢理はめられないのと同じ。

こうしてみるといいかもよ

自分がいい感じだと思える場所で、とにかく安心して過ごしてみよう。自分のペースで、自分にぴったりな学び方や環境で過ごすと、これまでできなかったことも、できるようになったり、楽しみが増えたり、ちょっと自信がついたりするんだよね。ダメな子なんかじゃないんだよ。むしろ、ベストな環境を掴み取った人生の勝者と思っていいんだ。

公認心理師・松尾まりか先生が解説

学びの場を選べる時代

今の親世代にとったら、支援級というのは、わりとハードルが高くて、『別の隔離された教室で学ぶもの』なんてイメージがあるのかもしれません。そして、一度決まったら、終身雇用制のように「ずっと、そこ!」というイメージもあるでしょう。でもね、実はそんなことないんです。自治体によって、学校によって、学級の種類・呼び名・決め方や、決めるまでの道筋など、本当にそれぞれ千差万別・十人十色で微妙に違うんですが、基本的に文科省は「学ぶ場ってのは、柔軟に変えていいんだYO!」「親や子の意見を最大限に尊重しようYO!」って言ってるんですね。こんな軽くは言っていないですけど、内容的には言ってるんですYO。確かに、受け入れる学校や地域の教室の課題・人的配置の課題・時期とか、いろいろあって、すべて叶えることが難しい場合もあるのですが、個に合った学びの場というのは選択できる時代になってきています。

ベストな環境が成長の追い風になる

そうであっても、親心的には、我が子への願いや思い、イメージがあって、特に自分が経験してきたイメージで考えるから、支援学級に就学・転籍となると受け入れ難い人が多いのではないかと思います。ただ、これまで多くの子どもたちを見てきた私が言えることは、子どもに合わない環境で過ごさせるのは、ちょっと見ていて苦しいかな、もったいないかな、と思ったりします。なぜならば、子どもって単純だから、「あ、俺もできそう」「おもしろそうじゃん」と思うとやってみて、その「やってみる=行動する」行為が発達を促していくんです。だけど、「俺なんて、どうせできねぇ」「また怒られるだろ」「はぁ、失敗したら嫌だな」なんて思っちゃうと、やらなかったり、不適切な行動で表現しちゃったりして、もっと怒られたり、発達するものも発達しなくなっちゃったりするんです。発達のチャンスが多い「俺、できそう」「あたし、ちょっとやってみようかな」と思えるベストな環境を選ぶことって、とっても大切なことじゃないかな?それが、支援級かもしれないし、通常級かもしれない。インクルーシブ教育をガンガンやっている地域なら、通常級かもしれない。受け皿となる教育の場と子どもの実態のマッチングは、柔軟に優しく、子どもの立場(子どもが楽しいかどうか)で考えたいものです。

時代の先端は支援学級・支援学校

私は、もともと支援学校の先生なのですが、最近、感じてることがあります。それは、通常級でも合理的配慮とか、個別最適化とか言われ始めてるじゃないですか。それってさ、支援学校では、もともとやってたこと。私の感覚では、「おっ、やっと支援学校や支援級に追いついてきたな~(ニヤリ)」という感じです。でもね、そんな支援学校に誇りをもっている私でも、小学校で支援級の担任をしていたときには、通常級がマジョリティなため、なんだか通常級の先生に気を遣って、いつも謝ることも多かった。今になってみれば、謝らなくてもいいんだよ、むしろ謝るな!とあの時の私に言いたいですが。そんな大人を見ていたら、なおさら、子どもにも何か感じさせてしまっていたかもしれません。

だから、声を大にして言いたいのです。大人も子どももみんな、どこで学んでいても楽しく過ごせているなら、胸を張ってほしい。最高の選択をしているのだから、思う存分に楽しんでほしいのです!

この世にせっかく生まれてきた子どもたちには「あぁ、人生って楽しいな」「私の人生、そこそこイケてる」なんて思ってくれる人生を歩んでほしいと、心から願っています。子どもたちの未来は明るいよ。

大丈夫、すべてはきっと、うまくいくからね。

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前回のお話はこちら

【発達凸凹の子ども達へ・まり先生の解決記】聞いてないって言われるけど…。こうすれば気づけると伝えよう!「マンガ あやまらなくていいんだよ 」
発達凸凹の子たちの想い トラブルメーカーに見える子の行動の真意や、やればできるのに怠けているように見える子の想い、大人には理解できそうにな...

原作

松尾まりか|特別支援学校教員資格・公認心理師
日本と海外の特別支援学校で14年間勤務した後、特別支援学級で勤務。児童発達センターの指導員、乳幼児の発達相談員と、教育界と福祉界を渡り歩きつつ、発達が気になる子と関わる教員、支援員、高校の寮のハウスマスター向けに、すぐに実践できる研修も行う。モットーは、子どもたちの 『人生っていいもんだな、おもしろいな 』を増やしたい。小学校・幼稚園・特別支援学校教員資格・公認心理師。

企画構成イラスト

エイイチ|イラストレーター
テレビや書籍にて漫画、挿絵、芸能人の似顔絵を描いているほか、学校の教材アニメーションを制作したりするなど、多様なコンテンツを手がける。著書に「見えないボクと盲導犬アンジーの目もあてられない日々」(小学館)「スキンヘッドパパの育児日記」(日経BP)など。東京都生活文化スポーツ局「パパズ・スタイル」にて子育て漫画を連載中。

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