なぜ「たたく」のか?「かつおのたたき」の基礎知識。旬を味わう、自宅での作り方やアレンジレシピも紹介

高知、土佐を代表する料理「かつおのたたき」。藁で炙られたかつおは、皮目はパリッと香ばしく、中の身はレアで旨みが閉じ込められています。年に2回あるかつおの旬に、ぜひ味わいたですよね。本記事では、かつおのたたきの基本知識やかつおの旬、アレンジレシピなどについて紹介していきます。

高知に行って食べたい料理といえば、「かつおのたたき」と答える人が多いのではないでしょうか。香ばしい皮目に身はうまみがギュッと詰まっていて、食べ出すとそのおいしさにびっくりしますよね。またビールなどのお酒にもよく合う!

そんな「かつおのたたき」は、高知名物として広く知られていますが、かつおをなぜ藁(わら)で炙るのか、由来や旬の時期など詳しく知らないという方も少なくないはず。まずはかつおのたたきについて、なぜ「たたく」というのか、由来やかつおの旬の時期などを見ていきましょう。

「かつおのたたき」は高知を代表する料理

日本有数のかつおの産地である高知は、日本一のかつおの消費量も誇ります。なかでも「かつおのたたき」は、かつお料理の代表格です。3枚もしくは5枚におろしたかつおを、背と腹に切り分け、表面を豪快に炙ったもの。それを氷水などに入れ、急速に冷やし、切り分けて、ポン酢や醤油を入れたタレ、または塩と、ニンニクやミョウガ、ネギやタマネギなど薬味と一緒に食べます。

高知では冠婚葬祭や、お祭りなど人が集まる際に欠かせない料理、「皿鉢料理」のひとつなんです。

「たたき」は「炙る」という意味ではなかった!

「かつおのたたき」はその調理法から、「たたく」を「炙る」という意味であると思っている人も多いのではないでしょうか?

実は「かつおのたたき」の「たたき」は、その名の通り「叩く」ことなんです。かつおに味をなじませるために、醤油ダレや塩をかつおに叩き込んでいたことから、由来するといわれています。

高知では藁焼きが主流

「かつおのたたき」を作る際、高知ではかつおの表面を藁で炙る、藁焼きが主流です。なぜ藁で炙るのか、その理由やメリットはあるのでしょうか。

藁焼きにするのは火を高温にするため

藁を使う理由は、火を高温にするためです。藁は中が空洞になっています。また多少の油分を含んでいるため、燃えやすく火力が強くなるんです。藁を燃やした時の火力は800~900度にも達するといわれていて、普通の火力よりも強くなります。

その強烈な火力でかつおの表面を一気に炙ることで、うまみをしっかりと中に閉じ込めることができるそう。また、身が引き締まり、生臭さを消してくれるという効果もあるといわれています。

藁で焼くことでかつおの風味を引き立たせる

藁で焼くことで、かつおに燻製のような香りがつき、その香りがかつおのうまみを引き立たせる効果もあると言われています。

高知のかつおの旬は年に2回

かつおの旬の時期は年に2回あり、その時期のかつおを「初鰹」「戻り鰹」といいます。聞いたことがある方も多いと思いますが、その違いなど知っていますか? 同じかつおですが、獲れる時期によって味などにも違いがあるんです。

「初鰹」と「戻り鰹」の違いは?

・「初鰹」

かつおは回遊魚です。3~5月にかけて、エサを求めてフィリピン沖から北上してきます。その頃に水揚げされたかつおを「初鰹」といい、エサをまだ食べていないので、脂が少なくあっさりとしているのが特徴。そのさっぱりとクセのない味わいは、刺身よりもたたきに向いているそう。ニンニクやミョウガ、ポン酢やタレなどとも相性が良いと言われています。

・「戻り鰹」

一方で「戻り鰹」は9~11月に水揚げされるかつおのこと。かつおは、エサを食べながら北海道の南部まで北上し、水温が低くなると、暖かい海域を求めて南へ移動します。そして高知あたりに近づくのが9~11月なんです。

「戻り鰹」は、エサを食べているため脂がのり、もっちりとしているのが特徴。マグロのトロに例えられることもあり、刺身で食べるのがおすすめだとされています。また、「初鰹」よりも大きいサイズのものが多いのも特徴なのだそうです。

「初鰹」と「戻り鰹」は、どちらも違うおいしさがあります。食べ比べてみるのも楽しそうですね。

自宅で作る「かつおのたたき」のレシピ

自宅で「かつおのたたき」を作ってみませんか? 「家で藁焼きなんて無理!」という声が聞こえてきそうですが、大丈夫です。本記事では、フライパンで炙る方法を紹介します。

フライパンで作る「かつおのたたき」の作り方

【材料(2人分)】

・かつお(皮つきがベスト)… 柵200g
・サラダ油… 適量
・みょうが… 1個
・たまねぎ… 1/4個
・すりおろししょうが… 1片分
・刻みねぎ… 適量
・塩… 適量
・ポン酢… 適量
・サラダ油… 適量

【用意するもの】

・フライパン
・氷水
・保存袋

【作り方】

1、かつをに塩をふっておきます。

2、みょうがは斜めに薄く切り、たまねぎも薄くスライスしておきます。

3、フライパンを強火で熱し、サラダ油を入れたら、かつおを皮目から入れます。

4、皮目から2mmほど白っぽくなったら、焼く面を変えて、他の面は素早く焼いていきます。

5、表面が焼けたら、かつおを保存袋に入れて、氷水で一気に冷やします。

6、5を食べやすい大きさにカット。

7、皿に盛り付けて、みょうがやたまねぎなどの薬味とポン酢をかけて完成です。

アレンジレシピ「かつおのたたきで作るユッケ」

そのままでも美味しい「かつおのたたき」ですが、アレンジして食べたいときにおすすめのレシピ、「かつおのたたきで作るユッケ」の紹介です。

香ばしいかつおのたたきに、甘辛いタレが病みつきに! ご飯の上にのせて丼にするのもおすすめです。辛さはお好みで調節してくださいね。

材料

・かつおのたたき… 150g
・コチュジャン… 小さじ2
・砂糖… 小さじ2
・醤油… 小さじ1
・ごま油… 小さじ2
・すりおろしニンニク… 適量
・白ごま… 適量
・卵黄… 1個分

作り方

1、かつおのたたきをサイコロ状にカットします。

2、ボウルにコチュジャン、砂糖、醤油、ごま油、すりおろしニンニク、白ごまを入れ混ぜます。

3、2に切ったかつおのたたきを入れ、混ぜます。

4、器に盛り付け、最後に卵黄をのせたら完成です。

高知名物「かつおのたたき」

高知を訪れたら必食のかつおのたたき。藁で焼かれたかつおは、香ばしくうまみがギュッと詰まっています。

高知のかつおの旬は年2回です。たたきに向いているのは、3~5月に出回る「初鰹」。その時期に高知を訪れて、美味しいかつおのたたきを食べてみたいものですね。また全国でも美味しいかつおが多く出回るので、自宅でも楽しんでみてはいかがでしょうか?

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構成・文・写真(一部を除く)/松田慶子(京都メディアライン)

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